今回の記事は、中学国語の国文法で学習する『動詞の活用形』の見分け方と覚え方について詳しい解説をやっていきたいと思います。
・この記事の内容は、以下の通りです。
『動詞の活用形』は学校の定期テストはもちろんのこと、入試でもよく出題される分野なので、この記事を読んでしっかり身に付けましょう!
➀『活用』ってなに?
『動詞の活用形』の前に、そもそも『活用』とは何なのかについて説明しますので、しっかり理解しておきましょう。
『活用』とは『後に続くことばにより、その単語が変化する』ことです。
↑の説明だけではイメージがわきにくいと思うので、例を挙げてもう少し具体的に説明していきますね。
動詞『走る』の後に『ます』を付け加えると『走ります』となり、『走る』が『走り』に変化していますよね。
・『走る』+『ます』⇒ 走ります
同様に、『走る』の後に『ない』を付け加えると『走らない』となり、『走る』が『走ら』に変化していますよね。
・『走る』+『ない』⇒ 走らない
↑に挙げた例のように、『走る』の後に『ます』『ない』を付け加えると、『走る』が『走り』『走ら』のように変化することを、活用するといいます。
『活用』とは何かを理解してもらえたと思いますので、つづいては『活用形』について詳しく見ていきましょう!
②『活用形』ってなに?
ここからは『活用形』について詳しく解説していきたいと思います。
『走る』に『ます』や『ない』を付け加えて、『走ります』『走らない』と活用しましたよね。
このように、後に続く言葉が異なると、活用の仕方も変わります。
より詳しく言うと、この活用の仕方(活用の形)は全部で6種類あります。
活用のしかた(活用の形)を『活用形』といい、活用形は『未然形』『連用形』『終止形』『連体形』『仮定形』『命令形』の6つがあります。
いきなり、6つも『〇〇形』という用語が出てきてビックリした人もいると思うので、1つ1つの活用形を丁寧に説明していきますね。
(ⅰ)『未然形』ってなに?
動詞の後に『ない』や『れる』『られる』が続くとき、活用形は『未然形』になります。
例として動詞『怒る』に『ない』『れる』を付け加えてみましょう。
・『怒る』+『ない』⇒ 怒らない (『怒る』が『怒ら』に活用)
・『怒る』+『れる』⇒ 怒られる (『怒る』が『怒ら』に活用)
↑の例ではともに、『怒る』が『怒ら』に活用していますね。
他に動詞が『未然形』になる、後に続く言葉として『う』『よう』があります。
『怒る』に『う』を付け加えてみましょう。
・『怒る』+『う』⇒ 怒ろう (『怒る』が『怒ろ』に活用)
『ない』『れる』が後に続く場合は『怒ら』、『う』が後に続く場合は『怒ろ』が『未然形』になります。
後に続く言葉の違いにより、『未然形』には例に挙げた『怒ら』と『怒ろ』のように2種類ある場合があります。
紛らわしいですが、注意して下さいね。
(ⅱ)『連用形』ってなに?
動詞の後に『ます』や『て』『た』が続くとき、活用形は『連用形』になります。
例として動詞『走る』に『ます』『て』『た』を付け加えてみましょう。
・『走る』+『ます』⇒ 走ります (『走る』が『走り』に活用)
・『走る』+『て』⇒ 走って (『走る』が『走っ』に活用)
・『走る』+『た』⇒ 走った (『怒る』が『走っ』に活用)
↑の例ではともに、『走る』が『走り』『走っ』に活用していますね。
『走る』の後に『て』が続くと、本来は『走りて』となるのですが、『り』の音が発音しやすい『っ』と変化します。
同様に『走る』の後に『た』が続くと、本来は『走りた』となるのですが、『り』の音が『っ』と変化します。
このように、動詞の後に『て』『た』が続き、その動詞が連用形になる場合、発音しやすい音に変化することを『音便』といいます。(※特に『っ』に変化する音便を『促(そく)音便』といいます)
他の音便の例を↓に挙げておきます。
『書く』に『ます』が付け加わると『書きます』となります。
一方『書く』に『て』を付け加えると、『書きて』とはならず『書いて』となります。
『き』は発音しやすい『い』に変化していますね。(※『い』に変化する音便を『イ音便』といいます)
『読む』に『ます』が付け加わると『読みます』となります。
一方『読む』に『て』を付け加えると、『読みて』とはならず『読んで』となります。
『み』は発音しやすい『ん』に変化していますね。(※『ん』に変化する音便を『撥(はつ)音便』といいます)
※YouTubeに「音便」についての解説動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
(ⅲ)『終止形』ってなに?
動詞が言い切りの形のとき、その活用形は『終止形』になります。
↓のような場合、その活用形は終止形です。
・私はよく笑う。(動詞『笑う』は終止形)
・鳥が高く飛ぶ。(動詞『飛ぶ』は終止形)
基本的には言い切りの形が『終止形』なのですが、それ以外に『と』『から』が動詞の後に続くときも活用形は『終止形』となります。
↓に例を挙げておきます。
① 母が怒ると、弟は静かになる。
② すぐ怒るから、みんなに嫌われる。
①『と』の前の動詞『怒る』は、終止形です。
②『から』の前の動詞『怒る』は、終止形です。
活用形が終止形になる後に続く言葉は『と』『から』以外にもいくつかありますが、とりあえず言い切りの形以外も終止形になる場合があるんだということを頭に入れておきましょう。
(ⅳ)『連体形』ってなに?
動詞の後に『名詞(体言)』が続くとき、活用形は『連体形』になります。
↓に『連体形』の例を挙げておきます。
① 走る人が公園にいる。
② 食べるときは静かにする。
③ 歩くことは健康にいい。
①名詞『人』の前の動詞『走る』は、連体形です。
②名詞『とき』の前の動詞『食べる』は、連体形です。
③名詞『こと』の前の動詞『歩く』は、連体形です。
動詞の後に続く語が名詞(体言)以外、『の』(ので・のに)に続く場合も『連体形』になります。
↓に例を挙げておきます。
③ 母は毎日歩くので健康だ。
④ 父はたくさん食べるのにやせている。
③『ので』の前の動詞『歩く』は、連体形です。
④『のに』の前の動詞『食べる』は、連体形です。
気付いた人もいるかもしれませが、動詞の『終止形』と『連体形』は同じ形になるので、見分けるときは後に続く語で判断しましょう。
(ⅴ)『仮定形』ってなに?
動詞の後に『~ば』(「もし~すれば」という仮定の形)が続くとき、活用形は『仮定形』になります。
↓に動詞『降る』を使った例を挙げておきます。
・雨が降れば、試合は中止だ。
例文の『ば』の前の『降れ』は、動詞『降る』の仮定形になります。
(ⅵ)『命令形』ってなに?
動詞を命令する言い切りの形にしたとき、活用形は『命令形』になります。
↓に『命令形』の例を挙げておきます。
① もっと早く走れ。
② 静かに食べろ。
③ こちらを見ろ。
①『走れ』は、動詞『走る』の命令形です。
②『食べろ』は、動詞『食べる』の命令形です
③『見ろ』は、動詞『見る』の命令形です
ここまでの説明で、『活用形』とは何かを理解してもらえたと思いますので、つづいては『活用形の見分け方』について詳しく見ていきますね。
➂ 『活用形』の見分け方
ここからは『動詞の活用形』の見分け方について解説していきます。
各活用形の説明を読んで勘のいい人は気づいたかもしれませんが、動詞の活用形を見分ける方法は、
動詞の後に続く言葉で判断する
というやり方です。
各活用形のとき、動詞の後にどのような言葉が続くのかを↓にまとめておきますね。
(1) 動詞の後に続く言葉が『ない』『れる・られる』『う・よう』のとき、その動詞の活用形は『未然形』になります。
↓に未然形の例をいくつか挙げておきます。
①母はあまり歩かない。
②先生に怒られる。
③もっと遊ぼう。
(2) 動詞の後に続く言葉が『て(で)』『た(だ)』『ます』のとき、その動詞の活用形は『連用形』になります。
↓に連用形の例をいくつか挙げておきます。
①僕は歩いて公園に行く。
②昨日、果物を食べた。
③面白い本を読みます。
(3) 動詞が言い切りの形のときと、後に続く言葉が『と』『から』のとき、その動詞の活用形は『終止形』になります。
↓に終止形の例をいくつか挙げておきます。
①私は公園で遊ぶ。
②毎日歩くと健康にいい。
③本を読むから彼は頭がいい。
(4) 後に続く言葉が名詞(体言)のとき、さらに『の(ので・のに)』のとき、その動詞の活用形は『連体形』になります。
↓に連体形の例をいくつか挙げておきます。
①走る車を追いかける。
②私は毎日歩くので健康だ。
③呼ぶのに気づいてもらえない。
(5) 後に続く言葉が『ば(~すればの形)』のとき、その動詞の活用形は『仮定形』になります。
↓に仮定形の例を挙げておきます。
・ご飯を食べれば元気が出る。
(6) 動詞が命令する言い切りの形のとき、その動詞の活用形は『命令形』になります。
↓に命令形の例を挙げておきます。
・もっと早く歩け。
↓に動詞の活用形を答える練習問題を用意しています。
各活用形に続く言葉をきちんと覚えることができたか、確認してみましょう!
【問】下線部の動詞の活用形を答えましょう。
(1) 急げば、電車に間に合う。
(2) 歩く人にあいさつする。
(3) きっとうまくいくと思う。
(4) 彼はマンガ本を読まない。
(5) 今日は公園で遊びます。
(6) もっと大きな声を出せ。
【解答】(1) 仮定形、(2) 連体形、(3) 終止形、(4) 未然形、(5) 連用形、(6) 命令形
➃『活用形』の覚え方
ここでは『活用形』を覚えるゴロ合わせを紹介したいと思います。
活用形は全部で6種類ありましたが、全部覚えていますか?
活用形は『未然形』『連用形』『終止形』『連体形』『仮定形』『命令形』を覚えるゴロ合わせが↓です。
『見よう、死体』
『勝手にメッ!!』
お葬式でいたずらっ子たちが勝手に棺の中のご遺体を見ようとして、周りの大人に怒られているところをイメージしてもらうとよいでしょう。
ゴロ合わせの内訳は↓の通りです。
・見→ 未然形
・よう→ 連用形
・死→ 終止形
・体→ 連体形
・勝手→ 仮定形
・メッ→ 命令形
※YouTubeに「活用形の覚え方」のゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
【動画】中学国語ゴロ合わせ「活用形の覚え方と見分けるポイント」
⑤『活用形に続く語』の覚え方
ここでは、各活用形に続く言葉を覚えるゴロ合わせを紹介していきます。
① 動詞が『未然形』のとき、後に続く言葉は『ない』『れる(られる)』『う(よう)』でしたね。
この内容を覚えるゴロ合わせが、
『身銭ない、売れる?』
です。
身銭のない人が、しつこく商品を売りつけようとするセールスマンにキレながら言っているところをイメージしてもらうとよいでしょう。
ゴロ合わせの内訳は↓の通りです。
・身銭→ 未然形
・ない→ ない
・売(う)→ う・よう
・れる→ れる・られる
② 動詞が『連用形』のとき、後に続く言葉は『て(で)』『た(だ)』『ます』でしたね。
これら以外に『、(読点)』が続く場合も、活用形は連用形になります。
この内容を覚えるゴロ合わせが、
『用って、マスター?』『…。』
です。
バーのマスターが店で働く女性に告白したくて呼び出したが、恥ずかしくて何も言えなくなったところをイメージしてもらうとよいでしょう。
ゴロ合わせの内訳は↓の通りです。
・用→ 連用形
・て→ て・で
・マス→ ます
・ター→ た・だ
・… → 、(読点)
③ 動詞が『終止形』のとき、後に続く言葉は『と』『から』でしたね。
これら以外に、言い切りの形のとき、つまり『。(句点)』が続く場合も、活用形は終止形になります。
この内容を覚えるゴロ合わせが、
『糸と絡まる』
です。
不器用な人が裁縫をしていたら、糸と絡まってぐるぐる巻きになって困っているところをイメージしてもらうとよいでしょう。
ゴロ合わせの内訳は↓の通りです。
・糸→ 終止形
・と→ と
・絡(から)→ から
・まる → 。(句点)
④ 動詞が『連体形』のとき、後に続く言葉は『名詞』『の(ので・のに)』でしたね。
また、動詞が『仮定形』のとき、後に続く言葉は『~ば』でした。
これらの内容を覚えるゴロ合わせが、
『勝てば、鯛の飯』
です。
スポーツの大会で勝ったら、お祝いで鯛の御飯が食べられることを想像している選手たちをイメージしてもらうとよいでしょう。
ゴロ合わせの内訳は↓の通りです。
・勝て→ 仮定形
・ば→ ~ば
・鯛(たい)→ 連体形
・の→ の(ので・のに)
・飯(めし)→ 名詞
※YouTubeに「活用形に接続する語」のゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
記事のまとめ
以上『動詞の活用形』の解説と見分け方・覚え方を詳しく見てきましたが、いかがだったでしょうか?
記事のポイントを↓にまとめたので、ぜひご覧下さい。
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。
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