前回の「加法の交換法則・結合法則」と説明が被るところも、いくつかあります。
しかし、復習にもなると思うので、再度説明したいと思います。
何卒、ご了承ください。
この記事で解説する内容は、以下の通りです。
①加法と減法が混じった式の解き方
加法と減法の混じった式の計算のやり方について、下の式を例に説明していきたいと思います。
(+4)+(-2)-(+5)-(-9)
(ⅰ)加法だけの式になおす
まず例に挙げた式を、加法だけの式になおしましょう。
「正の数をひく」ことは「負の数をたす」ことと同じでした。
よって、-(+5)は+(-5)になります。
同様に「負の数をひく」ことは「正の数をたす」ことと同じでした。
よって、-(-9)は+(+9)になります。
したがって、計算は次の通りになります。
(+4)+(-2)-(+5)-(-9)
=(+4)+(-2)+(-5)+(+9)
(ⅱ)正の数の和・負の数の和をそれぞれ計算する
次に、上の式を正の数と負の数にそれぞれまとめます。
具体的には、前回の記事で説明した「加法の交換法則」を使って数を入れ替えます。
(+4)+(-2)+(-5)+(+9)
=(+4)+(+9)+(-2)+(-5)
そして、「加法の結合法則」を使って、正の数の和・負の数の和をそれぞれ計算します。
(+4)+(+9)+(-2)+(-5)
=(+13)+(-7)
=+6
※以上見てきたように、加法と減法の混じった計算は、
①加法だけの式になおす
②正の数の和・負の数の和をそれぞれ計算して答えを求める
という手順で解いていきます。
②「項」とは何か?
先ほどの式を計算する途中で、すべて加法になおしました。
すべて加法になおしたときの式を、下に挙げてみます。
(+4)+(-2)+(-5)+(+9)
このような加法のみの式で、+(たす)の記号で結ばれているそれぞれの数、+4、-2、-5、+9を「項」といいます。
さらに、+4、+9のような正の数の項を「正の項」、-2、-5のような負の数の項を「負の項」といいます。
説明だけでは分かりにくいと思いますので、「項」のイメージをつかむために、2問ほど練習をしてみましょう。
① (+4)-(+2)-(-8)+(-1)
② (-2)+(+8)-(+3)-(-2)
それでは、上の➀と②の項を求めてみましょう。
まず、➀の式をすべて加法になおします。
(+4)-(+2)-(-8)+(-1)
=(+4)+(-2)+(+8)+(-1)
+(たす)の記号で結ばれているそれぞれの数が「項」になりますので、+4、-2、+8、-1が項になります。
さらに+4、+8が「正の項」、-2、-1が「負の項」になります。
次に、②の式もすべて加法になおします。
(-2)+(+8)-(+3)-(-2)
=(-2)+(+8)+(-3)+(+2)
+(たす)の記号で結ばれているそれぞれの数が「項」になりますので、-2、+8、-3、+2が項になります。
さらに+8、+2が「正の項」、-2、-3が「負の項」になります。
③「項」だけで式を表す
加法だけの式を、+(たす)の記号と項についている( )を省略して、項だけで式を表すことができます。
ことばだけでは分かりにくいので、例を挙げてみます。
(+4)+(-2)+(-5)+(+9) …➀
=4-2-5+9 …②
➀の式は、項が+(たす)の記号で結ばれている加法の式です。
そして、①の式から、+(たす)の記号と項についている( )を省略した式が、②の式になります。
なお、式のはじめの項が正の数のときは、正の符号+を省略して表します。
ですので、式の先頭の+4は4と表しています。
それでは、②の式からの計算のやり方を見ていきましょう。
正の数の和・負の数の和を求めるために、正の数と負の数をそれぞれまとめる必要がありました。
「加法の交換法則」を使って、数を入れ替えると次のようになります。
4-2-5+9 …②
=4+9-2-5 …➂
さらに正の数の和・負の数の和をそれぞれ求めます。
4+9は(+4)+(+9)なので、+13。
-2-5は(-2)+(-5)なので、-7。
よって、➂の式は次のようになります。
4+9-2-5 …➂
=13-7 …④
13-7は(+13)+(-7)なので、+6。
④の式を計算すると、答えは次の通りになります。
13-7=+6 (6でも可)
ちなみに、計算結果が正の数のときは、正の符号+を省いてもよいので、6と答えてもよいです。
項だけで表した式は、+(たす)の記号と項についている( )を省略しているため、計算がやりづらいと思います。
そこで、項だけの式に慣れるまで、項をまるで囲んで、項どうしのたし算であることを意識して計算するとよいでしょう。
やり方は下の図を参考にしてみて下さい。
ちなみに色の違いは、赤のまるが正の項、青のまるが負の項を表しています。
④「項」だけで表した式の練習問題
練習問題を3問用意しましたので、項だけで表した式の計算を練習してみましょう!
① 4-7
② 5-8+1
③ 1-3+5-8
それでは➀から見ていきましょう。
4-7は(+4)+(-7)なので、答えは-3になります。
②は、まず最初に正の数の和・負の数の和を求めるために数を入れ替えます。
5-8+1
=5+1-8
次に、5+1は(+5)+(+1)なので、+6になります。
よって、
5+1-8
=6-8
6-8は(+6)+(-8)なので、答えは-2になります。
項だけの式だとわかりにくい人は、下の図も参考にしてください。
➂も、まず最初に正の数の和・負の数の和を求めるために数を入れ替えます。
1-3+5-8
=1+5-3-8
1+5は(+1)+(+5)なので、+6になります。
また-3-8は(-3)+(-8)なので、-11になります。
よって
1+5-3-8
=6-11
6-11は(+6)+(-11)なので、答えは-5になります。
項だけの式だとわかりにくい人は、下の図も参考にしてください。
⑤加減の混じった計算の解き方
加法と減法の混じった計算の発展形として、次のような計算式もあります。
-10-(-5)+(-7)+3 …➀
このような式を加減の混じった計算といいます。
では、どのように解けばよいのか見ていきましょう。
まず-10と+3の部分は、すでに項だけで表す形になっています。
よって、そのままでOKです。
次に+(-7)は、+(たす)の記号と( )を省略して-7にします。
さらに-(-5)は減法なので加法になおして、+(+5)にします。
-10-(-5)+(-7)+3 …➀
=-10+(+5)-7+3 …②
②の式において、+(+5)を+(たす)の記号と( )を省略して+5にします。
-10+(+5)-7+3 …②
=-10+5-7+3 …➂
③の式で、正の数の和と負の数の和を求めるために、数を入れ替えます。
-10+5-7+3 …➂
=5+3-10-7 …④
④の式において、5+3は(+5)+(+3)なので、+8。
また、-10-7は(-10)+(-7)なので、-17。
よって、
5+3-10-7 …④
=8-17 …⑤
⑤の式で、8-17は(+8)+(-17)なので、答えは-9。
◎以上見てきたように、加減の混じった計算を解く手順は以下の通りです。
①項だけで表している部分はそのままにする。
↓
②加法の部分は、+(たす)の記号と( )を省略する。
↓
③減法の部分は、まず加法になおしてから+(たす)の記号と( )を省略する。
↓
④正の数の和と負の数の和を求めるために、数を入れ替える。
↓
⑤正の数の和と負の数の和をそれぞれ求めて、答えを出す。
⑥加減の混じった計算の練習問題
練習問題を2問用意しましたので、加減の混じった計算の練習をしてみましょう!
① (+5)-4+(-9)
② -8+3-(-10)+(-2)
まず➀の問題から見ていくと、-4の部分は、すでに項だけで表す形になっています。
よって、そのままでOKです。
(+5)は、( )を省略して、さらに式の先頭なので正の符号+も省略して5にします。
さらに+(-9)は、+(たす)の記号と( )を省略して-9にします。
(+5)-4+(-9)
=5-4-9
上の式において、-4-9は(-4)+(-9)なので、-13。
よって、
5-4-9
=5-13
5-13は(+5)+(-13)なので、➀の答えは-8。
次に②の問題です。
-8と+3の部分は、すでに項だけで表す形になっています。
よって、そのままでOKです。
+(-2)は、+(たす)の記号と( )を省略して、-2にします。
さらに、-(-10)は減法なので加法になおして、+(+10)にします。
-8+3-(-10)+(-2)
=-8+3+(+10)-2
上の式において、+(+10)は+(たす)の記号と( )を省略して、+10にします。
-8+3+(+10)-2
=-8+3+10-2
上の式で、正の数の和・負の数の和を求めるため、数を入れ替えます。
-8+3+10-2
=3+10-8-2
3+10は(+3)+(+10)なので+13になります。
また、-8-2は(-8)+(-2)なので-10になります。
よって、
3+10-8-2
=13-10
13-10は(+13)+(-10)なので、②の答えは3(または+3)になります。
※YouTubeに「加法と減法の混じった計算」についての詳しい解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
記事のまとめ
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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