中1理科で学習する「光の性質」。
前々回の「光の反射」、前回の「光の屈折」に続いて、今回は「凸レンズの作図と像」について解説します。
凸レンズは虫めがねなどに使われる、身近な物でもあります。
作図や凸レンズでできる像の問題に苦手意識を持っている中学生は、この記事を読んで理解しましょう!
◎お教えする内容は、以下の通りです。
この記事は、たけのこ塾が中学生に向けて、TwitterやInstagramに投稿した内容をもとに作成しています。
ぜひ、あなたの勉強にご活用下さい。
凸レンズ・基本の作図
「凸レンズ」とは、中央がふくらんでいるレンズで光を1点に集めるはたらきをします。
凸レンズの作図に関する基本的な語句を解説しますので、下の図をご覧下さい。
図の中に、凸レンズの中心を通り、凸レンズに垂直な直線が引かれていますよね。
この線を「光軸」といいますので、よく覚えておいてください。
次に、この光軸に平行な光が凸レンズを通ると、どう進むのか見ていきましょう。
下の図をご覧下さい。
光軸に平行な光は、凸レンズで屈折して1点に集まっていますよね。
この点のことを「焦点」といいます。
また、「焦点」と凸レンズの中心との間の距離を「焦点距離」といいます。
焦点と焦点距離、セットで覚えておきましょう!
凸レンズに関する基本的な語句について説明しましたので、いよいよ「凸レンズの基本の作図」について解説していきたいと思います。
下の図のように、凸レンズを通る光の進み方は3パターンあります。
①光軸に平行に進む
②凸レンズの中心を通る
③先に焦点を通る
①~③の光が凸レンズを通過した後、どのように進むのかを下の図に示します。
①光軸に平行に進む光
→焦点を通る
光軸に平行に進む光は、凸レンズで屈折して焦点を通ります。
②凸レンズの中心を通る光
→そのまま真っすぐ進む
凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進します。
③先に焦点を通る光
→光軸に平行に進む
先に焦点を通った光は、凸レンズで屈折して光軸に対し平行に進みます。
「凸レンズの作図」については上で説明したように、3パターンの光の進み方をしっかり覚えておくことが大切です。
実際に手を動かして、作図の練習をしておきましょう。
下に凸レンズの基本の作図についての問題を掲載しています。
ぜひチャレンジしてみて下さいね!
上の問題の解答は、以下の画像に載っています!
どうでしたか?すべて正解できましたか?
凸レンズの作図における基本的なところなので、間違った箇所はきちんと復習しておきましょう!
②凸レンズと実像
ここからは、凸レンズによってできる「実像」について説明していきたいと思います。
物体から出た光が、凸レンズで屈折して集まってできる像のことを「実像」といいます。
実像は、スクリーンやついたて上にうつすことができます。
また実像の向きは、物体と上下・左右が逆になります。
さらに、できる実像の大きさは、物体と凸レンズとの間の距離によって変化します。
そこでここからは、
①物体と同じ大きさの実像ができる場合
②物体より小さい実像ができる場合
③物体より大きい実像ができる場合
の3つの場合について、解説していきたいと思います。。
(ⅰ)物体と同じ大きさの実像ができる場合
物体と同じ大きさの実像ができるとき、
・凸レンズと物体との距離
・凸レンズと像との距離
がどのようになっているか、下の図で確かめてみましょう。
図にかいてあるように、
・凸レンズと物体との距離
→焦点距離の2倍
・凸レンズと像との距離
→焦点距離の2倍
となります。
まとめると、焦点距離の2倍の位置に物体を置くと、焦点距離の2倍の位置に大きさは同じで上下・左右が逆向きの実像ができます。
(ⅱ)物体より小さい実像ができる場合
次に、物体より小さい実像ができるときの、
・凸レンズと物体との距離
・凸レンズと像との距離
がどのようになっているか、下の図で確かめてみましょう。
図にかいてあるように、
・凸レンズと物体との距離
→焦点距離の2倍より遠い
・凸レンズと像との距離
→焦点距離の2倍と焦点の間
となります。
まとめると、焦点距離の2倍より遠い位置に物体を置くと、焦点距離の2倍と焦点の間に、物体より小さい上下・左右が逆向きの実像ができます。
イメージとしては、物体がレンズから遠ざかると、実像ができる位置が凸レンズに近づき、像の大きさは小さくなる感じですね。
(ⅲ)物体より大きい実像ができる場合
最後に、物体より大きい実像ができるときの、
・凸レンズと物体との距離
・凸レンズと像との距離
がどのようになっているか、下の図で確かめてみましょう。
図にかいてあるように、
・凸レンズと物体との距離
→焦点距離の2倍と焦点の間
・凸レンズと像との距離
→焦点距離の2倍より遠い
となります。
まとめると、焦点距離の2倍と焦点の間に物体を置くと、焦点距離の2倍より遠い位置に、物体より大きい上下・左右が逆向きの実像ができます。
イメージとしては、物体がレンズに近づくと、実像ができる位置が凸レンズから遠ざかり、像の大きさは大きくなる感じですね。
③凸レンズと虚像
ここでは、物体を焦点とレンズの間に置いたときにできる「虚像」について説明していきます。
物体を焦点とレンズの間に置いたとき、凸レンズを通った光がどうなるのか、下の図に示してみました。
図を見ればわかると思いますが、凸レンズを通った光が1点に集まらないので実像ができません。
では、物体が置かれている側に光を延長していったらどうなるのか、見てみましょう。
図のように、レンズを通して物体側を見ると、物体と同じ向きで物体より大きい像を見ることができます。
この像のことを「虚像」といいます。
虚像は、実際には光が集まっていない見かけの像であり、スクリーンなどにうつすことはできません。
虫めがねやルーペで物体を見ると実物より大きく見えますが、実は虚像を見ているのです。
また、鏡にうつっている像も虚像ですので、合わせて覚えておきましょう!
ここまでいろいろな像のでき方を見てきましたが、
「物体を焦点のところに置いたらどうなるのか」
疑問に思いませんでしたか?
そんな知的好奇心が旺盛な中学生のために、物体を焦点に置いたときの図を用意しましたのでご覧下さい。
図の通り、凸レンズを通過した光は1点に集まりませんので、実像はできません。
また、物体側に延長した光も交わりませんので、虚像もできません。
したがって、物体を焦点に置くと、実像も虚像もできないということになりますね。
ここまで解説してきた「実像」と「虚像」についての問題が載っている画像です。
ぜひチャレンジしてみて下さい!
上の問題の解答は、以下の画像に載っています!
どうでしたか?すべて正解することができましたか?
凸レンズでできる像の問題は、学校の定期テストだけではなく、高校入試にもよく出題されます。
間違ったところはしっかり復習し、よく理解しておいてください。
※下のYouTubeにアップした動画でも「凸レンズでできる像」について詳しく解説しておりますので、ぜひご覧下さい!
④凸レンズとできる像・まとめ
凸レンズとできる像について、まとめた表です。
像の大きさ、凸レンズと物体の距離、凸レンズとできる像の距離、像の向きの4つの項目についてまとめていますので、きちんと理解できているか確認しておいて下さいね。
凸レンズでできる像のまとめの問題を掲載しています。
上の表の内容をきちんと覚えることができたか、ぜひ確認してみて下さい。
上の問題の解答は、以下の画像に載っています!
どうでしたか?すべて正解できましたか?
この表の空欄をすべて埋めることができれば、凸レンズでできる像の理解は完璧です。
すべて答えることができるまで、何回もくり返し練習して下さいね。
記事のまとめ
以上、中1理科で学習する「凸レンズの作図と像」について、説明してまいりました。
①凸レンズの基本の作図
(ⅰ)光軸に平行に進む光
→焦点を通る
(ⅱ)凸レンズの中心を通る光
→直進する
(ⅲ)先に焦点を通った光
→光軸に平行に進む
②凸レンズと実像
(ⅰ)物体と同じ大きさの実像
→物体を焦点距離の2倍の位置に置く
(ⅱ)物体より小さい実像
→物体を焦点距離の2倍より遠くに置く
(ⅲ)物体より大きい実像
→物体を焦点と焦点距離の2倍の間に置く
③凸レンズと虚像
・物体を凸レンズと焦点の間に置く
→虚像ができる
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。