中1理科で学習する「光の性質」。
前回の「光の反射」につづき、今回は「光の屈折(くっせつ)」について解説していきたいと思います。
光の屈折は日常生活でもよく目にする現象ですので、この記事を通して学びを深めて下さいね。
◎お教えする内容は、以下の通りです。
③ 屈折の応用問題
「屈折」ってなに?
はじめに「光の屈折」をイメージしてもらうため、日常生活で見たことがある現象を例に挙げてみますね。
まず、プールに入っている場面を想像して下さい。
プールの底に丸くて白い消毒薬が置いてあることがありますよね。
この底の消毒薬を水面の上から見ると、実際にある場所より浅いところにあるように見えます。
なぜそのように見えるか分かりますか?
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じつは、光が水中から空気中に進むとき、折れ曲がって進んでしまうためなのです。
下の図で、もう少し詳しく見てみましょう!
図①では、水中にある物体から出た光が水面に向かって進んでいますね。
図②では、水中を進んでいた光が空気中に進むとき、水面で折れ曲がっている様子が描かれています。
光が折れ曲がって目に届くことで、観察者には物体がどのように見えるのでしょう?
次の図③を見てみましょう!
図③を見ると、観察者には実際の位置よりも浅いところに物体があるように見えることが描かれています。
水面で光が折れ曲がったことで、実際より浅い所から目に届いたように感じるため、このように見えるのです。
以上が、プールの底にある消毒薬が実際より浅いところにあるように見える理由になります。
このように、光が水中やガラス中などから空気中へ(その逆の場合も)進むとき、その境界面で折れ曲がって進むことを「屈折」するといいます。
より厳密に言うと、「屈折」とは透明な物質から別の透明な物質へ光が進むとき、その境界面で折れ曲がって進むことになります。
「屈折」について、具体的にイメージすることができるようになりましたか?
次の項ではより詳しく解説していきますので、引き続きご覧下さい!
②「屈折」をより詳しく解説!
ここからは屈折についてより詳しく解説していきますが、その前に基本的な語句についての簡単な説明をしたいと思います。
ひとまず、下の図をご覧下さい。
図を見ると、境界面で光が折れ曲がって進んでいますよね。
このように境界面で光が折れ曲がって進むことを「屈折」といいました。
そして、屈折した光のことを「屈折光」といいます。
さらに、屈折光と境界面に垂直な線との間にできた角を「屈折角」といいます。
また、光はすべて屈折せずに、その一部は境界面で反射するので注意しましょう!
「屈折光」と「屈折角」について理解できたでしょうか?
つづいて、光が、①空気から水・ガラスへ進む場合、②水・ガラスから空気へ進む場合、それぞれどのように屈折するのかを詳しく解説していきたいと思います。
(ⅰ)光が空気から水・ガラスに進む場合
まずは、下の図をご覧下さい。
空気中から水中・ガラスへ光が進む場合は、上の図が示している通り、
入射角>屈折角
となるように屈折します。
つまり、屈折角が入射角より小さくなるように光が屈折するということです。
(ⅱ)光が水・ガラスから空気に進む場合
次に下の図をご覧下さい。
水中・ガラスから空気中へ光が進む場合は、上の図が示している通り、
入射角<屈折角
となるように屈折します。
つまり、屈折角が入射角より大きくなるように光が屈折するということです。
ここまで、「屈折光」「屈折角」について、さらに「空気中から水中・ガラスへ屈折する場合と水中・ガラスから空気中へ屈折する場合の違い」について、説明してきました。
※YouTubeに「光の屈折・作図のやり方」についての解説動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
③光の屈折・応用問題
ここからは「光の反射」についての、少し難しい問題に挑戦していきたいと思います。
【問題】
下の図は上から見た図です。
この図において、ガラスを通して鉛筆を見ると鉛筆は実際の位置に比べてどのように見えるでしょう?
ア、右にずれて見える
イ、左にずれて見える
ウ、変わらない
※それでは解答・解説です!
【解答解説】
鉛筆から出た光がガラスを通り、どのように目に届いていくのかを見ていきましょう。
まず空気からガラスに光が進んだとき、光は下の図のように屈折します。
つづいてガラスから空気に光が進むときは、以下の図のように屈折して観察者の目に届きます。
このとき観察者には以下の図ように、赤の点線の方から光が届いたように感じ、実際より左側に鉛筆があるように見えます。
よって、この問題の解答は
イ、左にずれて見える
ということになります。
このような「屈折により物体が実際の位置よりズレて見える」ことについての問題が、定期テストでよく出題されます。
慣れるまでは自分で実際に作図して、理屈をしっかり理解しておきましょう!
※YouTubeに「光の屈折・作図のやり方」についての解説動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
④「全反射」ってどうしておこるの?
「全反射」とは、
光が水中やガラス中から空気中へと進むとき、入射角を大きくすると屈折することなく、境界面ですべての光が反射する現象
のことです。
具体例を挙げると、
「金魚を飼っている水そうがあり、その水そうの下から上の水面を見ると、水そうの中を泳いでいる金魚が見える」
などがあります。
では、水中・ガラス中から空気中へ光が出ていくとき、入射角を大きくすると全反射するのはなぜなのでしょう?
その理由を説明しますので、下の図をご覧下さい。
図の①の入射光は境界面で屈折して、空気中へ屈折光が出てますね。
同時に光の一部が、境界面で反射しています。
次に①より入射角を大きくした②を見てみましょう。
図の②の入射光は、入射角が大きかったので屈折角が直角になってしまいました。
その結果、屈折光が空気中へ出ていません。
光が水中などから空気中へ出ていく場合、
入射角<屈折角
でした。
よって、②のように入射角がある角度より大きくなると、屈折角が直角になってしまい屈折光が空気中に出なくなってしまいます。
さらに、②以上に入射角を大きくした図の③の光は、境界面で屈折せず全ての光が反射しています。
これが「全反射」です。
以上見てきたように、
①水中・ガラス中から空気中へ光が進むとき
②入射角がある角度より大きくなったとき
この2つの条件を満たしているとき、全反射がおこります。
大切なところですので、しっかり覚えておきましょう!
また、全反射を利用したものとして「光ファイバー」がよく出題されます。
レーザー光が全反射をくり返すことで、光ファイバーは光を高速で遠くまで伝えることができます。
光ファイバーについても、しっかり覚えておきましょう!
⑤光の屈折・練習問題
最後に、ここまで学習してきた内容の練習問題を用意しています。
↓の問題にチャレンジして、ちゃんと身についたかどうかを確認しておきましょう。
【問】( )内に適する語句を答えましょう。
・光が水中などから空気中へ進むとき、その境界面で折れ曲がって進むことを( ① )という。
・空気中からガラスや水中に光が進むとき、( ② )角より( ③ )角が小さくなるように進む。
・ガラスや水中から空気中に光が進むとき、( ④ )角より( ⑤ )角が大きくなるように進む。
・光がガラスや水中から空気中に進むとき、入射角を大きくすると屈折せずに境界面ですべて反射してしまうことを( ⑥ )という
・インターネットなどの光通信に使われている( ⑦ )も、(⑥)を利用している。
【解答】①屈折、②入射(角)、③屈折(角)、④入射(角)、⑤屈折(角)、⑥全反射、⑦光ファイバー
記事のまとめ
以上、中1理科で学習する「光の屈折」について、説明してまいりました。
①「光の屈折」とは、光が透明な物質どうしを進むとき、境界面で折れ曲がること
②「空気→水・ガラス」のとき「入射角>屈折角」となるように屈折する
③「水・ガラス→空気」のとき「入射角<屈折角」となるように屈折する
④「屈折により物体が実際の位置よりズレて見える」ことについての問題に注意!
⑤「全反射」がおこるのは次の2つの条件を満たしているとき
(ⅰ)水中・ガラス中から空気中へ光が進むとき
(ⅱ)入射角がある角度より大きくなったとき
最後に、中学理科の学習におすすめの参考書・問題集を紹介しておきますね。
1冊目に紹介するのは「中1理科をひとつひとつわかりやすく」です。
イラストが多く載っており、簡単な穴埋め問題で基本語句を確認できるため、勉強が苦手な中学生も取り組みやすい1冊だと思います。
理科が苦手な生徒でも分かりやすくて、おすすめです。
2冊目に紹介するのは「図でわかる中学理科 1分野」です。
図が多用されているうえ、「なぜそうなるのか?」という理屈がわかりやすく丁寧に説明されています。
練習問題もたくさん載ってるので、各単元の内容をちゃんと理解したい中学生におすすめの1冊です。
説明の文字数が多いので、文章を読むのが苦手な中学生にはちょっときついかもしれません…。
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。