今回も、中学2年の数学で学習する「式の計算」について、記事を書いていきたいと思います。
前回の記事では「単項式と多項式、次数、同類項」について、詳しく解説しました。
今回の記事では、
「文字式の利用の問題の解き方がわからない…。」
「偶数や奇数、倍数を文字でどう表せばいいの?」
「式による説明をうまく書くことができない!」
という中学生に、基本的な例題をもとにわかりやすく丁寧に解説しています。
この記事では、「文字式の利用・式による説明」の2つの例題について、詳しく説明しています。
この記事を読んで、「文字式の利用・式による説明」の解き方について、しっかり理解しましょう!
①文字式の利用「式による説明」の解き方
では、次の問題について一緒に考えていきましょう!
「2ケタの正の整数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできた数との和は、11の倍数になります。その理由を説明しましょう。」
まずはこの問題に書いてあることが正しいのかどうか、いくつかの数を使って確かめてみましょう。
15+51=66
34+43=77
62+26=88
確かにもとの数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできた数との和は、11の倍数になっていますね。
しかし、すべての数について調べ上げるのは大変です。
そこで、文字を使うことを考えてみましょう。
数学において文字は、いろいろな数を入れることができる箱のようなものでしたね。
文字を使ってうまく説明できれば、その文字の中にあらゆる数を入れることができるので、すべての数を調べ上げなくても問題を説明することができます。
(1)2ケタの整数を2つの文字で表す方法
まず、この問題で出てくる2ケタの整数を、どうやって文字で表せばよいかを考えてみましょう。
2ケタの数である”36”を例に、考えてみましょう。
36は、十の位の数は”3”で、一の位は”1”です。
これは、36とは「10が3つ、1が6つでできている数」であることを表しています。
このことを式で表すと、下のように表すことができます。
36=10×3+1×6
同じように、”57”なら「10が5つ、1が7つでできている数」ですので、
57=10×5+1×7
と表すことができますね。
では十の位をx、一の位の数をyとして、問題の2ケタの数を表すにはどうしたらよいでしょうか?
10がx個、1がy個ある数ということなので、
10×x+1×y
=10x+y
と表すことができます。
では続いて、十の位の数と一の位の数を入れかえた数は、どう表したらよいでしょうか?
この場合、十の位がy、一の位の数がxということ。
つまり、10がy個、1がx個ある数ということなので、
10×y+1×x
=10y+x
と表すことができます。
(2)□の倍数は、□×(整数)で表される
それでは、もとの数である 10x+yと、十の位の数と一の位の数を入れかえた数 10y+xの和を計算してみましょう。
(10x+y)+(10y+x)
= 11x+11y
次に、分配法則について思い出しておきましょう。
分配法則とは次のようなものでした。
□×(△+〇)=△×□+〇×□
カッコの外から□がかけられている場合、カッコ内のそれぞれの項に□をかけて、カッコを外すことができました。
この式を逆にすると、
△×□+〇×□=□×(△+〇)
ということができます。
このように、同じ□をかけられている項どうしは、□をカッコの前にかけてまとめることができます。
このことを利用すると、
11x+11y = 11(x+y)
と表すことができます。
では、11(x+y)が11の倍数であるといえるかどうか、考えてみましょう。
11の倍数とは、33、55、77、88のような数ですよね。
これらの数は、次のように表すことができます。
33=11×3
55=11×5
77=11×7
88=11×8
以上のように、11の倍数は「11×(整数)」で表すことができます。
ではもう一度、11(x+y)について詳しく見ていきましょう。
x+yが整数であるならば、11(x+y)は「11×(整数)」ですので、11の倍数であると言えますよね。
「xとyがどういう数なのか」考えてみると…、
xは2ケタの整数の十の位の数なので、1~9のいずれかの整数です。
同じように、入れかえた後、yも十の位の数になるので、1~9のいずれかの整数です。
ということは、整数であるxと整数であるyの和である” x+y”も、整数になります。
よって、x+yが整数なので、11(x+y)は11の倍数であると言えます。
つまり、
「2ケタの正の整数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできた数との和は、11の倍数になる」
と言えます。
このように、一般的にある数□の倍数は、「□×(整数)」という形で表すことができます。
しっかり覚えておきましょう。
(3)「式による説明」模範解答
これまでの内容をまとめた模範解答は以下の通りです。
よく読んで、解答の流れをしっかり理解しましょう。
[解答]
もとの数の十の位の数をx、一の位の数をyとすると、2けたの正の整数は、10x+yと表すことができる。
また、十の位の数と一の位の数を入れかえてできる数は、10x+yと表すことができる。
よって、この2つの数の和は、
(10x+y)+(10y+x)=11x+11y
=11(x+y)
x+yは整数であるので、11(x+y)は11の倍数である。
よって、2ケタの正の整数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできた数との和は、11の倍数になるといえる。
解答の流れのポイントは、次の3つです。
(1)問題で問われている数について、文字を使って表す。
↓
(2)文字を使って表された数を用いて、計算する。
↓
(3)計算結果の文字の部分が、整数であることを使って結論を導く
式の利用における「式による説明」の問題に、苦手意識をもっている中学生は少なくありません。
しかし、解答の流れをしっかりつかみさえすれば、ワンパターンの問題でもあります。
解答の流れをつかめるまでくり返し学習し、パターンをしっかり覚えておきましょう!
※YouTubeに「文字式の利用・文字を使った証明問題」の解説動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
②「式による説明」2つの奇数の和の説明
今度は、次の問題について一緒に考えていきましょう!
「2つの整数がともに奇数であるとき、その和は偶数になります。m、nを整数として、その理由を説明しましょう。」
この問題に書いてあることが正しいのかどどうか、いくつかの数を使って確かめてみましょう。
3+7=10
5+9=14
11+17=28
確かに2つの奇数の和は、偶数になっていますね。
では今回の問題も文字を使って、この理由を説明してみましょう!
(1)奇数を文字で表す
それでは、奇数をどうやって文字で表せばよいか考えてみましょう。
奇数とは”7″や”9″や”15″など、偶数と次の偶数の間の数ですよね。
つまり、奇数とは以下のように「偶数に1をたした数」であるということができます。
7=6+1
9=8+1
15=14+1
ところで偶数とは、2の倍数のことでしたね。
よって偶数は、「2×(整数)」の形で表すことができます。
ですので、再び先ほど例に挙げた奇数を使うと、
7=2×3+1
9=2×4+1
15=2×7+1
のような形で表すことができます。
以上より、奇数の一般的な表し方は、
奇数 = 偶数+1
= 2×(整数)+1
ということがわかりますね。
ではここからは、文字を使って奇数を表してみましょう。
問題では、文字mとnを整数として使うことになっていました。
これらの文字m、nを使って、奇数を表すと、
2×m+1 = 2m+1
2×n+1 = 2n+1
と表されます。
(2)偶数は、2×(整数)で表される
それでは、文字で表された2つの奇数である” 2m+1”と” 2n+1”の和を計算しましょう。
(2m+1)+(2n+1)
= 2m+2n+2
= 2(m+n+1)
2つの奇数の和である 2(m+n+1)が、偶数であるかどうかを考えてみましょう。
mとnは整数であり、1も整数です。
整数を3つたしても整数なので、”m+n+1”は整数になります。
つまり、2(m+n+1)は「2×(整数)」になっているので、偶数であると言えますね。
(3)「式による説明」模範解答
これまでの内容をまとめた模範解答は以下の通りです。
よく読んで、解答の流れをしっかり理解しましょう。
[解答]
文字m、nを整数とすると、2つの奇数は、
2m+1、2n+1
と表すことができる。
この2つの奇数の和は
(2m+1)+(2n+1) = 2m+2n+2
= 2(m+n+1)
m+n+1は整数なので、2(m+n+1)は偶数である。
よって、2つの奇数の和は偶数であるといえる。
※YouTubeに「文字式の利用・奇数と偶数を文字で表す」の解説動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
記事のまとめ
・今回の記事のポイントをまとめると…
①2ケタの数を2つの文字で表す方法
② ある数□の倍数は、□×(整数)で表される
③ 偶数は2の倍数なので、2×(整数)で表される
④ 奇数は「偶数+1」なので、2×(整数)+1で表される
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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