中学社会の公民で学習する「基本的人権」。
自由権や平等権に社会権、参政権や請求権、さらには新しい人権まで、たくさんの種類が出てくるため、全部を覚えきれないという中学生も多いでしょう。
この記事では基本的人権について、1つ1つの権利を簡潔で分かりやすく説明して、さらにゴロ合わせによる覚え方も紹介していきますので、ぜひ最後までご覧下さい。
この記事でお教えする内容は、以下の通りです。
①『人権』と『基本的人権』のちがい
基本的人権の解説をはじめる前に、『人権』と『基本的人権』のちがいについて、カンタンに説明しておきたいと思います。
中学公民の学習においては、『人権』も『基本的人権』もだいたい同じものとして考えてよいのですが、厳密には少しちがいがあります。
『人権』だと、
『国家が成立する前から人が当然に持っている権利』
『基本的人権』だと、
『国家によって人に保障されている権利』
という意味にそれぞれなります。
国家がない状態でも成立する『自由権』などは『人権』と『基本的人権』の両方に含まれます。
一方、国家の政治に参加する権利である『参政権』や、国家が社会的弱者を保障する『社会権』などは、『基本的人権』にしか含まれません。
中学公民では、憲法によって国家が人々に保障する権利である『基本的人権』を学習するので、この記事内では『基本的人権』を用いていきますね。
②『基本的人権』を3つに分類する!
それでは『基本的人権』について、詳しく解説していきますね。
『基本的人権』には、『自由権』『平等権』『社会権』『参政権』『請求権』の5つの権利が含まれています。
さらに、この5つの権利はその内容にもとづいて、↓の3つに分類されます。
①『国家からの自由』(18世紀的人権)
②『国家による自由』(20世紀的人権)
③『基本的人権を守るための権利』
結論から先に言うと、
①『国家からの自由』に分類されるのが『自由権』『平等権』
②『国家による自由』に分類されるのが『社会権』
③『基本的人権を守るための権利』に分類されるのが『参政権』『請求権』
になります。
この3つの分類についてもう少し詳しく説明していきますね。
(ⅰ)『国家からの自由』(18世紀的人権)
17世紀から18世紀にかけて、アメリカ独立革命やフランス革命など市民による近代革命がおこりました。
その中で市民が求めた人権が『自由権』と『平等権』です。
国家からあれこれ余計な口出しされることなく自由に経済活動などを行う権利や、国家から身分により差別されることなく平等に扱われる権利が認められていきました。
このことから『自由権』『平等権』を、国家から余計なことをされない『国家からの自由』とまとめることができます。
これらの権利が認められた結果、19世紀には自由な経済活動が活発になり、資本主義経済が発展しました。
その一方で経済的格差が拡大し、劣悪な労働環境で働く労働者や社会的弱者は、自由権や平等権だけでは救われない状況がありました。
(ⅱ)『国家による自由』(20世紀的人権)
資本主義が発展した19世紀、労働者や社会的弱者は自由権や平等権だけでは救済されませんでした。
しかし20世紀に入り、労働者や社会的弱者に、国家により人間的な生活が保障される権利である『社会権』が認められるようになっていきました。
社会権は、人々の生活を保障するため国家が積極的に介入していく権利であることから『国家による自由』に分類されます。
(ⅲ)『基本的人権を守るための権利』
日本国憲法には、認められた基本的人権を国民が守るための権利も保障されています。
その中の1つに、政治に参加する権利である『参政権』があります。
国民が政治に参加することで、国家が自分たちの基本的人権を侵害することがないよう働きかけることができます。
政治家を選挙する権利である『選挙権』や、選挙に立候補する権利である『被選挙権』も、この参政権に含まれます。
参政権以外にも、国民の人権が侵害されたとき国に請求し救済を求める権利である『請求権』も、基本的人権を守るための権利の1つです。
請求権の1つに、個人の利益や権利が侵害されたとき、裁判所に訴えて公正な裁判を受けることができる『裁判を受ける権利』があります。
他に↓の権利も請求権に含まれます。
『国家賠償請求権』⇒ 国や地方公共団体の公務員の違法行為によって損害を受けたとき、その賠償を請求できる権利
『刑事補償請求権』⇒ 刑事事件の裁判で無罪となった場合、その補償を国に請求できる権利
(ⅳ)『基本的人権』のゴロ合わせ
ここまで説明してきた『基本的人権』に含まれる、5つの権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが
『重病者かい?』
『サンキュー!』
です。
具合が悪そうな重病人に声をかけて感謝されているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・重(じゅう)→ 自由権
・病(びょう)→ 平等権
・者(しゃ)かい→ 社会権
・サン→ 参政権
・キュー→ 請求権
※YouTubeに「基本的人権」についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
※YouTubeに「基本的人権」についての詳しい解説動画もアップしていますので、↓のリンクから合わせてご覧下さい!
③『自由権』の種類と覚え方
ここでは基本的人権に含まれる権利の1つである『自由権』について、詳しく解説していきます。
自由権とは『国家に干渉されることなく、個人が自由に物事について考えたり行動したりすることができる』権利です。
この自由権は、さらに↓の3つに分類されます。
①身体の自由
②精神の自由
③経済活動の自由
これらの自由については後で詳しく説明していますので、とりあえず①~③の自由を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『自由な体勢でOK?』
です。
腰が悪い人がずっと同じ姿勢でいることがきつくて、自由な体勢でよいか許可をとっているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・自由な→ 自由権
・体(たい)→ 身体の自由
・勢(せい)→ 精神の自由
・K(ケイ)→ 経済活動の自由
※YouTubeに「自由権」についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
(ⅰ)『身体の自由』とは?
身体の自由とは『正当な理由もないのに身体を拘束されたり、罪を犯していないのに刑罰を与えられたりしない自由』のことです。
日本国憲法では身体の自由を保障するために、
・法定手続きの保障(法律による手続きなしに刑罰を科せられたりしない)
・裁判官が出す令状なく逮捕や捜索をすることの禁止
・拷問や残虐な刑罰などの禁止
などが定められています。
(ⅱ)『精神の自由』とは?
精神の自由は『頭の中で考えたり心の中で思ったりすること、考えたり思ったりしたことを発表することの自由』です。
日本国憲法では精神の自由として、
などを保障しています。
これら精神の自由を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『質素な両親と新居で集会、
ケツが表面出てガクッ』
です。
倹約家の両親と新居で集会したら、両親のズボンが古すぎるため破れていてお尻が出ていてガックリきたところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・質素な→ 思想の自由、両親→ 両親の自由
・新居→ 信教の自由
・集会→ 集会の自由、ケツ→ 結社の自由、表面→ 表現の自由
・ガク→ 学問の自由
(ⅲ)『経済活動の自由』とは?
経済活動の自由は『個人や企業が自由に経済活動を行ってよいという自由』です。
日本国憲法では経済活動の自由として、
などを保障しています。
これら経済活動の自由を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『今日中に移動し、食材探す』
です。
食料が尽きた探検家が場所を移動して、何とか今日中に食料を探そうと決意しているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・今日中→ 居住の自由、移動→ 移動の自由
・食(しょく)→ 職業選択の自由
・材(ざい)→ 財産権
④『平等権』の大切なポイント
ここでは基本的人権に含まれる権利の1つである『平等権』について、詳しく解説していきます。
平等権とは『すべての国民が差別されることなく、平等な扱いを受ける権利』のことです。
しかし、現在の日本では様々な差別が残っています。
そこで問題となっている差別の種類と、その差別をなくすために制定された法律について説明していきたいと思います。
(ⅰ)部落差別について
部落差別とは、被差別部落の出身の人々に対する差別や偏見のことです。
江戸時代の身分制度による『えた・ひにん』身分に対する差別は、明治時代に解放令が出されて廃止されたものの、差別は解消されることなく残り続けました。
1961年に部落差別の解消の実現を目的に同和対策審議会が設置されたり、2016年に部落差別解消推進法が制定されたりするなど、差別解消への取り組みが続けられています。
(ⅱ)アイヌ民族への差別について
アイヌ民族は、昔から北海道を中心に生活してきた民族でした。
明治時代以降に行われた北海道の開拓に伴い、アイヌの人々は生活の基盤を失ったうえに、アイヌの伝統を否定する同化政策が進められました。
こうした背景のもと、長らく続いていたアイヌ民族に対する差別を撤廃する取り組みの中で、1997年にアイヌの伝統の尊重をうたうアイヌ文化振興法が制定されました。
さらに2019年にはアイヌ民族支援法が制定され、アイヌ民族が先住民として位置付けられることになりました。
(ⅲ)男女平等について
仕事や職場において、女性は男性に比べ雇用や昇進での扱いが不利になることが少なくありません。
このような職場での女性への差別を禁止するため、1985年に男女雇用機会均等法が制定されました。
さらに1999年には男女共同参画社会基本法が制定され、男女が対等な立場で参画できる社会を創ることが求められるようになりました。
(ⅳ)障がい者への理解について
障がいの有無などによって排除されることなく、誰もが社会の一員として参加し互いに支え合い生活する『インクルージョン』の実現した社会が求められています。
そのためには、障がい者が生活していくうえで障がい物(バリア)となっているものをなくすバリアフリーを推進し、障がい者にとって生活しやすい環境をつくる必要があります。
また1993年には、障がい者の人権の保障、障がい者の自立や社会参加の支援などを目的とした障害者基本法が制定されました。
さらに2013年には、障がい者への差別を禁止した障害者差別解消法が制定されました。
⑤『社会権』の種類と覚え方
ここでは基本的人権に含まれる権利の1つである『社会権』について、詳しく解説していきます。
社会権とは『人間らしい生活を営むための権利』のことで、社会権はさらに↓のように細かく分類されます。
①生存権
②教育を受ける権利
③勤労の権利
④労働三権(労働基本権)
これらの権利については後で詳しく説明していますので、とりあえず①~④の権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『借金、強制労働!』
です。
借金している人が、お金を返済するために強制労働をさせられているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・借(しゃ)→ 社会権
・金(きん)→ 勤労の権利
・強(きょう)→ 教育を受ける権利
・制(せい)→ 生存権
・労働→ 労働三権(労働基本権)
※YouTubeに「社会権」についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
(ⅰ)『生存権』とは?
『生存権』とは『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』のことです。
これは日本国憲法の第25条に規定されています。
この生存権を保障するために、生活保護をはじめとしたさまざまな社会保障制度が整えられています。
生存権がどんな権利であるかを問う記述問題がよく出題されるので、しっかり覚えておきましょう。
(ⅱ)『教育を受ける権利』とは?
『教育を受ける権利』とは『すべての国民がその能力に応じて等しく教育を受ける権利』のことです。
これは日本国憲法の第26条に規定されています。
また憲法26条には、すべての子どもたちが学校教育を受けられるように、義務教育を無償と定められています。
(ⅲ)『勤労の権利』とは?
『勤労の権利』とは『働く意思と能力を持っているものが、国に対して働く機会を求めることができる権利』のことです。
これは日本国憲法の第27条に規定されています。
ちなみに27条には勤労の権利とともに、勤労の義務についても規定されています。
(ⅳ)『労働三権』とは?
『労働三権』とは、『団結権』『団体交渉権』『団体行動権』の3つの権利のことで、日本国憲法第28条に規定されています。
また『労働三権』は『労働基本権』とも言います。
※ 参考書などでは、『勤労の権利』と『団結権』『団体交渉権』『団体行動権』を合わせたものを『労働基本権』としている場合もありますが、この記事では『労働三権=労働基本権』としているので、注意して下さい。
『団結権』『団体交渉権』『団体行動権』は、雇い主である使用者より弱い立場である労働者のための権利です。
『団結権』は『労働者が団結して労働組合を結成したり加入したりすることができる権利』のことです。
『団体交渉権』は『労働組合が労働条件を改善するために使用者と対等な立場で交渉することができる権利』のことです。
『団体行動権』は『要求を実現するために労働組合がストライキなどを行うことができる権利』のことです。
これらの労働三権の3つの権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『ロードで3ケツ、公道で故障』
です。
ロード(道路)でバイクを3ケツ(3人乗り)してたら、公道でバイクが故障してしまったところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・ロードで3→ 労働三権
・ケツ→ 団結権
・公道→ 団体行動権
・故障→ 団体交渉権
⑥『参政権』の種類と覚え方
ここでは基本的人権に含まれる権利の1つである『参政権』について、詳しく解説していきます。
参政権とは『国民が政治に参加することができる権利』のことです。
参政権をさらに細かく見ていくと、↓のような権利が含まれます。
①選挙権、被選挙権
②最高裁裁判官の国民審査権
③憲法改正の国民投票権
④住民投票
⑤請願権
これらの権利については後で詳しく説明していますので、とりあえず①~⑤の権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『三千品も…、
事故の審査でガ~ン!』
です。
工場で事故が起こり製品を審査したら、不良品が三千品もあってがっかりしているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・三→ 参政権
・千→ 選挙権、品(ひん)→ 被選挙権
・事(じ)→ 住民投票権
・故(こ)→ 国民投票権
・審査→ 国民審査権
・ガ~ン→ 請願権
※YouTubeに「参政権」(「請求権」も)についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
(ⅰ)『選挙権』『被選挙権』とは?
『選挙権』とは、国や地方公共団体の議員や地方公共団体の首長(都道府県知事・市区町村長)を選挙することができる権利で、満18歳以上のすべての国民に与えられています。
一方の『被選挙権』は、選挙に立候補することができる権利のことです。
ただし立候補できる年齢には↓のように違いがあるので、注意が必要です!
・参議院議員と都道府県知事は30歳以上
・衆議院議員と市区町村長と地方議会議員は25歳以上
(ⅱ)『国民審査権』とは?
『国民審査権』とは、最高裁判所の裁判官の任命について、適切かどうかを直接、国民が投票で審査することができる権利のことです。
最高裁判所の裁判官が①「就任してから最初の衆議院議員の総選挙のとき」と、②「前回の審査から10年後以降の最初に行われる衆議院議員の総選挙のとき」、国民審査が行われます。
国民審査で投票の過半数が不適任だった場合、裁判官は辞めさせられることになっています。
(ⅲ)『国民投票権』『住民投票権』とは?
『国民投票権』とは、国会が憲法改正の発議を行ったとき、国民がその賛否について投票することができる権利のことです。
『住民投票権』は、地方議会の解散や地方公共団体の首長の解職などで、住民が投票してその意思を示すことができる権利のことです。
(ⅳ)『請願権』とは?
『請願権』とは、国民が国や地方公共団体に対して、何かを要望することができる権利のことです。
請願権はあくまでも役所などに要望することを保障したものであり、その要望が通るかどうかは別問題です。
また『請願権』はこの後に解説する『請求権』と名前が似ているため、混同しないよう注意しましょう。
※YouTubeに「請願権と請求権のちがい」についての詳しい解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
⑦『請求権』の種類と覚え方
ここでは基本的人権に含まれる権利の1つである『請求権』について、詳しく解説していきます。
請求権とは『人権が侵害されたとき、その救済を国に求めることができる権利』のことです。
請求権をさらに細かく見ていくと、↓のような権利が含まれます。
①裁判を受ける権利
②国家賠償請求権
③刑事補償請求権
これらの権利については後で詳しく説明していますので、とりあえず①~③の権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『九歳ば、ケイコか!』
です。
まだ9歳の孫に厳しいケイコを行っている両親に、おじいちゃんが九州弁でキレているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・九→ 請求権
・歳ば→ 裁判を受ける権利
・ケイ→ 刑事補償請求権
・コか→ 国家賠償請求権
(ⅰ)『裁判を受ける権利』とは?
『裁判を受ける権利』とは、人権を侵害されたとき、裁判に訴え、法に基づく公正な裁判を受けて救済を求める権利のことです。
これは日本国憲法の第32条に規定されています。
(ⅱ)『刑事補償請求権』とは?
『刑事補償請求権』とは、刑事事件の犯人として裁判で訴えられた人が無罪なった場合、その補償を国に求めることができる権利のことです。
これは日本国憲法の第40条に規定されています。
(ⅲ)『国家賠償請求権』とは?
『国家賠償請求権』とは、国や地方の公務員の不法行為によって損害を受けたとき、その損害の賠償を求めることができる権利のことです。
これは日本国憲法の第17条に規定されています。
⑧『新しい人権』の種類と覚え方
日本国憲法にはさまざまな権利が規定されていますが、社会や経済の進展に伴い、日本国憲法に規定されていない権利が新たに主張されるようになりました。
その権利が『新しい人権』です。
新しい人権には↓のような権利があります。
①環境権
②自己決定権
③知る権利
④プライバシーの権利
これらの権利については後で詳しく説明していますので、とりあえず①~④の権利を覚えるゴロ合わせを↓に載せておきます。
それが、
『家事!湿布…』
です。
家事を気合いを入れて頑張った結果、筋肉痛で湿布を貼っているところをイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・家(か)→ 環境権
・事(じ)→ 自己決定権
・湿(し)→ 知る権利
・布(ぷ)→ プライバシーの権利
※YouTubeに「新しい人権」についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
(ⅰ)『環境権』とは?
『環境権』とは、人間らしく住みやすい環境を求める権利のことです。
住宅の日当たりの確保を求める権利である『日照権』も、環境権に含まれます。
環境保全のため国などの責任を定めた『環境基本法』が制定されたり、大規模な工事を行う場合、事前に環境への影響を評価する『環境アセスメント』が義務付けられたりしています。
(ⅱ)『自己決定権』とは?
『自己決定権』とは、自分の生き方や生活について自分の意思で自由に決定する権利のことです。
医療において、医師が治療内容について十分に説明したうえで、患者の同意を得るべきだという『インフォームド・コンセント』も自己決定権の1つです。
他にも、回復の見込みがない患者が延命治療をしない選択を行い死を迎える『尊厳死』や、不治の病で苦痛に苦しむ患者が同意し、医師によってその死を早める『安楽死』も自己決定権に含まれます。
(ⅲ)『知る権利』とは?
『知る権利』とは、主権者である国民が政治について判断するために、必要な情報を手に入れることができる権利のことです。
具体的には、国や地方公共団体が持っている重要な情報の公開を求めることができるということです。
『知る権利』に対応するため、国や地方公共団体において『情報公開制度』が設けられ、人々が請求する情報を開示しています。
(ⅳ)『プライバシーの権利』とは?
『プライバシーの権利』とは、私生活に関する情報についてみだりに公開されない権利のことです。
プライバシーの権利が侵害される例として、住所や氏名、電話番号や生年月日などの個人情報が勝手に収集され、利用されてしまうことがあります。
このように個人情報が流出しないよう、国や地方の行政機関、民間の企業や団体などに対して、個人情報をしっかり管理することを義務づける『個人情報保護制度』が設けられています。