中学社会の地理分野で「縮尺の計算問題」を学習しますが、この記事では縮尺の計算問題の全パターンを網羅して解説しています。
この記事を最後まで読んで理解すれば、あらゆる縮尺の問題が解けるようになります。
練習問題とその解答解説も載せておりますので、ぜひ最後までご覧下さい。
① 縮尺の計算の基本を理解しよう
まずは、縮尺の基本的な計算方法について解説していきます。
そもそも縮尺とは、
地図上で実際の距離を表したときの縮小の割合
のことです。
そして地形図には、縮尺が25000分の1のものと50000分の1のものの2つの種類があります。
例として実際の距離が1000mであるとき、縮尺が25000分の1の地形図上での長さを求めてみましょう。
実際の距離1000mの25000分の1の長さが地形図上の長さになるので、1000mに1/25000をかけて計算します。
(式) 1000(m)×1/25000
ここで1m=100㎝なので、実際の距離である1000mに100をかけて100000㎝へと単位をmから㎝に変換します。
・1000m=100000㎝
mから㎝に単位を変換して計算を続けていくと、
1000(m)×1/25000
=100000(㎝)=×1/25000
=4(㎝)【答】
実際の距離から地形図上での長さを求めてみました。
この計算のポイントは、実際の距離の単位mを㎝に変換してから縮尺(今回は1/25000)をかけるとスムーズに計算できるということでした。
つづいて、縮尺が25000分の1の地形図上での長さが2㎝であるときの、実際の距離をmで求めてみましょう。
この計算では、↑で行った計算とは逆の計算をします。
具体的には、さきほど地形図上の長さを求めたとき、実際の距離に縮尺の1/25000 をかけて地形図上の長さになったことから、地形図上の長さに25000をかけてあげると実際の距離を求めることができます。
(式) 2(㎝)×25000=50000(㎝)
ここで100㎝=1mなので、求めた実際の距離である50000cmを100で割り500mへと単位を㎝からmに変換します。
・2(㎝)×25000=50000(㎝)
=500(m)【答】
よって、縮尺が25000分の1の地形図上での長さが2㎝であるときの、実際の距離は500mであることが分かりました。
ここまで見てきたように、実際の距離と地形図上の長さには↓のような関係があります。
① 縮尺が25000分の1の場合
・実際の距離×1/25000 =地形図上の長さ
・地形図上の長さ×25000 =実際の距離
② 縮尺が50000分の1の場合
・実際の距離×1/50000 =地形図上の長さ
・地形図上の長さ×50000 =実際の距離
また、実際の距離から地形図上の長さを求めるときには、実際の距離の単位をmから㎝に変換するとスムーズに計算できます。
地形図上の長さから実際の距離を求めるときには、まずは㎝で実際の距離を求めた後で単位を㎝からmに変換するとよいでしょう。
② 縮尺の計算問題にチャレンジ
実際の距離と地形図上の長さと縮尺の関係について説明してきました。
ここでは、縮尺の計算の基本問題にチャレンジしていきたいと思います。
例題① 地図の長さから実際の距離(m)を求める
(問) 50000分の1の地形図で地形図上の長さが5㎝なら、実際の距離は何mですか?
この問題は地形図上の長さをもとに、実際の距離を求める問題です。
計算方法は、
地形図上の長さ×50000 =実際の距離
で求めることができます。
では↑の式に、問題文で与えられた数値を当てはめて、式をつくりましょう。
(式) 5(㎝)×50000
=250000(㎝)
100㎝=1mなので、
250000(㎝)=2500(m)【答】
このように、まず実際の距離を㎝で求めた後で、問題で問われている単位(m)に変換するとよいでしょう。
例題② 実際の距離(m)から地図上の長さを求める
(問) 実際の距離が1500mであるとき、50000分の1の地形図の長さは何㎝ですか?
この問題は実際の距離をもとに、地形図上の長さを求める問題です。
計算方法は、
実際の距離×1/50000 =地形図上の長さ
で求めることができます。
↑の式に、問題文で与えられた数値を当てはめて、式をつくりましょう。
(式) 1500(m)×1/50000
1m=100㎝なので、
=150000(cm)×1/50000
=3(㎝)【答】
このように、まず実際の距離(m)を㎝に変換した後で、縮尺をかけて地形図上の長さになおすとよいでしょう。
例題③ 地図の長さから実際の距離(㎞)を求める
(問) 25000分の1の地形図で地形図上の長さが8㎝なら、実際の距離は何㎞ですか?
この問題は地形図上の長さをもとに、実際の距離を求める問題であり、計算方法は、
地形図上の長さ×25000 =実際の距離
で求めることができます。
今回も↑の式に、問題文で与えられた数値を当てはめて式をつくると、
(式) 8(㎝)×25000
=200000(㎝)
100㎝=1mなので、
200000(㎝)=2000(m)
さらに1000m=1㎞なので、
2000(m)=2(㎞)【答】
このように、まず実際の距離を㎝で求めた後で、いったんmに単位を変換したうえで、さらに問題で問われている単位(㎞)になおすとよいでしょう。
例題④ 実際の距離(㎞)から地図上の長さを求める
(問) 実際の距離が1.5㎞であるとき、25000分の1の地形図の長さは何㎝ですか?
この問題は実際の距離をもとに、地形図上の長さを求める問題です。
計算方法は、
実際の距離×1/25000 =地形図上の長さ
で求めることができます。
↑の式に、問題文で与えられた数値を当てはめて、式をつくりましょう。
(式) 1.5(㎞)×1/25000
1㎞=1000mなので、
=1500(m)×1/25000
さらに1m=100㎝なので
150000(cm)×1/25000
=6(㎝)【答】
このように、まず実際の距離を㎞からmに変換し、さらにmを㎝に変換した後で、縮尺をかけて地形図上の長さになおすとよいでしょう
以上、ここまで解説してきた例題が解けるようになれば、地形図上の長さと実際の長さを求める縮尺の計算問題はマスターしたといえます。
次に、縮尺の計算を使って面積を求める問題にチャレンジしたいと思います。
③ 縮尺の計算・面積を求める問題
ここまで縮尺の計算について、基本問題を全パターン網羅して解説してきました。
縮尺の計算について、かなり理解が深まっていると思います。
そこでここでは、縮尺の計算の応用問題として入試などで出題される、縮尺の計算を使って面積を求める問題について詳しく解説していきます。
例題① 地図上の長さから実際の面積(㎡)を求める
(問) 25000分の1の地形図で地形図上に縦2㎝・横4㎝の長方形がある。この土地の実際の面積は何㎡ですか?
この問題を解くにあたり最初にしなければならないことは、この土地の実際の縦の距離と横の距離を求めることです。
土地の実際の縦と横の距離さえ分かれば、長方形なので『縦の距離×横の距離』で土地の面積を求めることができます。
それと、求める面積の単位が㎡なので、実際の縦と横の距離の単位もmで求めるとよいでしょう。
では、実際の縦の距離から求めてみましょう。
実際の距離を求めるには、
地形図上の長さ×25000 =実際の距離
を計算するとよいので、地形図上の縦の長さ2㎝を↑の式に当てはめて計算します。
2(㎝)×25000=50000(㎝)
100㎝=1mなので、
50000(㎝)=500(m)【実際の縦の距離】
同様に、地形図上の横の長さ4㎝から実際の横の距離を求めると、
4(㎝)×25000=100000(㎝)
100㎝=1mなので、
100000(㎝)=1000(m)【実際の横の距離】
最後に、求めた実際の縦と横の距離をもとに面積を求めてみましょう。
長方形の面積は『縦の距離×横の距離』で計算できるので、実際の縦の距離500mと実際の横の距離1000mをかけます。
500(m)×1000(m)=500000(㎡)【答】
例題② 地図上の長さから実際の面積(㎢)を求める
(問) 50000分の1の地形図で地形図上に縦6㎝・横4㎝の長方形がある。この土地の実際の面積は何㎢ですか?
この問題も例題①と同様に、最初に実際の縦と横の距離を求めていきます。
ただ今回は、求める面積の単位が㎢なので、実際の縦と横の距離の単位も㎞で求める点に注意しましょう!
では、実際の縦の距離から求めてみましょう。
実際の距離を求めるには、
地形図上の長さ×50000 =実際の距離
を計算するとよいので、地形図上の縦の長さ6㎝を↑の式に当てはめて計算します。
6(㎝)×50000=300000(㎝)
100㎝=1mなので、
300000(㎝)=3000(m)
さらに1000m=1㎞なので、
3000(m)=3(㎞)【実際の縦の距離】
同様に、地形図上の横の長さ4㎝から実際の横の距離を求めると、
4(㎝)×50000=200000(㎝)
100㎝=1mなので、
200000(㎝)=2000(m)
さらに1000m=1㎞なので、
2000(m)=2(㎞)【実際の横の距離】
最後に、求めた実際の縦と横の距離をもとに面積を求めてみましょう。
長方形の面積は『縦の距離×横の距離』で計算できるので、実際の縦の距離3㎞と実際の横の距離2㎞をかけます。
3(㎞)×2(㎞)=6(㎢)【答】
※YouTubeに「縮尺の計算問題」の詳しい解説動画を投稿していますので、↓のリンクからぜひご覧下さい!
④ 縮尺の計算・練習問題
さまざまな縮尺の計算問題を見てきましたが、ここまでの内容をきちんと理解できたかを確認する練習問題を↓に用意しています。
5問載せておりますので、力試しとしてぜひチャレンジしてみてください!
【問1】25000分の1の地形図で地形図上の長さが3㎝なら、実際の距離は何mですか?
【問2】50000分の1の地形図で地形図上の長さが7㎝なら、実際の距離は何㎞ですか?
【問3】実際の距離が1250mであるとき、25000分の1の地形図の長さは何㎝ですか?
【問4】実際の距離が2.5kmであるとき、50000分の1の地形図の長さは何㎝ですか?
【問5】50000分の1の地形図で地形図上に縦6㎝・横8㎝の長方形がある。この土地の実際の面積は何㎢ですか?
解答解説は、↓のとおりです。
(1) 3(㎝)×25000=75000(㎝)
100㎝=1mなので、
75000(㎝)=750(m)【答】
(2) 7(㎝)×50000=350000(㎝)
100㎝=1mなので、
350000(㎝)=3500(m)
さらに1000m=1㎞なので、
3500(m)=3.5(㎞)【答】
(3) 1250(m)×1/25000
1m=100㎝なので、
125000(㎝)×1/25000=5(㎝)【答】
(4) 2.5(㎞)×1/50000
1km=1000mなので、
2500(m)×1/50000
さらに1m=100㎝なので、
250000(㎝)×1/50000=5(㎝)【答】
(5) まず実際の縦と横の距離(㎞)を求める
(縦) 6(㎝)×50000=300000(㎝)
100㎝=1mなので、
300000(㎝)=3000(m)
さらに1000m=1㎞なので、
3000(m)=3(㎞)
(横) 8(㎝)×50000=400000(㎝)
100㎝=1mなので、
400000(㎝)=4000(m)
さらに1000m=1㎞なので、
4000(m)=4(㎞)
求めた実際の縦と横の距離をもとに面積を求めると、
3(km)×4(km)=12(㎢)【答】
すべて正解することができましたか?
まちがった問題があったり、解き方が分からない問題があったりした人は、しっかり復習して理解しておきましょう。
記事のまとめ
以上、中学地理「縮尺の計算問題」の解き方ついて、詳しく説明してきました。
いかがだったでしょうか?
今回の記事の内容をまとめると
①縮尺の計算の基本
・縮尺:地図上で実際の距離を表したときの縮小の割合
・地形図には、縮尺が25000分の1と50000分の1の2つの種類がある
・縮尺が25000分の1の場合
『実際の距離』×1/25000 =『地形図上の長さ』
『地形図上の長さ』×25000 =『実際の距離』
・縮尺が50000分の1の場合
『実際の距離』×1/50000 =『地形図上の長さ』
『地形図上の長さ』×50000 =『実際の距離』
②縮尺の計算問題の解き方
(ⅰ) 地形図上の長さから実際の距離を求める場合
・まず実際の距離を㎝で求めてから、問題で問われている単位(mや㎞)になおす
・100㎝=1m、1000m=1㎞であることを利用して単位を変換する
(ⅱ) 実際の距離から地形図上の長さを求める場合
・まず実際の距離(㎞,m)を㎝に変換してから、地形図上の長さを求める
・1㎞=1000m、1m=1000㎝であることを利用して単位を変換する
③面積を求める問題の解き方
・最初に実際の縦の長さと横の距離を求める
・求める面積の単位が㎡の場合、実際の距離もmで求める
・求める面積の単位が㎢の場合、実際の距離も㎞で求める
・最後に「実際の縦の距離×実際の横の距離」を計算して面積を求める
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。