中学社会の公民の経済分野で「円高・円安と輸出入の関係」について学習します。
テレビのニュースで「現在の為替相場は、1ドル○○円」などよく耳にしますが、1ドルに対して円がどうなると円高・円安なのか、イマイチよく分からないという中学生も多いと思います。
この記事では円高・円安について、さらに円高・円安と輸出入の関係について、具体例を挙げながら1つ1つ丁寧に説明していきます。
さらに、円高・円安と輸出入の関係についてのゴロ合わせによる覚え方も紹介しますので、ぜひ最後までご覧下さい。
この記事でお教えする内容は、以下の通りです。
① 円高ってなに?
② 円安ってなに?
① 円高ってなに?
まずはじめに、円高について説明していきたいと思います。
円高とは、外国の通貨(ドルなど)に対して円の価値が高くなることです。
具体的な例を挙げますね。
例えば、1ドル=200円から1ドル=100円になったら、これは円高です。
「200円から100円になったんだから、安くなったのでは?」と思う人もいるかもしれません。
そこで、円の価値が高くなったことを実感できるよう、アメリカ人がドルを円に交換する場合を考えてみましょう。
はじめ、アメリカ人は1ドルで200円と交換できていましたが、1ドルで100円としか交換できなくなってしまいました。
アメリカ人が交換できる円が100円少なくなってしまった(アメリカ人にとって損)ということは、つまりそれだけドルに対する円の価値が上がっているということです。
↑の例でイマイチ納得できないという人のために、もう1つ別の考え方を説明しますね。
ちょっと数字が小さくなってしまうのですが、次のように考えると納得感を得られるのではないかと思います。
1ドル=200円のとき、1円は何ドルになるのかを求めてみます。
1(ドル)÷200(円)=0.005(ドル)
つまり、1ドル200円ということは1円は0.005ドルということになります。
次に1ドル=100円のとき、1円は何ドルになるのかを求めてみます。
1(ドル)÷100(円)=0.01(ドル)
つまり、1ドル100円ということは1円は0.01ドルということになります。
このように考えれば、1円と交換できるドルが0.005ドルから0.01ドルと0.005ドル高くなっているので、円が高くなったことが実感できるのではないでしょうか。
② 円安ってなに?
次に、円安について説明していきたいと思います。
円安は、円高の逆で外国の通貨(ドルなど)に対して円の価値が低くなることです。
具体的な例を挙げてみましょう。
例えば、1ドル=100円から1ドル=200円になったら、これは円安です。
「100円が200円になったんだから、高くなったのでは?」と思う人もいるかもしれません。
そこで、円の価値が低くなったことを実感できるよう、今回もアメリカ人がドルを円に交換する場合を考えてみたいと思います。
はじめ、アメリカ人は1ドルで100円と交換できていましたが、1ドルで200円と交換できるようになりました。
アメリカ人が交換できる円が100円多くなった(アメリカ人にとって得)ということは、つまりそれだけドルに対する円の価値が下がっているということです。
今回も円高のときと同様、上記の例で納得できない人のために、もう1つの別の考え方も説明します。
まず1ドル=100円のとき、1円は何ドルになるのかを求めてみます。
1(ドル)÷100(円)=0.01(ドル)
つまり、1ドル100円ということは1円は0.01ドルということになります。
次に1ドル=200円のとき、1円は何ドルになるのかを求めてみます。
1(ドル)÷200(円)=0.005(ドル)
つまり、1ドル200円ということは1円は0.005ドルということになります。
このように考えると、1円と交換できるドルが0.01ドルから0.005ドルと0.005ドル低くなっていますね。
このことからも、円が安くなったことが実感できるのではないでしょうか。
③ 円高だと輸入が有利である理由
ここからは、円高・円安と輸出入の関係について説明していきたいと思います。
まずは、円高と輸出入の関係について説明していきます。
結論から先に言うと、円高のとき、日本にとっては輸入が有利になります(逆に輸出は不利)。
では円高だと輸入が有利になる理由について、具体例を挙げながら見ていきましょう。
1ドル=200円のとき、アメリカで10ドルで売られている商品を日本に輸入する場合を考えてみます。
このとき、10ドルを円になおすと、
200(円)×10(ドル)=2000(円)
ということで、2000円になります。
輸送費などの費用を考えなければ、輸入するのに2000円払う必要があります。
一方、円高が進み1ドル=100円になったとき、同じ10ドルの商品を日本に輸入する場合を考えてみます。
このとき、10ドルを円になおすと、
100(円)×10(ドル)=1000(円)
ということで、1000円になります。
輸送費などの費用を考えなければ、輸入するのに1000円払う必要があります。
1ドル200円から1ドル100円へと円高が進んだことで、2000円で輸入していたものが1000円で輸入できるようになりました。
つまり、日本では同じものを1000円安く買うことができるようになったのです。
このように円高の場合、日本にとっては輸入が有利になりますので、よく理解して覚えておきましょう!
④ 円安だと輸出が有利である理由
ここでは、円安と輸出入の関係について説明していきたいと思います。
今回も結論から先に言ってしまうと、円安のときは、日本にとっては輸出が有利になります(逆に輸入は不利)。
それでは今回も、円安だと輸出が有利になる理由について、具体例を挙げながら解説していきます。
1ドル=100円のとき、日本で1000円で売られている商品をアメリカへ輸出する場合を考えてみます。
このとき、1000円をドルになおすと、
1000(円)÷100(円)=10(ドル)
ということで、10ドルになります。
輸送費などの費用を考えなければ、10ドルで輸出することになります。
一方、円安が進み1ドル=200円になったとき、同じ1000円の商品をアメリカへ輸出する場合を考えてみます。
このとき、1000円をドルになおすと、
1000(円)÷200(円)=5(ドル)
ということで、5ドルになります。
輸送費などの費用を考えなければ、5ドルで輸出することになります。
1ドル100円から1ドル200円へ円安が進んだことで、10ドルで輸出していたものを5ドルで輸出できるようになりました。
つまり、アメリカ人に、同じものを5ドル安く売ることができるようになったのです
値段が安くなった方が、商品がたくさん売れるというのは、安売りセールなどを想像してもらえれば理解できると思います。
このように円安の場合、日本にとって輸出が有理になりますので、円高の場合と同様によく理解して覚えておきましょう!
⑤ 円高円安と輸出入の関係を覚えるゴロ合わせ
それでは、ここまで解説してきた『円高・円安と輸出入の関係』を覚えるゴロ合わせを紹介しますね。
それは、
『安いんです!だから入る』
です。
安売りのディスカウントストアの入口で、腕まくりをして特売品を買おうと意気込んでいる主婦をイメージして覚えて下さいね。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・安(い)→ 円安、で(す)→ 輸出
・だか(ら)→ 円高、入(る)→ 輸入
※YouTubeに「円高・円安と輸出入の関係」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
⑥ 円高円安と輸出入の関係・練習問題
それでは最後に、ここまで解説してきた『円高・円安と輸出入の関係』についての練習問題を用意しました。
問題にチャレンジして、この記事をしっかり理解できたかを確認しましょう。
【問】( )に入る適当な語句を答えなさい。
(1) 1ドルが120円から130円になるのは、円( )である。
(2) 1ドルが120円から100円になるのは、円( )である。
(3) (1)の場合、日本は輸( )が有利になる。
(4) (2)の場合、日本は輸( )が有利になる。
解答解説は↓の通りです。
(1) (円)安、(2) (円)高、(3) (輸)出、(4)(輸)入
記事のまとめ
以上、中3公民で学習する「円高・円安と輸出入の関係」について、解説と覚え方を詳しく紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
今回の記事のポイントをまとめると…
⇒ 外国の通貨に対して円の価値が高くなること
(例) “1ドル=200円”から“1ドル=100円”になる
⇒ 外国の通貨に対して円の価値が低くなること
(例) “1ドル=100円”から“1ドル=200円”になる
⇒ 円高の場合、日本は輸入が有利になる (輸出は不利)
⇒ 円安の場合、日本は輸出が有利になる (輸入は不利)
・だか(ら)→ 円高、入(る)→ 輸入
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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