この記事では、中2理科で学習する『肺循環の動脈血・静脈血の覚え方』を紹介しています。
さらに、その前提となる内容(動脈や静脈、心臓のはたらき、肺循環と体循環、動脈血と静脈血など)についても詳しく解説しています。
ただ『肺循環の動脈血・静脈血の覚え方』だけを知りたい方もいると思うので、その場合はコチラをクリックしていただけますと、その箇所に移動することができます。
今回の内容は以下の通りです。
ぜひ最後までご覧いただいて、勉強に役立てていただけますと幸いです。
① 動脈と静脈ってなに?
ここでは、動脈と静脈がそれぞれどのような血管であるかを解説していきます。
動脈は、心臓から送り出された血液を運ぶ血管です。
一方、静脈は、心臓に戻る血液が流れる血管になります。
また下の図のように、動脈の壁は厚くて弾力の大きい筋肉でできています。
この特徴は、心臓から押し出された血液の高い圧力がかかるためです。
一方、静脈の壁は動脈に比べるとうすくて弾力性も小さいという特徴があります。
また、血液の逆流を防ぐため、ところどころに弁があります。
これらの静脈の特徴は、心臓に戻る血液は動脈に比べて圧力が弱いためです。
② 心臓のつくりとはたらき
ここでは、血液の循環において大きな役割を果たしている心臓のつくりとはたらきについてがそれぞれを解説していきます。
(ⅰ) 心臓のつくり
まずは心臓のつくりについて説明していきます
人間の心臓は↓の図のように、右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋のような部分でできています。
これらの心臓の各部分を、血液がどのように流れていくのかを大まかに説明します。
全身をめぐり戻ってきた血液は、まず①右心房に流れ込み、続いてその血液は②右心室に流れ込みます。(下図参照)
それから右心室に流れ込んだ血液は、③肺に送り出されます。(下図参照)
肺に送り出されて戻ってきた血液は、④左心房に流れ込み、続いてその血液は⑤左心室に流れ込みます。(下図参照)
それから左心室に流れ込んだ血液は、⑥全身に送り出されます。(下図参照)
(ⅱ) 心臓のはたらき
では次に、心臓がどのように血液の流れをつくっているのか、そのはたらきについて説明していきます。
心臓は厚い筋肉でできています。
そしてこの筋肉により心房と心室が交互に収縮することで、心臓は血液の流れをつくるポンプのような役割をしているのです。
もう少し具体的に説明すると、心臓が↓の①~③の動きを繰り返すことで、血液の流れをつくっています。
① まず心房の筋肉が緩み、心房の筋肉が拡張することで血液が心臓に流れ込む
② 次に心房の筋肉が収縮し、心室の筋肉が緩む。これにより心室が拡張して、心房から心室に血液が流れ込む
③ 今度は心室の筋肉が収縮することで、血液が肺・全身に送り出される
また、このように心房と心室が収縮を交互に繰り返すことを拍動といいます。
③ 肺循環と体循環ってなに?
ここでは、血液が心臓から送り出されて戻ってくる循環、特に肺循環と体循環について詳しく解説していきたいと思います。
(ⅰ) 循環とは?
そもそも『循環』とはどういう意味を持つ言葉なのでしょうか?
複数の辞書を調べたところ「ひとまわりして、また元のところへに還り、それを繰り返すこと」という意味のようです。
したがって、「肺循環」とは、血液が心臓から送り出されて肺へ行き、肺から再び心臓に戻ってくる流れを指す言葉であることが分かります。
同様に、「体循環」とは、血液が心臓から送り出されて全身をめぐり、再び心臓に戻ってくる流れを指す言葉であることが分かります。
(ⅱ) 肺循環について詳しく解説!
では肺循環の流れについて詳しく見ていきましょう。
↓の図をもとに解説していきますね。
まず、心臓の①右心室から血液が送り出されて、心臓から肺へ流れる血管である②肺動脈を通り、③肺に到達します。
その後、血液は③肺から心臓へ流れる血管である④肺静脈を通り、心臓の⑤左心房に戻ってきます。
つづいて、肺循環で何が行われているのかをより深く理解するために、肺循環で流れている血液について詳しく見てみましょう。
右心室から出ていき肺動脈を流れる血液は、血液内の酸素の量は少なく、二酸化炭素の量は多くなっています。
これは、全身から心臓に戻ってきた血液は、体中の細胞に酸素を渡しており、さらにそれらの細胞から二酸化炭素を受け取っているためです。
では肺に送られた血液はどうなるでしょう。
肺では血液に酸素が取り込まれ、二酸化炭素が出されます。
つまり、肺では血液内の気体の交換が行われます。
このため、肺静脈を流れて左心房に戻ってくる血液は、血液内の酸素の量は多く、二酸化炭素の量は少なくなっています。
ここまで見てきた通り、肺循環では血液中の少なくなった酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を出すことが行われています。
(ⅲ) 体循環について詳しく解説!
つづいて、体循環の流れについて詳しく見ていきましょう。
↓の図をもとに解説していきますね。
まず、心臓の①左心室から血液が送り出されて、心臓から全身へ送り出される血管である②大動脈を通り、③全身をめぐります。
その後、血液は③全身から心臓へ戻ってくる血管である④大静脈を通り、心臓の⑤右心房に戻ってきます。
つづいて、体循環で何が行われているのかをより深く理解するために、体循環で流れている血液について詳しく見てみましょう。
左心室から出ていき大動脈を流れる血液は、血液内の酸素の量は多く、二酸化炭素の量は少なくなっています。
これは、肺循環のところで説明した通り、肺で血液に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を出したためです。
では全身に送られた血液はどうなるでしょう。
全身に送られた血液は、体中の細胞に酸素を渡して、二酸化炭素を受け取ってきす。
それだけでなく、さらには小腸で吸収した栄養分も体中の細胞に届けて、アンモニアなどの不要な物質を受け取ります。
こうして、最終的に全身から大静脈を流れて右心房に戻ってくる血液は、血液中の酸素の量は少なく、二酸化炭素は多くなっています。
このように、体循環では体中の細胞に酸素や栄養分を届けて、二酸化炭素や不要な物質を受け取ることが行われています。
④ 動脈血と静脈血とは?
ここからは、動脈血と静脈血について詳しく解説していきたいと思います。
(ⅰ) 動脈血と静脈血の特徴
まず動脈血について説明しますが、動脈血とは酸素を多く含み二酸化炭素が少ない血液のことです。
動脈血は赤血球のヘモグロビンと酸素が結びついているため、鮮やかな赤色をしているのが特徴です。
つづいて静脈血について説明しますが、静脈血とは酸素が少なく二酸化炭素を多く含んている血液のことです。
静脈血は酸素と結びついていないヘモグロビンが多いため、暗赤色をしているのが特徴です。
(ⅱ) 動脈血と静脈血が流れる血管
まずは動脈血が流れている血管について説明しますね。
動脈血は酸素を多く含んでいるという特徴がありました。
そのため、
① 肺で酸素を取り入れた直後の血液が流れる肺静脈
② 肺から心臓に戻ってきた血液が全身に送り出される大動脈
は動脈血が流れている血管です。
次に静脈血が流れている血管について説明しますね。
静脈血は含まれている酸素が少ないという特徴がありました。
そのため、
① 全身の細胞に酸素を渡した血液が流れる大静脈
② 全身から心臓に戻ってきた血液が肺に送り出される肺動脈
は静脈血が流れている血管です。
注意するポイントは、
・肺静脈は静脈だけど動脈血が流れている
・肺動脈は動脈だけど静脈血が流れている
ので間違えないように気をつけましょう!
⑤ 肺循環の動脈血・静脈血の覚え方
この段落では肺循環の動脈血・静脈血の組み合わせを覚えるためのゴロ合わせを紹介していきたいと思います。
先ほどもちょっと触れましたが、
・肺動脈は静脈血が流れている
・肺静脈は動脈血が流れている
上に挙げた内容を覚えるゴロ合わせは、
『廃土場で、
ハイジどうする?』
です。
迷子になったアルプスの少女ハイジが廃土場について困っているところをイメージして覚えてみて下さい。
ゴロ合わせの内訳は以下の通りです。
・廃土→ 肺動脈、場→ 静脈血
・ハイジ→ 肺静脈、どう→ 動脈血
※YouTubeに「肺循環の動脈血・静脈血」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
⑥ 肺循環の動脈血・静脈血 練習問題
最後になりましたが、この記事で学習した内容の練習問題を↓に用意しました。
問題に挑戦して、きちんと理解できているかどうかを確認してくださいね。
【問】下の図をもとに、(1)~(4)の問題文の( )に入る適当な語句を答えましょう。
(1) の血管は( )脈で、流れているのは( )血である。
(2) の血管は( )脈で、流れているのは( )血である。
(3) の血管は( )脈で、流れているのは( )血である。
(4) の血管は( )脈で、流れているのは( )血である。
問題の解答は↓の通りです。
(1) 肺動(脈)、静脈(血)、(2) 肺静(脈)、動脈(血)、(3) 大動(脈)、動脈(血)、(4) 大静(脈)、動脈(血)、
どうでしたか?すべて正解することができましたか?
もし、間違えたところがあった人は、ちゃんと復習してしっかり理解して覚えておきましょう!
記事のまとめ
以上、中2理科で学習する「肺循環の動脈血・静脈血の覚え方」について、説明してまいりました。
① 動脈と静脈
・動脈:心臓から送り出された血液を運ぶ血管
・静脈:心臓に戻る血液が流れる血管
② 心臓のつくりとはたらき
・人間の心臓は、右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋のような部分でできている
・心臓は心房と心室が交互に収縮することで、血液の流れをつくるポンプの役割をしている
③ 肺循環と体循環
・肺循環:右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房
・体循環:左心室 → 大動脈 → 全身 → 大静脈 → 右心房
④ 動脈血と静脈血
・動脈血:酸素を多く含み二酸化炭素が少ない血液
・動脈血:酸素が少なく二酸化炭素を多く含んでいる血液
・動脈血が流れている血管は肺静脈と大動脈、静脈血が流れている血管は肺動脈と大静脈
⑤ 肺循環の動脈血・静脈血の覚え方
『廃土場でハイジどうする?』
・廃土→ 肺動脈、場→ 静脈血
・ハイジ→ 肺静脈、どう→ 動脈血
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。