中3理科「イオン」陽イオンと陰イオンの化学式のゴロ合わせ教えます!

 この記事では、中3理科で学習する「陽イオンと陰イオンの化学式」についての解説ゴロ合わせの紹介をしています。

 原子の構造陽・陰イオンのでき方についても詳しく解説していますので、ぜひご覧下さい。

 今回の内容は以下の通りです。

 ① イオンってなに?

 ② 原子の構造を詳しく説明

 ③ 陽イオンのでき方を詳しく説明

 ④ 陰イオンのでき方を詳しく説明

 ⑤ 覚えておきたい陽イオンの化学式とゴロ合わせ

 ⑥ 覚えておきたい陰イオンの化学式とゴロ合わせ

① イオンってなに?

 ここでは、イオンとは何かということを簡単に説明していきます。

 イオンとは一言でいうと、

  『原子が電気を帯びたもの

 のことです。

 さらに、

  +(プラス)の電気を帯びたイオンを陽イオン

  -(マイナス)の電気を帯びたイオンを陰イオン

 といいます。

原子のイメージ画像

 陽イオン・陰イオンの例を↓に2つずつ挙げておきますね。

 (陽イオンの例)

   ① Na⁺ (ナトリウムイオン)

   ② Mg²⁺ (マグネシウムイオン)

   (陰イオンの例)

   ① Cl⁻ (塩化物イオン)

   ② S²⁻ (硫化物イオン)

 ここまでイオンについて簡単に説明してきましたが、

  「なぜ原子が電気を帯びてイオンになるのか?

 と、気になった人も多いと思います。

 そこで次の段落では、イオンのでき方について詳しく解説していきたいと思います。

 勉強している少年のイラスト


② 原子の構造を詳しく説明

 イオンがどのようにできるのかを説明するにあたり、ここではその前提知識となる原子の構造について詳しく解説していきます。

 原子をさらに細かく見ていくと原子は、

 ・+の電気をもつ原子核

 ・-の電気をもつ電子

 からできています。

 また、↑の原子核をさらに細かく見ていくと原子核は、

 ・+の電気をもつ陽子

 ・電気的に中性である中性子

 からできています。

 言葉だけだと分かりにくいと思うので、↓のヘリウム原子の図を例に説明していきますね。

ヘリウム原子の構造を表した図

 図を見ると、ヘリウム原子は電子が2個あり、さらに原子核には陽子が2個中性子が2個あります。

 電子は陽子に比べて質量は非常に小さいものの、陽子1個の+の電気の量と電子1個の-の電気の量は等しいです。

 ヘリウム原子の中は陽子が2個で電子も2個あるので、+と-の電気が打ち消し合い電気的に中性になっています(中性子は電気的に中性)。

 ヘリウム原子に限らず、原子は通常その中の陽子の数と電子の数は等しいので、+と-の電気が打ち消し合い原子は電気的に中性になっています。

 原子の構造、特に陽子と電子の数が等しいことと、原子は電気的に中性であることが分かったところで、いよいよ次の段落から原子がどのようにイオンになるのかについて、詳しく説明していきます。

一生懸命、勉強している女の子


③ 陽イオンのでき方を詳しく説明

 ここからはイオンのでき方について詳しく解説していきます。

 この段落では、+の電気を帯びた陽イオンのでき方について、詳しく説明していきたいと思います。

笑顔で挙手している男の子のイラスト

(ⅰ) 1価の陽イオンのでき方

 まずはじめに、ナトリウムイオンを例に説明していきますね。

 ナトリウム原子の中には、陽子が11個電子が11個存在します。

 また、ナトリウム原子には電子を失いやすい性質があります(電子を失いやすい理由は高校化学の内容になるので、とりあえずそういうものだと考えて下さい)。

 ここで、ナトリウム原子が電子を1つ失うとどうなるでしょう。

 すると原子の中は、陽子11個電子10個になるので、

    (+11)+(-10)=+1

 となり、+の電気を帯びた陽イオンであるナトリウムイオンになります。

 化学式ではNa⁺と表し『エヌエー プラス』と読みます。

 このような電子を1つ失った陽イオンを1価の陽イオンといいます。

分子模型と水溶液の入ったビーカーが並んだ写真

(ⅱ) 2価の陽イオンのでき方

 つづいて、マグネシウムイオンを例に説明していきますね。

 マグネシウム原子の中には、陽子が12個電子が12個存在します。

 また、マグネシウム原子にも電子を失いやすい性質があります。

 ここで、マグネシウム原子は電子を2つ失います。

 するとどうなるでしょう?

 このとき原子の中は、陽子12個電子10個になるので、

    (+12)+(-10)=+2

 となり、+の電気を帯びた陽イオンであるマグネシウムイオンになります。

 化学式ではMg²⁺と表し『エムジー 2(に)プラス』と読みます。

 このような電子を2つ失った陽イオンを2価の陽イオンといいます。

分子模型と水溶液の入ったビーカーが並んだ写真

(ⅲ) 複数の原子からできた陽イオン

 ここまで紹介してきた陽イオンは、ナトリウムイオン・マグネシウムイオンといずれも1つの原子からできたものでした。

 これらの陽イオンと異なり、複数の原子からできた陽イオンもあります。

 ここでは代表的なものを↓に載せておきますね。

 NH₄⁺ (アンモニウムイオン)

 水素原子Hと窒素原子Nからできた陽イオンで、読み方は『エヌエイチ4(フォー) プラス』となります。

 ちなみに、アンモニウムイオンのような複数の原子からできたイオン多原子イオンといいます。


④ 陰イオンのでき方を詳しく説明

 この段落では、-の電気を帯びた陰イオンのでき方について、詳しく説明していきたいと思います。

笑顔で挙手している女の子のイラスト

(ⅰ) 1価の陰イオンのでき方

 まずはじめに、塩化物イオンを例に説明していきますね。

 塩素原子の中には、陽子が17個電子が17個存在します。

 また、塩素原子には電子を受け取りやすい性質があります(電子を受け取りやすい理由も高校化学の内容になるので、とりあえずそういうものだと考えて下さい)。

 ここで、塩素原子が電子を1つ受け取るとどうなるでしょう。

 すると原子の中は、陽子17個電子18個になるので、

    (+17)+(-18)=-1

 となり、-の電気を帯びた陰イオンである塩化物イオンになります。

 化学式ではCl⁻と表し『シーエル マイナス』と読みます。

 このような電子を1つ受け取った陰イオンを1価の陰イオンといいます。

分子模型が並んだ写真

(ⅱ) 2価の陰イオンのでき方

 つづいて、硫化物イオンを例に説明していきますね。

 硫黄原子の中には、陽子が16個電子が16個存在します。

 また、硫黄原子にも電子を受け取りやすい性質があります。

 ここで、硫黄原子は電子を2つ受け取ります。

 するとどうなるでしょう?

 このとき原子の中は、陽子16個電子18個になるので、

    (+16)+(-18)=-2

 となり、-の電気を帯びた陰イオンである硫化物イオンになります。

 化学式ではS²⁻と表し『エス 2(に)マイナス』と読みます。

 このような電子を2つ受け取った陰イオンを2価の陰イオンといいます。

金属製の分子模型の写真

(ⅲ) 複数の原子からできた陰イオン

 ここまで紹介してきた陽イオンは、塩化物イオン・硫化物イオンといずれも1つの原子からできたものでした。

 これらの陰イオンと異なり、複数の原子からできた陰イオンもあります。

 ここでは代表的なものを↓に載せておきますね。

 OH⁻ (水酸化物イオン)

 酸素原子Oと水素原子Hからできた陰イオンで、読み方は『オウエイチ マイナス』となります。

 SO₄²⁻ (硫酸イオン)

 硫黄原子Sと酸素原子Oからできた陰イオンで、読み方は『エスオウ4(フォー) 2(に)マイナス』となります。

 先ほど説明したアンモニウムイオンと同様、水酸化物イオンや硫酸イオンも多原子イオンをといいます。

手を挙げて答えようとしている勉強する子どもたち


⑤ 覚えておきたい陽イオンの化学式とゴロ合わせ

 この段落では覚えておきたい陽イオンの化学式と、さらにそれらを覚えるためのゴロ合わせを紹介していきます。

 (1価の陽イオン)

 ・H⁺ (水素イオン) (読み方は”エイチ プラス“)

 ・Na⁺(ナトリウムイオン) (読み方は”エヌ エー プラス“)

 (2価の陽イオン)

 ・Cu²⁺ (銅イオン) (読み方は”シー ユー 2プラス“)

 ・Ca²⁺(カルシウムイオン) (読み方は”シー エー 2プラス“)

 上に挙げた4つの陽イオンを覚えるゴロ合わせは、

 『陽一がスイカと納豆

  2つ同時に軽々食う。』

 です。

 食いしん坊の陽一くんが、スイカと納豆を同時に食べているのを見てあきれているところをイメージして覚えてみて下さい。

納豆とスイカを食べる少年のイラスト

 ゴロ合わせの内訳は以下の通りです。

  ・陽→ 陽イオン
  ・一→ 1価、スイ→ 水素イオン、納豆→ ナトリウムイオン
  ・2つ→ 2価、同→ 銅イオン、軽→ カルシウムイオン

※YouTubeに「陽イオンの覚え方」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中学理科・ゴロ合わせ「陽イオンの覚え方」


⑥ 覚えておきたい陰イオンの化学式とゴロ合わせ

 この段落では覚えておきたい陰イオンの化学式と、さらにそれらを覚えるためのゴロ合わせを紹介していきます。

 (1価の陰イオン)

 ・Cl⁻ (塩化物イオン) (読み方は”シー エル マイナス“)

 ・OH⁻(水酸化物イオン) (読み方は”オー エイチ マイナス“)

 (2価の陰イオン)

 ・SO₄²⁻ (硫酸イオン) (読み方は”エス オー 4(フォー) 2マイナス“)

 上に挙げた3つの陰イオンを覚えるゴロ合わせは、

 『イマイチ

  延髄蹴りが2流。』

 です。

 2流のプロレスラーが延髄蹴りを放ったものの、威力がイマイチで相手がダメージをあまり受けていないところをイメージして覚えてみて下さい。

プロレスラーが延髄蹴りをやっているイラスト

 ゴロ合わせの内訳は以下の通りです。

  ・イ→ 陰イオン
  ・イチ→ 1価、延→ 塩化物イオン、髄→ 水酸化物イオン
  ・2→ 2価、流→ 硫酸イオン

※YouTubeに「陰イオンの覚え方」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中学理科・ゴロ合わせ「陰イオンの覚え方」


記事のまとめ

 以上、中3理科で学習する「陽イオンと陰イオンの化学式の覚え方について、説明してまいりました。

 いかがだったでしょうか?
 
 
 今回の記事のポイントをまとめると…

 ① イオンとは?

 ・イオン … 原子が電気を帯びたもの

 ・陽イオン … +の電気を帯びたイオン

 ・陰イオン … マイナスの電気を帯びたイオン

 ② 原子の構造

   ・原子原子核(+の電気)+電子(-の電気)

   ・原子核 陽子(+の電気)+中性子(電気的に中性)

   ・陽子1個の+の電気の量と、電子1個の-の電気の量は等しい

   ・通常、原子は陽子数と電子数は等しいので、+と-の電気が打消し合い、電気的に中性

  

  ③ 陽イオンのでき方

  ・1価の陽イオン … 電子を1つ失ってできた陽イオン (例:ナトリウムイオン Na⁺)

  ・2価の陽イオン … 電子を2つ失ってできた陽イオン (例:マグネシウムイオン Mg²⁺)

  ・多原子イオン … 複数の原子からできたイオン (例:アンモニウムイオン NH₄⁺)

陰イオンのでき方

  ・1価の陰イオン … 電子を1つ受け取ってできた陰イオン (例:塩化物イオン Cl⁻)

  ・2価の陰イオン … 電子を2つ受け取ってできた陰イオン (例:硫化物イオン S²⁻)

  ・多原子イオン … 複数の原子からできたイオン (例:水酸化物イオン OH⁻)

  ⑤ 陽イオンの覚え方

   『陽一がスイカと納豆、2つ同時に軽々食う

   ・陽→ 陽イオン

   ・一→ 1価、スイ→ 水素イオン、納豆→ ナトリウムイオン

   ・2つ→ 2価、同→ 銅イオン、軽→ カルシウムイオン

  ⑥ 陽イオンの覚え方

   『イマイチ、延髄蹴りが2流

   ・イ→ 陰イオン

   ・イチ→ 2価、延→ 塩化物イオン、髄→ 水酸化物イオン

   ・2→ 2価、流→ 硫酸イオン

 今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。

 これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。