今回も、中学2年の数学で学習する「式の計算」について、記事を書いていきたいと思います。
前回の記事では「文字式の利用・式による説明」について、詳し
く解説しました。
今回の記事では、
「等式の変形がよくわからない」
「簡単な等式変形はできるけど、複雑になるとわからなくなってしまう」
という中学生に、基本的な例題をもとにわかりやすく丁寧に解説しています。
この記事では、「等式の変形」の4つのパターンについて、詳しく説明しています。
この記事を読んで、「等式の変形」のやり方について、しっかり理解しましょう!
①「等式の性質」を復習しよう
等式の変形を学習する前に、絶対に理解しておかなければならないことがあります。
それは…、
「等式の性質」
です
中1数学の「方程式」のところで学習したのですが、覚えていますか?
□=△のようにイコールが成り立っている式(等式)の場合、次の4つのことが必ず成り立つという性質でした。
<等式の性質>
① □=△のとき、□+●=△+●
② □=△のとき、□-●=△-●
③ □=△のとき、□×●=△×●
④ □=△のとき、□÷●=△÷●
(※ただし④は●は0以外の数)
よく覚えていない・忘れてしまったという中学生は、次の記事を一通り読み「等式の性質」おさらいしておいて下さいね。
さらに、等式の性質をもとにしたやり方である「移項」も、等式の変形を解いていく上で必要になります。
移項とは、
一方の辺にある項を、符号を逆にしてもう一方の辺に移動させる
でしたよね。
例を挙げると…
2x+5=-4x-7
↓
2x+4x=-7-5
左辺の+5が、符号が逆になり右辺に移動しています。
同様に右辺の-4xが、符号が逆になり左辺に移動しています。
「移項」のやり方を忘れてしまった人は、次の記事を一通り読みおさらいしておいて下さいね。
ここでは「等式の変形」を解くのに必要な、「等式の性質」と「移項」について復習しました。
次のところでは、いよいよ「等式の変形」に取り組んでいきましょう!
②「移項」を利用する等式変形
では実際に「等式の変形」とは何なのかを説明していきましょう!
次の問題を例に説明しますね。
a+2b = c [a]
この式の右に[ ]がありますよね。
さらに[ ]内にaという文字が書いてあります。
これは「“a+2b = c “という式を、“a =○○○”という形に変形しなさい」ということを表しています。
では、“a+2b = c”を”a = ○○○”という形に変形すると…、
a+2b = c
左辺の2bを右辺に移項して、
a = -2b+c 【答】
”a = ○○○“という形になっているので、これが答えになります。
このように[ ]内の文字を求める式にすることを、「○について解く」といいます。
今回の例だと、「aについて解く」ということになります。
「等式の変形」の基本について分かったところで、あと2問ほど問題を見ておきましょう。
2問とも先ほどの例と同じく、「移項」のみを利用する簡単な「等式の変形」です。
<問題>
・次の等式を[ ]内の文字について解きましょう。
①、a+3b = -4 [a]
②、2a-b = 3c [b]
ここから下は、問題の解答・解説になります。
①、a+3b = -4 [a]
aについて解くには、左辺の+3bを右辺に移項すればよいので、
a = -3b-4 【答】
“a = ○○○”という形になっているので、これが答えになります。
②、2a-b = 3c [b]
bについて解くには、左辺の+2aを右辺に移項すればよいので、
-b = -2a+3c
“b = ○○○”という形にするためには、両辺に-1をかけなければならないので、
-b×(-1)=(-2a+3c)×(-1)
b = 2a-3c 【答】
”b = ○○○“という形になっているので、これが答えになります。
ここでは、「移項」のみで等式変形ができるパターンの問題を解説しました。
次は、両辺に「係数の逆数」をかけて等式変形するパターンを見ていきましょう!
③「係数の逆数」を両辺にかける等式変形
ここでは、「係数の逆数」を両辺にかけて等式変形するパターンを解説していきます!
次の問題を例に説明しますね。
【問】ab = 5 [b]
ここで注意しなければならないのは、
ab = a×b
ということです。
文字式のかけ算では、×の記号を省略するというルールがありましたよね。
ではこの問題を“b=○○○”という形にするにはどうすればいいでしょうか?
:
そう、bにかけてある文字”a”を”1″にするといいですよね。
そのためには“a”の逆数、つまり”1/a”を両辺にかける必要があります。
具体的な計算の過程を見ていくと…
解きたい文字”b”の係数である”a”。
その逆数の”1/a”を両辺にかけることで”b=○○○”の形に等式変形されているのがわかりますね。
ここで注意が必要なのが、
「係数の逆数を両辺にかける」
ということです。
左辺にのみ、かけてしまう中学生がいますので、間違えないよう気を付けて下さいね!
ではもう1問、今度はもう少し複雑な問題を見ていきましょう
【問】
この問題は、解きたい文字bに”1/3″と”a”の2つがかけられています。
ですので、“1/3″の逆数である”3″と、”a”の逆数である”1/a”の2つを両辺にかける必要があります。
具体的な計算の過程を見ていくと…
まず①で、bにかけられている“1/3″の逆数である”3″を両辺にかけています。
さらに②では、bにかけられている“a”の逆数である”1/a”を両辺にかけています。
このように、解きたい文字に文字や数字がかけられている場合は、それらの逆数を両辺にかけると等式変形ができます。
④移項して係数の逆数を両辺にかける等式変形
ここでは、今までやってきた
・移項のみの等式変形
・係数の逆数を両辺にかける等式変形
を両方使う等式変形の問題に取り組んでいきたいと思います。
では早速、次の問題を考えてみて下さい。
【問】
2a+4b = 10 [a]
aについて解かなければならないので、左辺の”+4b”が邪魔ですよね。
そこで、まず左辺の”+4b”右辺に移項してみましょう。
すると、次のような形になります。
2a = -4b+10
今度は”a”にかけられている係数の”2″が邪魔なので、両辺にその逆数である”1/2″をかけます。
以上の通り、このパターンの問題は、
①解く文字以外の数・文字の項を左辺に移項する
↓
②右辺に残った解く文字の係数の逆数を両辺にかける
で解くことができます。
もう1問練習してみましょう!
【問】
6a+3b = 9c [b]
ここからは問題の解答・解説です。
bについて解かなければならないので、左辺の”+6a”が邪魔です。
そこで、“+6a”右辺に移項すると、次のような形になります。
3b = -6a+9c
さらにbの係数”3″が邪魔なので、逆数の”1/3″を両辺にかけます。
⑤解く文字がカッコの中にある等式変形
最後に取り組むのは、解きたい文字の項がカッコの中にある式の等式変形です。
下の問題を使って、解き方を説明していきますね!
2(a+3b)=4c [a]
この式では、左辺のカッコの中に、解く文字である”a”があります。
さらに、カッコに”2″がかけられています。
分配法則を使ってカッコを外してもいいのですが、1つ工夫をすると楽に計算を進めることができます。
それは…、
「カッコにかけられている数(文字)の逆数を両辺にかける」
という工夫です。
計算の流れを詳しく書いていくと…、
あとは、左辺の“+3b”を左辺に移項すれば、aについて解くことができます。
a+3b=2c
a=-3b+2c【答】
このように、解く文字がカッコの中にあるときは、まずカッコにかけられている数(文字)の逆数を両辺にかけましょう。
そうすることで、計算が楽になり速く解くことができますよ。
さらに、解きたい文字が分数の中にある式での、等式変形のやり方を解説しておきましょう!
まずは下の問題を見て下さい。
分数の分子の中に解く文字”a”があります。
しかし、このままいきなり“a=○○○”の形にするのは難しいですよね。
この問題を解くには、まずどうすればいいか思いつきますか?
まずは分数の分母の”5″をどうにかしましょう!
そのためには…、
そう、分母と同じ”5″を両辺にかけます。
すると、
となります。
このとき、分子の式”a-2b”には本当はカッコがついていることを忘れないよう注意して下さい。
あとは左辺の”-2b”を右辺に移項すれば、aについて解くことができるので、
a-2b=15
a=2b+15【答】
このように、解く文字が分数の中にあるときは、まず分数の分母の数(文字)を両辺にかけましょう。
そうすることで、計算が楽になり速く解くことができます。
※下のYouTubeに投稿した動画でも、「等式変形のやり方」について詳しく解説しておりますので、ぜひご覧下さい!
記事のまとめ
・今回の記事のポイントをまとめると…
①「等式の性質」と「移項」についての復習
② 移項のみを使って解く等式変形
③ 係数の逆数を両辺にかけて解く等式変形
④ 移項して係数の逆数を両辺にかけて解く等式変形
⑤ カッコの中に解く文字がある式の等式変形
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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