中学社会の公民の政治分野で「衆議院と参議院」について学習します。
衆議院と参議院は、議員の任期や被選挙権が与えられる年齢、選挙の方法と選挙区、総議員数など異なる点が多いため、よく分からなくなる中学生が少なくありません。
この記事では、これら衆議院と参議院のちがいについて、1つ1つ詳しく丁寧に説明していきます。
さらに、衆議院と参議院のちがいについてのゴロ合わせによる覚え方も紹介していますので、ぜひ最後までご覧下さい。
この記事の目次は以下の通りです。
① 衆議院ってどんな議院?
まずはじめに、衆議院がどんな議院なのかについて解説していきます。
↓の内容を順に説明していきますね。
① 議員の任期
② 被選挙権の年齢
③ 選挙制度と選挙区
④ 議員数
(ⅰ) 議員の任期
任期とは、選挙で選ばれて議員となった者が議員として在任する期間のことです。
衆議院議員の場合、任期は4年であり、任期が終わると任期満了による選挙が行われます。
また、衆議院では任期が終わる前に衆議院が解散する場合があります。
この場合、すべての衆議院議員はたとえ任期が残っていても議員の資格を失い、解散にともなう選挙がおこなわれることになる。
(ⅱ) 被選挙権の年齢
選挙権は投票することができる権利ですが、被選挙権はどんな権利かわかりますか?
被選挙権とは、選挙のとき立候補することができる権利のことです。
選挙権は18歳以上のすべての国民に与えられますが、被選挙権が与えられる年齢は立候補する役職によって異なります。
衆議院議員の場合、被選挙権が与えられる年齢は25歳以上になります。
(ⅲ) 選挙制度と選挙区
衆議院議員の選挙では、小選挙区比例代表並立制という選挙制度が導入されています。
この選挙制度は、小選挙区選挙と比例代表選挙という2つの選挙方法を組合せて行われるやり方です。
小選挙区選挙とは、1つの選挙区から1人だけ当選する選挙制度です。
衆議院で行われる小選挙区選挙では、全国を289区に分け、289人の議員が選ばれます。
一方、比例代表選挙は、政党に投票し政党の得票数に応じて各政党の議席数がきまっていく選挙制度です。
衆議院で行われる比例代表選挙は、全国を11のブロックに分けて行われます。
もう少し具体的に説明すると、地域ごとに九州ブロック、中国ブロック、近畿ブロックというように11のブロックに分けられており、それぞれのブロックで比例代表選挙が行われます。
そして、11のブロックで行われる比例代表選挙により選ばれる議員は、176人になります。
(ⅳ) 衆議院の議員数
衆議院の総議員数は、小選挙区選出の289人と比例代表選出の176人を合計した465人になります。
以上、ここまで衆議院がどんな議院であるのかについて、説明していきました。
つづいて、参議院において同様の項目がどうなっているのかについて、詳しく見ていきましょう。
② 参議院ってどんな議院?
ここからは、参議院がどんな議院なのかについて解説していきたいと思います。
衆議院と同様、↓の項目を説明していきます。
① 議員の任期
② 被選挙権の年齢
③ 選挙制度と選挙区
④ 議員数
(ⅰ) 議員の任期
参議院議員の場合、任期は6年です。
参議院は衆議院と違って解散はないので、基本的には任期が終わるまで議員を続けることができます。
また参議院では、3年ごとに半数の議員が改選されます。
もう少し詳しく説明すると、参議院の議員数248人を1回の選挙ですべて選出するのではなく、3年ごとに半分の124人の議員を選ぶ選挙が行われます。
(ⅱ) 被選挙権の年齢
衆議院と同様、参議院議員選挙の選挙権も18歳以上のすべての国民に与えられますが、被選挙権が与えられる年齢は衆議院とは異なります。
参議院議員の場合、被選挙権が与えられる年齢は30歳以上になります。
ちなみに、都道府県知事の被選挙権が与えられる年齢も30歳以上ですので、セットで覚えておくとよいでしょう。
参議院議員や都道府県知事の被選挙権が与えられる年齢が30歳以上と、他のものより年齢が高く設定されているのは、見識や知識、経験などが必要とされるためのようです。
(ⅲ) 選挙制度と選挙区
参議院議員の選挙では、原則として都道府県単位で行われる選挙区選挙と、全国を1つのブロックとする比例代表選挙が実施される。
選挙区選挙は、全国を45の選挙区に分けて行われます。
原則として都道府県単位だが、鳥取県と島根県、徳島県と高知県を1つの選挙区としているため”47-2=45″で、選挙区は45になっています。
また、1つの選挙区で2名(1回の選挙では1名)が選出される都道府県が多いのですが、人口が多い都道府県の選挙区では(東京都や神奈川県、愛知県や大阪府など)、複数名が選出されます。
ちなみに、選挙区選挙で選ばれる議員は全部で148人であり、1回の選挙ではその半分である74人が選出されます。
一方、比例代表選挙は全国を1つのブロックとして選挙が行われます。
比例代表選挙で選ばれる議員は全部で100人であり、1回の選挙ではその半分である50人が選出されます。
(ⅳ) 参議院の議員数
参議院の総議員数は、選挙区選出の148人と比例代表選出の100人を合計した248人になります。
以上、ここまで参議院がどんな議院であるのかについての解説になります。
ここまで、衆議院と参議院のいろいろな選挙制度が出てきました。
この記事ではそれぞれの選挙制度について詳しく解説できませんでしたが、詳しく知りたい人は選挙制度についてまとめた解説動画をYouTubeに投稿していますので、↓のリンクからぜひご覧下さい。
③ 衆議院と参議院のちがいをまとめてみた!
ここでは、衆議院と参議院のちがいについて、比較しながらまとめて見ていきたいと思います。
表として↓にまとめてみましたので、まずはコチラに目を通してみて下さい。
表にまとめてみましたが、簡潔に↓に書き出してみますね。
① 各議院の議員の任期
・衆議院は4年。ただし任期が残っていても衆議院の解散により失職することもある。
・参議院は6年。3年ごとに半数が改選される。
② 各議院の被選挙権が与えられる年齢
・衆議院の被選挙権が与えられる年齢は、25歳以上。
・参議院の被選挙権が与えられる年齢は、30歳以上。
③ 各議院の選挙制度と選挙区
・衆議院の選挙は人小選挙区比例代表並立制が採用されている。
小選挙区選挙では289の選挙区から289人が選出される。
比例代表選挙では11のブロックから176人が選出される。
・参議院の選挙は選挙区選挙と比例代表選挙が行われている。
選挙区選挙では45の選挙区から148人が選出される。
比例代表選挙では全国を1つのブロックとして100人が選出される。
④ 各議院の議員数
・衆議院の議員数は、465人。
・参議院の議員数は、248人。
ここまでで、衆議院と参議院のちがいについて大まかに把握できたと思います。
次に、衆議院と参議院のちがいを覚えるためのゴロ合わせを紹介していきますので、引き続き読み進めて下さいね。
④ 衆議院と参議院のちがいを覚えるゴロ合わせ
それでは、ここまで解説してきた『衆議院と参議院のちがい』を覚えるゴロ合わせを紹介していきますね。
まずは衆議院の内容を覚えるゴロ合わせを紹介します。
それが、
『修理したかい? 2個の小ビン』
です。
割ってしまった2個の小ビンを、接着剤で修理したかどうかを尋ねているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・修(理)→ 衆議院
・し(た)→ 任期4年、かい→ 解散
・2個→ 被選挙権25歳
・小→ 小選挙区、ビン→ 比例代表
つづいて参議院の内容を覚えるゴロ合わせを紹介します。
それが、
『悲惨、ろくでもねぇサンマ選び』
です。
魚屋さんでバイトしたら、いいサンマを選ぶ作業をずっとやらされてしまい、やる気のない悲惨な状態になっているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・(悲)惨→ 参議院
・ろく(でもねぇ)→ 任期6年
・サン(3)マ(0)→ 被選挙権30歳
・選→ 選挙区選挙、び→ 比例代表選挙
最後に衆議院と参議院の議員数を覚えるゴロ合わせを紹介します。
衆議院の議員数のゴロ合わせが、
『週4、むごい』
です。
週4回も過酷なトレーニングをやらされて、つらそうにしているスポーツ選手をイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・週→ 衆議院
・4む(6)ご(5)い→ 465人
参議院の議員数のゴロ合わせが、
『札のシワ』
です。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・さ→ 参議院
・つ(2)し(4)わ(8)→ 248人
※YouTubeに「衆議院と参議院のちがい」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
⑤ 衆議院と参議院のちがいの練習問題
それでは最後に、ここまで解説してきた『衆議院と参議院のちがい』についての練習問題を用意しました。
問題にチャレンジして、この記事をしっかり理解できたかを確認しましょう。
【問】( )に入る適当な語句を答えなさい。
(1) 衆議院議員の任期は( ① )年であるが、( ② )により失職する場合がある。また参議院議員の任期は( ③ )年であり、参議院は( ④ )年ごとに半数が改選される。
(2) 衆議院の被選挙権が与えられる年齢は( ⑤ )歳以上であり、参議院の被選挙権が与えられる年齢は( ⑥ )歳以上である。
(3) 衆議院の選挙は( ⑦ )制が採用されている。小選挙区選挙では( ⑧ )の選挙区から(⑧)人が選出され、比例代表選挙では( ⑨ )のブロックから176人が選出される。
(4) 参議院の選挙は( ⑩ )選挙と( ⑪ )選挙が行われる。(⑩)選挙では( ⑫ )の選挙区から148人が選出され、(⑪)選挙では全国を1つのブロックとして100人が選出される。
(5) 衆議院のすべての議員数は( ⑬ )人、参議院のすべての議員数は( ⑭ )人である。
解答解説は↓の通りです。
(1) ①4(年)、②解散、③6(年)、④3(年)
(2) ⑤25(歳)、⑥30(歳)
(3) ⑦小選挙区比例代表並立(制)、⑧289、⑨11
(4) ⑩選挙区(選挙)、⑪比例代表(選挙)、⑫45
(5) ⑬465(人)、⑭248(人)
問題はすべて正解できましたか?
まちがったところがあれば、復習してしっかり覚えておきましょう!
記事のまとめ
以上、中3公民で学習する「衆議院と参議院のちがい」について、解説と覚え方を詳しく紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
今回の記事のポイントをまとめると…
・ 衆議院は4年。ただし衆議院の解散により失職する場合がある。
・ 参議院は6年。3年ごとに半数が改選される。
・ 衆議院の被選挙権を得る年齢は30歳以上。
⇒ 衆議院では、小選挙区比例代表並立制という選挙制度が導入されている。
・ 小選挙区選挙では289の選挙区から289人が選出
⇒ 参議院の選挙は選挙区選挙と比例代表選挙が行われる。
・ 選挙区選挙では45の選挙区から148人が選出
・し→ 任期4年、かい→ 解散
・小→ 小選挙区、ビン→ 比例代表
・ろく→ 任期6年
・選→ 選挙区選挙、び→ 比例代表選挙
・さ→ 参議院、つ(2)のシ(4)ワ(8)→ 248人
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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