中1数学「正の数・負の数」交換法則・結合法則とは?

 今回は、中1数学「正の数・負の数」で学習する「交換法則・結合法則」について、解説したいと思います。  

 「交換法則」と「結合法則」はそれぞれ、加法(たし算)と乗法(かけ算)の場合に成り立つ法則です。

 この記事で解説する内容は、以下の通りです。

 ①加法の交換法則・結合法則について

 ②乗法の交換法則・結合法則について

 ③「交換法則・結合法則」についての練習問題

 まずは、加法の場合について見ていきましょう。

①加法の交換法則・結合法則について

 加法の交換法則と結合法則について、減法(ひき算)の場合と比較しながら、これらの法則のメリットを見ていきましょう。

(ⅰ)加法の交換法則 

 まずは加法の交換法則について考えてみましょう。

 例えば、「2+3」という加法の計算において、2と3を入れ替えて「3+2」という形に変えても計算結果は同じになります。

 このようにたし算は、数を入れ替えても計算結果が同じになるので、

「□ + △ = △ + □ 」が成り立ちます。

 このことを加法の交換法則といいます。

 ちなみに減法(ひき算)の場合は、交換法則が成り立ちません

 例えば、「3-2」という減法の計算を考えてみましょう。

 2と3を入れ替えて「2-3」という形に変えてしまうと、どうなるでしょうか?

 前者は「3-2=1」、後者は「2-3=-1」となり、計算結果が異なってしまいます。

 このことから、減法では数を入れ替えて計算してはいけない(つまり交換法則が成り立たない)ことがわかります。

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(ⅱ)加法の結合法則

 次に加法の結合法則について考えてみましょう。

 例えば、「5+3+1」という加法の計算について考えてみます。

 (5+3)+1のように先に5+3を計算してから1をたす。

 5+(3+1)のように先に3+1を計算してから5をたす。

 どちらの場合も、計算結果は同じになります。

 このように3つ以上の数のたし算は、先に計算するところが違っても計算結果が同じになるので、

「(□ + △) + 〇 = △ + (□ +)」が成り立ちます。

 このことを加法の結合法則といいます。

 ちなみに減法の場合は、結合法則も成り立ちません

 例えば、「5-3-1」という減法の計算を考えてみましょう。

 (5-3)-1のように先に5-3を計算してから1をひく場合

 5-(3-1)のように先に3-1を計算して、その計算結果の2を5からひく場合

 前者は、(5-3)-1= 2-1= 1となります。

 後者は、5-(3-1)= 5-2= 3となります。

 このように、先に計算する順番によって計算結果が異なってしまいます。

 このことから、減法では必ず、数を左から順に計算していかなければならないことがわかります。

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(ⅲ)加法の交換法則・結合法則は「負の数」を含んでも成り立つ

 じつは、加法の交換法則・結合法則は、負の数を含んでいる加法の計算でも成り立ちます

 そのことを確かめるために、負の数を含む加法の式を例に挙げてみます。

 (-5)+(-2)という、負の数どうしの加法の計算について考えてみましょう。

 -5と-2を入れ替えて「(-2)+(-5)」という形に変えても、計算結果は同じ「-7」になります。

 このことから、加法の交換法則は負の数を含んでいる加法の計算でも成り立つことがわかります。

 同様に、(-5)+(-3)+(-2)という負の数どうしの加法の計算について考えてみましょう。

{(-5)+(-3)}+(-2)のように、先に(-5)+(-3)を計算してから-2をたした場合

(-5)+{(-3)+(-2)}のように、先に(-3)+(-2)を計算してから-5をたした場合

どちらの場合も、計算結果は同じ「-10」になります。

 このことから、加法の結合法則は負の数を含んでいる加法の計算でも成り立つことがわかります。

 このように、加法の交換法則・結合法則は、負の数を含んでいる場合でも成り立ちます。

 つまり、正負の数の減法は加法になおして計算すれば、計算の順序を気にしなくてもよくなります。

 さらに、数の入れ替えも可能になるため、計算がやりやすくなります。

※減法を加法になおす方法については、こちらの記事で詳しく説明していますので、参考にしてください→「正負の数の減法をマスターする」

楽しそうに勉強する子どもたち

 例として、(+3)-(+5)-(+2)-(-4)という、正負の数の減法の計算を考えてみましょう。

 減法を加法になおす

(+3)-(+5)-(+2)-(-4)

 =(+3)+(-5)+(-2)+(+4)

 ここで、正の数どうし・負の数どうしでまとめて計算するため、交換法則を使って数を入れ替えると…

(+3)+(-5)+(-2)+(+4)

=(+3)+(+4)+(-5)+(-2)

 次に、結合法則を使って、正の数どうし・負の数どうしをそれぞれ計算すると、

(+3)+(+4)+(-5)+(-2)

=(+7)+(-7)

=0

  加法の交換法則・結合法則は負の数を含んでも成り立つため、正負の数の減法は加法になおして計算すると、計算がやりやすくなります。

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②乗法の交換法則・結合法則について

ここからは、乗法(かけ算)の交換法則と結合法則について、除法(わり算)の場合と比較しながら、これらの法則のメリットを見ていきましょう。

(ⅰ)乗法の交換法則 

 まずは乗法の交換法則について考えてみましょう。

 例えば、「2×3」という加法の計算を考えてみましょう。

 2と3を入れ替えて「3×2」という形に変えても計算結果は同じになります。

 このようにたし算と同様、かけ算は、数を入れ替えても計算結果が同じになるので、

□ × △ = △ × □ 」が成り立ちます。

 このことを乗法の交換法則といいます。

 ちなみに減法と同様に、除法(わり算)の場合も、交換法則が成り立ちません

 例えば、「4÷2」という除法の計算を考えてみましょう。

 4と2を入れ替えて「2÷4」という形に変えてしまうと、どうなるでしょう?

 前者は「4÷2=2」、後者は「2÷4=0.5」となります。

 つまり、計算結果が異なってしまいます。

 このことから減法と同様、除法の場合も数を入れ替えて計算してはいけないことがわかります。

勉強している少年のイラスト

(ⅱ)乗法の結合法則

 次に加法の結合法則について考えてみましょう。

 例えば、「8×4×2」という乗法の計算を考えてみましょう。

 (8×4)×2のように、先に8×4を計算してから2をかけた場合。

 8×(4×2)のように、先に4×2を計算してから8をかけた場合。

 どちらの場合も、計算結果は同じ「64」になります。

 このように3つ以上の数のかけ算において、先に計算するところが違っても計算結果が同じになるので、

(□ × △) × 〇 = △ × (□ × 〇)」が成り立ちます。

 このことを乗法の結合法則といいます。

 ちなみに減法の場合と同様、除法の場合、結合法則も成り立ちません

 例えば、「8÷4÷2」という除法の計算を考えてみましょう。

 (8÷4)÷2のように先に8÷4を計算してから2でわる場合。

 8÷(4÷2)のように先に4÷2を計算して、その計算結果の2で4をわる場合。

 前者は(8÷4)÷2= 2÷2= 1

 後者は8÷(4÷2)= 8÷2= 4

 このように、計算結果が異なってしまいます。

 このことから、除法では必ず、数を左から順に計算していかなければならないことがわかります。

一生懸命、勉強している女の子

(ⅲ)乗法の交換法則・結合法則は「負の数」を含んでも成り立つ

 加法の場合と同様、乗法の交換法則・結合法則も、負の数を含んでいる加法の計算でも成り立ちます

 そのことを確かめるために、負の数を含む乗法の式を例に挙げてみます。

 (-2)×(-6)という乗法の計算について考えてみましょう。

 -2と-6を入れ替えて「(-6)×(-2)」という形に変えても、計算結果は同じ「+12」になります。

 このことから、乗法の交換法則は負の数を含んでいる加法の計算でも成り立つことがわかります。

 また「(-5)×(-3)×(-2)」という乗法の計算についても考えてみましょう。

{(-5)×(-3)}×(-2)のように、先に(-5)×(-3)を計算してから-2をかけた場合。

(-5)×{(-3)×(-2)}のように、先に(-3)×(-2)を計算してから-5をかけた場合。

 どちらの場合も、計算結果は同じ「-30」になります。

 このことから、乗法の結合法則は負の数を含んでいる加法の計算でも成り立つことがわかります。

楽しそうに勉強する子どもたち

(ⅳ)除法は逆数のかけ算になおして計算する!

 減法を加法になおして計算すると、加法の交換法則・結合法則を使うことができるので、計算がやりやすくなりました。

 除法の場合にも、同じことが言えます。

 除法を乗法になおして計算すると、乗法の交換法則・結合法則を使うことができるので、計算をやりやすくすることができます。

 では、除法をどうすれば乗法になおすことができるのか?

 まずは、分数のわり算の計算方法をおさらいから始めてみましょう。

 例えば、「3/4 ÷ 2/5」という分数のわり算の計算について考えてみると…

 3/4 ÷ 2/5

 = 3/4 × 5/2

 = 15/8

 このように、2/5でわる場合、分母と分数をひっくり返した数である2/5をかけて計算することができました。

 もとの分数の分母と分子をひっくり返した数のことを、逆数といいます。

 このように分数のわり算は、逆数のかけ算になおして計算することができます。

※YouTubeに「分数のわり算を逆数のかけ算になおす理由」についての詳しい解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい。
 

 そして、分数のわり算だけでなく、わり算という計算自体、逆数のかけ算になおして計算することができます。

 例えば、「4÷5」というわり算の計算について考えてみると…

 4÷5

 = 4/1 ÷ 5/1

 = 4/1 × 1/5 = 4/5

 整数の5を分母が1の分数「5/1」と考えることで、5でわる計算を逆数の1/5をかける計算になおしているのです。

 つまり、除法を乗法になおすには、逆数のかけ算にすればよいことになります。

 徐法を乗法になおして計算すれば、乗法の交換法則・結合法則を使うことができます。

 すると、計算の順序を気にしなくてもよくなり、数の入れ替えも可能になるため、計算がやりやすくなります。

 例えば、「6÷5÷3×10」という、乗法と除法が混じった計算を考えてみましょう。

 まず、除法を乗法になおすと…

 6÷5÷3×10

=6 × 1/5 × 1/3 × 10

 ここで、乗法の交換法則を使って、数を入れ替えて計算しやすくします。

 6 × 1/5 × 1/3 × 10

 =6 × 1/3 × 10 ×1/5

 さらに乗法の結合法則を使って、”6 × 1/3″“10 ×1/5”をそれぞれ先に計算します。

“6 × 1/3=2”10 ×1/5=2″なので、

6 × 1/3 × 10 ×1/5

=2 × 2

=4

 このように、除法を乗法になおすと乗法の交換法則・結合法則を使うことができるので、計算がやりやすくなります。

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