今回の記事では、中学国語の古文で学習する『係り結びの法則』について、1から丁寧に詳しく解説していきます。
さらに係り結びの法則を覚えるゴロ合わせについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧下さい。
この記事の内容は、以下の通りです。
『係り結びの法則』は高校でより詳しく学習することになるので、中学生のうちに先取りして理解しておきましょう!
➀ 『係り結びの法則』とは?
『係り結びの法則』とは、
文中に「係助詞」(ぞ・なむ・や・か・こそ)が使われると、文末の結びの語の活用形が変化するというルール
のことです。
ここででてきた活用とは、後に続く言葉などによって単語の形が変化することです。
例えば「走る」に「ます」をつけると「走ります」になり、「走る」の形が変化します。
他にも「静かだ」に「森」をつけると「静かな森」になり、「静かだ」の形が変化します。
↑のように後に続く言葉によって単語の形が変化すること活用といいます。
活用の話がちょっと長くなってしまったので、話を係り結びの法則に戻しますね。
最初にした説明では係助詞や結びの語など、聞き慣れない言葉が多くて分かりにくいと思いますので、係り結びの法則を使った文を2つほど例に挙げて説明してみたいと思います。
(例1) 男ありけり。(男がいた)
この例文を、係り結びの法則を使った文に変えてみると、
男ありけり。⇒ 男ぞありける。
この文では、文中に係助詞「ぞ」を使ったことで、文末の結びの語「けり」が活用し、連体形の「ける」に変化しています。
(例2) 雪降りけり。(雪が降った)
この例文を、係り結びの法則を使った文に変えてみると、
雪降りけり。⇒ 雪こそ降りけれ。
この文では、文中に係助詞「こそ」を使ったことで、文末の結びの語「けり」が活用し、已然形の「けれ」に変化しています。
例文を使って軽く説明してみましたが、いかがだったでしょうか?
まだ難しく感じるかもしれませんが、係助詞や結びの語の変化についてはこの後で具体的に詳しく解説していきます。
今の時点では係助詞と呼ばれている言葉が文中で使われると結びの語と呼ばれる文末の言葉の形が変わるんだなと大まかにイメージしてもらえれば大丈夫です。
②強調の係助詞を使った係り結びの法則
ここからは、係り結びの法則に使われる係助詞に注目してより詳しく説明していきます。
ここでは強調の意味をもつ係助詞である「ぞ」「なむ」「こそ」を使った係り結びの法則について、順番に解説していきますね。
(ⅰ) 「ぞ」を使った係り結びの法則
まずは係助詞「ぞ」を用いた例文が↓にありますので、ご覧ください。
(例) 雨降りけり。(雨が降った) → 雨ぞ降りける。
右の文は左の文をもとにして、係助詞「ぞ」を用いてつくった係り結びの法則が使われた文です。
文中に係助詞「ぞ」が使われたことで、結びの語「けり」が連体形の「ける」に変化しています。
ここで使われている係助詞「ぞ」は「強調」の意味を持っています。
「強調」とは文の意味を強める働きのことで、この文の場合だと「雨が降ったぞ!」という感じを表します。
ちなみに、現代語に訳する場合は「雨が降った」という、もともとの文のままで訳するとよいでしょう。
また例文のように、文中に係助詞「ぞ」が使われた場合、文末の結びの語は「連体形」に変化します(連体形とは後に名詞が続く場合の活用形のこと)ので、この点も押さえておきましょう!
(ⅱ) 「なむ」を使った係り結びの法則
係助詞「なむ」を用いた例文をつくったので、↓をご覧ください。
(例) 雨降りけり。(雨が降った) → 雨なむ降りける。
右の文は左の文をもとにして、係助詞「なむ」を用いてつくった係り結びの法則が使われた文です。
文中に係助詞「なむ」が使われたことで、先ほどの「ぞ」と同様、結びの語「けり」が連体形の「ける」に変化しています。
ここで使われている係助詞「なむ」も「ぞ」と同様に「強調」の意味を持っています。
ただし、「なむ」は「ぞ」より強調の度合いが弱くなることを押さえておいてください
現代語に訳する場合は「ぞ」のときと同様に、「雨が降った」とそのまま訳してかまいません。
また文中に係助詞「なむ」が使われた場合も「ぞ」と同じく、結びの語は「連体形」に変化します。
(ⅲ) 「こそ」を使った係り結びの法則
係助詞「こそ」を用いた例文をつくったので、↓をご覧ください。
(例) 雨降りけり。(雨が降った) → 雨こそ降りけれ。
右の文は左の文をもとにして、係助詞「こそ」を用いてつくった係り結びの法則が使われた文です。
文中に係助詞「こそ」が使われたことで、結びの語「けり」が已然形の「けれ」に変化しています。
ここで使われている係助詞「こそ」も「ぞ」「なむ」と同様に「強調」の意味を持っています。
ただし、「こそ」は「ぞ」より強調の度合いが強くなることを押さえておいてください
現代語に訳する場合は「ぞ」「なむ」のときと同様に、「雨が降った」とそのまま訳してかまいません。
また文中に係助詞「こそ」が使われた場合、文末の結びの語は「已然形」変化します。
已然形は現代語にはない活用形なので説明するのが難しいのですが、「已然形+ば」で「~ので」の意味になる活用形です。
これだけでは分からないと思うので、已然形を使った例文を1つ挙げてみますね。
(例) 風吹けば、葉落つ。(風が吹いたので、葉が落ちる)
この文では「吹く」の已然形「吹け」に「ば」がくっついて、「吹いたので」という意味になっていますね。

➂ 疑問・反語の係助詞を使った係り結びの法則
ここでからは、疑問・反語の意味をもつ係助詞である「や・か」を使った係り結びの法則について解説していきます。
まずは、係助詞「や・か」を用いた↓の例文をご覧ください。
(例) 雨降りけり。(雨が降った)
→ 雨や降りける。
→ 雨か降りける。
下の2つの文はそれぞれ、上の文をもとにして係助詞「や・か」を用いてつくった係り結びの法則が使われた文です。
文中に係助詞「や・か」が使われたことで、結びの語「けり」が連体形の「ける」に変化しています。
ここで使われている係助詞「や・か」は「疑問」と「反語」という2つの意味を持っています。
「疑問」の意味の場合、この文は「雨は降ったのか?」という意味になります。
現代語に訳する場合も、このように訳するとよいでしょう。
もう1つの意味である「反語」は少し難しいのですが、反語の意味の場合だと、この文は「雨は降ったのであろうか、いや降らなかった。」という意味になります。
このように『疑問の形をとりつつ否定する表現』が反語になります。
現代語に訳する場合も、否定に重点を置いて訳するとよいでしょう。
また「や・か」が使われている文は、「や・か」を文末にもってくると意味がつかみやすくなりますので、古文を解釈するときのテクニックとして覚えておくとよいでしょう。
(例) 雨や降りける → 雨降りけるや
雨か降りける → 雨降りけるか
ちなみに「や・か」が文末にくる場合もありますので、そのことも頭に入れておいて下さい。

➃ 係り結びの法則を覚えるゴロ合わせ
それでは、ここまで解説してきた『係り結びの法則』を覚えるゴロ合わせを紹介していきますね。
おさらいもかねて、↓の表にまとめてみました。

これらの係助詞とその意味と結びの語の内容を覚えるゴロ合わせを紹介します。
それが、
『巨象、軟体。こそっといいぜ!』
『ぎゃー、かたい(泣)』
です。
大きな象が軟体運動をしているところに、後ろからこそっと押したら、体がかたすぎて痛くて悲鳴をあげているところをイメージして覚えて下さいね。

ゴロ合わせの内訳はそれぞれ↓の通りです。
・巨(きょ)→ 強調
・象→ ぞ、軟→ なむ、体(たい)→ 連体形
・こそっと→ こそ、いいぜ→ 已然形
・ぎ→→ 疑問・反語
・ゃ→ や、か→ か、たい→ 連体形

YouTubeに『係り結びの法則』をまとめた解説動画とゴロ合わせを投稿していますので、それぞれ↓のリンクからぜひご覧下さい!
記事のまとめ
以上『係り結びの法則』について詳しく解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
記事のポイントを↓にまとめたので、ぜひご覧下さい。
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。
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