中学社会の歴史や公民で学習する「啓蒙思想家」のロック・モンテスキュー・ルソー。
この3人の思想家の国や著書名や唱えた説がそれぞれ出てきて、どれがどれだか分からなくなった人も少なくないと思います。
今回はロック・モンテスキュー・ルソーについて、それぞれの唱えた内容を分かりやすく解説し、さらにゴロ合わせによる覚え方も紹介していきたいと思います。
この記事でお教えする内容は、以下の通りです。
①『絶対王政』と『王権神授説』
ロック・モンテスキュー・ルソーの啓蒙思想家の解説を始める前に、『絶対王政』という政治体制について、カンタンに説明しておきたいと思います。
絶対王政とは、16~18世紀にかけてのヨーロッパで展開された、国王が絶対的な権力をにぎって行った専制政治のことです。
国王が常備軍と官僚制に基づいて、国内の諸侯や教会の勢力を抑え、国家の統一を強力に推し進めたことで、このような王政を行うことができました。
ちなみに、常備軍とは戦争がない平時から常設されている軍隊のことで、官僚制とは専門的な能力を持った役人により構成された行政組織のことです。
絶対王政を行った代表的な人物としては、イギリスのエリザベス1世やフランスのルイ14世などが挙げられます。
さらに、この絶対王政を正当化する理論として『王権神授説』というものが唱えられました。
王権神授説とは、その名の通り国王の権力は神から与えられたものなので、国民は王に従わなければならないとする説です。
この説では、国民は王に対してどんなに不満があっても、王に抵抗することは認められないものと考えられていました。
このような絶対王政の状況下で、国王に不満を持つ市民たちが起こした市民革命に理論的な影響を与えたのが、ロック・モンテスキュー・ルソーら啓蒙思想家の唱えた考えでした。
② ロックが唱えた『社会契約説』と『抵抗権』
ここでは、ロックの唱えた思想を解説していきますね。
ジョン・ロック(1632~1704年)はイギリスの啓蒙思想家で『統治二論(市民政府二論)』という本を著しました。
ロックは、そもそも国家とはどのように成立したのか、その起源を考えました。
まだ国家がなかった大昔には、紛争などの争いが起こった場合、当然ながらそれを収めてくれるような機関は存在しませんでした。
そこで人々は自分たちの生命や財産の権利を保障するため、お互いに契約することで大きな権力を持った国家を成立させたのだと考えました。
この考えを社会契約説といいます。
ロックはこの社会契約説をもとに、人民には『抵抗権』という権利があることを主張しました。
抵抗権とは、国家(政府)よる不当な権力の行使に対して人民が抵抗する権利のことです。
そもそも、国家(政府)は社会契約により人民から政治権力を委ねられているのであり、その権力は人民の権利を保障するためのものであると考えられます。
そのためロックは、国家(政府)がその権力を濫用する場合、人民は抵抗する権利があると考えたのです。
これらロックの唱えた社会契約説や抵抗権の考えは、イギリスで起こった名誉革命を正当化する理論になりました。
ロックについて定期テストや受験対策として、
① イギリスの思想家
② 統治二論(市民政府二論)を著した
③ 抵抗権を唱えた
の3つのポイントを押さえておきましょう!
③ モンテスキューが唱えた『三権分立』
ここでは、モンテスキューの唱えた思想を解説していきますね。
モンテスキュー(1689~1755年)はフランスの啓蒙思想家で『法の精神』という本を著しました。
モンテスキューは三権分立という考えを唱えました。
ここでいう三権とはそれぞれ、
・立法権 (法律を制定する権限)
・行政権 (国の政治を行う権限)
・司法権 (法に基づき裁判を行う権限)
のことです。
これらの権力が1つに集中してしまうと、絶対王政の国王のように権力が濫用(むやみやたらに使われること)される恐れがあります。
モンテスキューは権力が集中し濫用されるのを防ぐため、立法権・行政権・司法権を分けて、それぞれ独立した機関が行うような制度を考えました。
その考えを三権分立といいます。
現在の日本の政治制度も三権分立を取り入れており、それぞれ立法は国会、行政は内閣、司法は裁判所がそれぞれ担っています。
このように、モンテスキューの三権分立の考えはアメリカ合衆国憲法やフランスの人権宣言にも採用され、近代の憲法に大きな影響を与えました。
モンテスキューについて定期テストや受験対策として、
① フランスの思想家
② 法の精神を著した
③ 三権分立を唱えた
の3つのポイントを押さえておきましょう!
④ ルソーが唱えた『人民主権』
ここでは、ルソーの唱えた思想を解説していきますね。
ジャン・ジャック・ルソー(1712~1778年)はフランスの啓蒙思想家で『社会契約論』という本を著しました。
前に出てきたロックは、国家や社会のない大昔の自然状態の人々について考え、人々は自分たちの生命や財産の権利を保障するため、社会契約を行うことで大きな権力を持った国家を成立させたと考えました。
ルソーも同様に国家や社会のない大昔の自然状態の人々について考えましたが、その内容はロックとは異なるものでした。
ルソーは、自然状態の頃の人々は周りの人々に対して憐みの感情を持ち、お互いに助け合い平和で満ち足りた生活をしていたと考えました。
しかし、文明が発達していく中で人々に私有財産という考えがもたらされ、互いに富をめぐり争うようになってしまいました。
このような状況ですべての人の幸福を実現するためにどうすればよいか、ルソーは考えました。
そしてルソーは、人々は『一般意志』に自分の権利を委ねる社会契約をするべきだと主張しました。
『一般意志』とはすべての人々の幸福を目指す普遍的な意志のことです。
さらにルソーは、政治的なことがらを最終的に決める権利である主権は、一般意志にもとづいて行われるものであり、一般意志は人民自身の意志であるため、主権は人民がもつという『人民主権』を唱えました。
ルソーについて定期テストや受験対策として、
① フランスの思想家
② 社会契約論を著した
③ 人民主権を唱えた
の3つのポイントを押さえておきましょう!
⑤『ロック・モンテスキュー・ルソー』のゴロ合わせ
ここでは、ここまで解説したロック・モンテスキュー・ルソーについて、国・著書・唱えた理論を覚えるゴロ合わせを紹介します。
それが、
『ロックなええ歳の父ちゃんが抵抗、
来るぞ~、普通の社会人と
門弟の2人の坊さん』
です。
歳をとってるのに父がロックで反抗的なので、社会人とお坊さん2人が説教しようと近寄ってきている場面を想像して覚えてみて下さい。
ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・ロック→ ロック、ええ→ 英国、父ちゃん→『統治二論』、抵抗→ 抵抗権
・来るぞ~→ ルソー、普通→ 仏国、社会→『社会契約論』、人→ 人民主権
・門弟→ モンテスキュー、2人→ 仏国、坊→『法の精神』、さん→ 三権分立
※YouTubeに「ロック・モンテスキュー・ルソー」についてのゴロ合わせ動画をアップしていますので、↓のリンクからご覧下さい!
【動画】中学社会ゴロ合わせ「ロック・モンテスキュー・ルソー」
⑥『ロック・モンテスキュー・ルソー』の練習問題
↓に『ロック・モンテスキュー・ルソー』についての練習問題を載せていますので、チャレンジしてこの記事で学習した内容が身についたかどうか確認してみましょう!
[問]以下の①~⑥に入る適当な語句を答えなさい。
(1) イギリスの( ① )は『統治二論(市民政府二論)』を著し、国家の不当な権力の行使に対して、市民には( ② )権があることを唱えた。
(2) フランスの( ③ )は『法の精神』を著し、( ④ )を唱えた。
(3) フランスの( ⑤ )は『社会契約論』を著し、( ⑥ )を唱えた。
解答は↓の通りです。
【解答】①ロック、②抵抗(権)、③モンテスキュー、④三権分立、⑤ルソー、⑥人民主権
いかがだったでしょうか?すべて正解できたでしょうか?
もし間違えた問題がありましたら、しっかり復習しておきましょう。
記事のまとめ
以上、中学社会で学習する「ロック・モンテスキュー・ルソー」について、解説と覚え方を詳しく紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
今回の記事のポイントをまとめると…、
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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