今回は、算数において、入学前にマスターしておいた方がよい「小数・分数の計算」について、詳しくお伝えしていきたいと思います。
この記事でお伝えする内容は、以下の通りです。
①小数計算のポイント
まず、小数について、四則計算(たし算・ひき算・かけ算・わり算)を速く正確に計算できるようになっておかなければなりません。
小数のたし算・ひき算のポイント
小数のたし算・ひき算において、まず小数点をきちんと合わせて計算することに注意しましょう。
また、くり上がり・くり下がりの計算でミスをしてしまう人が少なくありません。
ですので苦手意識がある人は、正確に計算できるようになっておきましょう。
小数のたし算・ひき算についての練習問題を用意しましたので、上記の注意点に気を付けて、取り組んでみましょう!
① 2.4 + 0.85
② 3 + 0.6
③ 3.2 - 0.9
④ 3.6 - 2
まず、①の解答・解説から見ていきましょう。
この問題は上の図に注意点として書いている通り、小数点をそろえることと、くり上がりの計算に気を付ければ、大丈夫でしょう。
続いて②の解答・解説を見ていきましょう。
答えが0.9になった人はいませんか?
残念ながらそれは間違いなのですが、なぜ0.9という間違った計算結果が出てきたのかを考えてみましょう。
上の図を見て、どこが間違っているかわかりますか?
整数の3を、あえて小数点を付けて表すと3.0になりますよね。
つまり、「3+0.6」は「3.0+0.6」なので、上の図のやり方では、小数点をそろえずに計算していることになります。
整数と小数をたし算・ひき算するとき、整数に小数点を付けて計算しないと、小数点をそろえずに計算して間違える可能性があるのです。
よって、下の図のように計算するのが正しいやり方になります。
引き続き➂の解答・解説を見ていきましょう。
この問題も➀と同様で、上の図に注意点として書いている通り、小数点をそろえることと、くり下がりの計算に気を付ければ、大丈夫でしょう。
では最後の④の解答・解説を見ていきましょう。
答えが3.4になった人はいませんか?
残念ながらそれは間違いなのですが、なぜ3.4という間違った計算結果が出てきたのかを考えてみましょう。
上の図を見て、どこが間違っているかわかりますか?
整数の2を、あえて小数点を付けて表すと2.0になりますよね。
つまり、「3.6-2」は「3.6-2.0」なので、上の図のやり方では、小数点をそろえずに計算していることになります。
②のときと同様、整数と小数をたし算・ひき算するとき、整数に小数点を付けて計算しないと、小数点をそろえずに計算して間違える可能性があるのです。
よって、下の図のように計算するのが正しいやり方になります。
小数のたし算・ひき算について、計算するときに気を付けることは次の点です。
小数点をきちんとそろえること、特に整数と小数のたし算・ひき算の場合は、整数の小数点に気を付けて計算するよう心がけること。
(ⅰ)小数のかけ算のポイント
小数のかけ算・わり算においては、答えの小数点の位置を間違ってしまう人が少なくありません。
いまひとつ自信がない人は、正しく小数点を打てるように、計算方法をしっかり確認しておきましょう。
まず、小数のかけ算について詳しくみていきましょう。
小数のかけ算のやり方を説明する前に、1つ押さえておきたいポイントがありますので、そのポイントから説明していきます。
とりあえず下の図をご覧ください。
図の上の式は「5×3=15」という計算です。
そして、図の下の式は、5を10倍した50と、3を100倍した300をかけると、答えが15の1000倍である15000になることを示しています。
つまり、下の式は上の式を10×100で1000倍しています。
そのため、下の式の答えは、上の式の答え15の1000倍である15000になっているのです。
よって、下の答え15000を1000で割ると上の答え15になるのです。
以上の考えをもとに、0.36×0.7という計算を例にして、小数のかけ算のやり方を詳しく見ていきたいと思います。
まず、下の図をご覧ください。
図の上の式は、小数と小数のかけ算になっています。
そのため、このままでは計算できません。
それで、0.7を10倍、0.36を100倍することで、7と36、つまり整数にかえて、図の下の式のように整数のかけ算をします。
上の式を10×100で1000倍したのが下の式です。
下の式の答え252は上の式「0.7×0.36」の答えの1000倍になっています。
よって、「0.7×0.36」の答えを出すには、下の式の答え252を1000で割ればよいことになります。
1000で割るということは、小数点を3ケタ右に移動させることと同じなので、答えは0.252ということになります。
このように、小数のかけ算は、
➀小数を整数になおして整数のかけ算を計算する
②その答えを小数を整数になおすときにかけた数で割る
以上の2つの計算を行うことで、答えを求めることができます。
(ⅱ)小数のわり算のポイント
次に小数のわり算について詳しくみていきましょう。
小数のわり算のやり方を説明する前に、1つ押さえておきたいポイントがありますので、そのポイントから説明していきます。
とりあえず下の図をご覧ください。
図の上の式は「9÷3=3」という計算です。
そして、図の下の式は9を10倍した90を、3を10倍した30で割ると、答えが上の式と同じ3になることを示しています。
10÷10=1なので、10倍した数を10倍した数で割ると、結局はもとの式の答えと同じになるのです。
わり算はかけ算と違い、割る数と割られる数を同じ数だけ倍して計算すると、答えはもとの式の答えと同じになるのです。
以上の考えをもとに、0.45÷0.09という計算を例にして、小数のわり算のやり方を詳しく見ていきたいと思います。
まずは下の図をご覧ください。
図の上の式は小数と小数のわり算になっています。
このままでは計算できませんので、0.45と0.09をともに100倍します。
すると0.45と0.09を、45と9、つまり整数にかえることができます(100倍することは、小数点を2ケタ右に移動することと同じ)。
よって、図の式の下の式のように整数のわり算をして、答えが5になります。
わり算では、割る数と割られる数を、ともに同じ数だけ倍して計算しても、答えはもとの式の答えと同じになります。
このように、小数のわり算は「割る数と割れる数の小数を同じ数だけ倍して、整数になおして整数のわり算を計算する」ことで答えを出すことができます。
小数の計算は、中学では数学より理科の計算問題で必要になってきます。
考え方は分かっているのに、計算ミスで間違っている人がよく見られますので、しっかりマスターしておきましょう。
②分数計算のポイント
次に分数の計算ですが、通分が必要な分数のたし算・ひき算が苦手な人が多いように思います。
通分を使う計算が苦手なままだと、中学1年の最初の方で学習する「正の数・負の数」、「文字の式」の計算で苦労してしまいます。
ですから、苦手な人は春休み中にスムーズに計算できるようになっておきましょう。
また、効率よく通分や約分をできるようになるためには、最小公倍数や最大公約数を求めることをできるようになっておかなければなりません。
次に最小公倍数と最大公約数の求め方について紹介しますので、画像を参考にしながら、読んでいってください。
③最大公約数と最小公倍数の求め方
まず、最大公約数の求め方を説明していきたいと思います。
ここでは具体例として、24と36の最大公約数を求めるプロセスを通して、求め方を説明していきます。
上の画像を見てもらえば、大まかなことは理解していただけるのではないかと思います。
まず24と36の両方ともを割ることができる数(ここでは2)を左の部分に書きます。
そして、24と36の下の部分に、24と36を2で割った数(ここでは12と18)を書きます。
次に同じように、12と18の両方ともを割ることができる数(ここでは2)を左の部分に書きます。
そして、12と18の下の部分に、12と18を2で割った数(ここでは6と9)を書きます。
さらにこれまでと同じように、6と9の両方ともを割ることができる数(ここでは3)を左の部分に書きます。
そして、6と9の下の部分に、6と9を3で割った数(ここでは2と3)を書きます。
ここで、2と3を両方とも割ることができる数はありませんよね。
このように、もうこれ以上割れなくなるまで計算していきます。
割れなくなるまで計算したら、左側に並んだ数(画像中で赤線で囲んである部分)を全部かけます。
その計算結果が、最大公約数になります。
この例の場合ですと、左側に並んだ数は、上から2、2、3ですので、2×2×3をして求めた12が最大公約数になります。
こうして、24と36の最大公約数である12を求めることができました。
次に、最小公倍数の求め方を説明していきたいと思います。
ここでは具体例として、24と36の最小公倍数を求めるプロセスを通して、求め方を説明していきます。
計算のやり方は、最大公約数を求める方法と同じで、2つの数を同じ数でこれ以上割れなくなるところまで計算してください。
それから、画像の赤線で囲まれた部分をすべてかけると、最小公倍数を求めることができます。
この例の場合ですと、左側に並んだ数は上から2、2、3で、下に並んだ数は左から2、3です。
よって、2×2×3×2×3をして求めた72が最小公倍数になります。
このようにして、24と36の最小公倍数である72を求めることができます。
④通分と約分のやり方
最小公倍数と最大公約数の求め方が分かったところで、次に分数の通分と約分のやり方について見ていきましょう。
(ⅰ)通分のやり方
上の分数のたし算のように、分母が同じ数だったら、答えの分母はそのままで、答えの分子は分子どうしをたした数になります。
しかし、下の分数のたし算のように分母が異なる数の場合、通分して分母をそろえないと計算ができません。
この分数のたし算の場合ですと、2と3が分母なので、通分して2と3の最小公倍数である6を分母にします。
それでは、1/2と1/3の分母を、6に通分する過程を見ていきましょう。
まずは1/2から、
まず上の図のように、1/2の分母の2に3をかけると6になります。
そして、分母にかけた3を分子にもかけることで、分母と分子が3の分数3/3をかけたことになります。
この計算において、分母と分子が同じ数である3/3、つまり1をかけたことになります。
どんな数に1をかけても、数の大きさは変わりません。
よって、分母と分子に同じ数(この場合は3)をかけることによって、数の大きさを変えずに分母を6になおすことができるのです。
次に、1/3の方を見ていきましょう。
もう1つの分数である1/3も、分母の3に2をかけると6になります。
そして、分母にかけた2を分子にもかけることで、分母と分子が2の分数2/2をかけたことになります。
1/2の場合と同様、1/3も分母と分子が同じ数である2/2、つまり1をかけたことになります。
そのため、数の大きさを変えずに分母を6になおすことができました。
以上見てきたように、分母を6に通分したことで、下の図のように計算することができます。
このように、分母が異なる2つの分数の分母をそろえるため、2つの分数の分母の最小公倍数になるよう、同じ数をそれぞれの分子と分母にかけることを通分と言います。
(ⅱ)約分のやり方
通分は、分子と分母に同じ数をかけましたが、約分では、分子と分母を同じ数で割る計算を行います。
下に具体例を挙げましたので、ご覧ください。
分母の18と分子の12の最大公約数である6を用いて、分子も分母も6である6/6で12/18を割っています。
12/18を、分子も分母も6である6/6つまり1で割ることで、数の大きさを変えることなく、12/18を最も簡単な形である2/3にしているのです。
このようにある分数を、分子と分母の最大公約数で分子と分母を割り、分数を簡単な形にすることを約分といいます。
ちなみに、分数の計算問題で答えを求めたとき、その答えが約分できる場合は約分した形を答えないと、不正解になります。
答えが分数のときは、その答えが約分できるかどうか確認するよう心がけましょう。
※YouTubeに『小学算数の小数・分数』の復習ポイントについての解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
記事のまとめ
以上、小数・分数の計算のポイント(最大公約数・最小公倍数もふくむ)を紹介してまいりましたが、いかがだったでしょうか?
◎最後にもう1度、記事の中でのポイントをまとめてておくと…
・小数のたし算・ひき算は、小数点の位置を合わせて計算する
・小数のたし算・ひき算は、くり上がり・くり下がりをマスターする
・小数のかけ算・わり算は、答えの小数点の位置に注意する
・分数計算では、通分が必要なたし算・ひき算をマスターする
・効率よく通分・約分するために、最小公倍数・最大公約数の求め方をマスターする
次回は、「速さ・割合」と「面積の公式(台形・円)」についての記事をアップする予定です。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。
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