中2理科「化学変化」炭酸水素ナトリウムの分解と水の電気分解

 この記事では、中2理科で学習する「化学変化」の炭酸水素ナトリウムの分解水の電気分解解説しています。

 炭酸水素ナトリウムの分解水の電気分解は、中学の定期テストや高校入試でよく出題されるところですので、しっかり学習しておきましょう!

 今回の内容は以下の通りです。

 ① 化学変化って何?

 ② 酸化銀の熱分解

 ③ 炭酸水素ナトリウムの熱分解

 ④ 水の電気分解

 この記事は、たけのこ塾が中学生に向けて、TwitterやInstagramに投稿した内容をもとに作成しています。

 ぜひ、あなたの勉強にご活用下さい。

 ※サムネイルはしのみさんによるイラストACからのイラスト

① 化学変化って何?

 まず、化学変化とはどんな変化なのかについて見ていきましょう!

 「化学変化」とはもとの物質が、性質の異なる別の物質になる変化

 のことをいいます。 

 化学変化のパターンとして以下のものがあります。

  ① 物質A→物質B+物質C

  ② 物質A+物質B→物質C

 ①の方は、物質Aが物質Bと物質Cという別の2つの物質に変化しています。

 このように、1つの物質が複数の物質に分かれる化学変化を「分解」といいます。

 「分解」の具体例として、酸化銀の熱分解があります。

 (例)

  酸化銀→ 銀+酸素

勉強している少年のイラスト

 一方②の方は、物質Aと物質Bが物質Cという別の1つの物質に変化しています。

 このように複数の物質が結びつき、別の物質になる化学変化を「化合」といいます。

 「化合」の具体例として、鉄(スチールウール)の燃焼があります。

 (例)

  鉄+酸素→ 酸化鉄

一生懸命、勉強している女の子

 化学変化と間違えやすいものとして、状態変化があります。

「状態変化」とは、物質が熱されたり冷やされたりすることで、固体・液体・気体の3つの状態に変化すること

 化学変化と異なり、状態変化では物質そのものが別の物質に変化するわけではありません

 水を例にすると、水が状態変化して氷や水蒸気になっても、違う物質になってしまうわけではありませんよね。

 化学変化と状態変化を間違えないよう、注意しましょう!

 以前アップした、状態変化についての解説記事「状態変化と質量・体積の関係を理解しよう!もぜひご覧下さい。
手を挙げて答えようとしている勉強する子どもたち


② 酸化銀の熱分解

 先ほど例に挙げましたが、ここでは「酸化銀の熱分解」について詳しく説明していきたいと思います。

 酸化銀を加熱すると、銀と酸素に分解します。

 そのことを確かめるために行うのが、以下のような実験です。

     酸化銀を熱分解している図

 上の図のように酸化銀を加熱することで、

 ・加熱されている酸化銀はになる

 ・水槽の試験管内には酸素が集まる

 という変化がおこります。

笑顔で挙手している男の子のイラスト

 では、生じた物質が銀と酸素であることを確かめる方法を見ていきましょう。

 酸化銀が銀に変化したことは、金属の性質があるかどうかで確かめられます。

 金属には、

  ① こすると光沢が生じる

  ② たたくと薄く広がる

  ③ 電流が流れる

 という性質がありました。

 調べると、酸化銀には金属の性質がありませんが、加熱後にできた物質には金属の性質があります。

 よって、酸化銀が銀に変化したと考えられます。

 また、

  ・酸化銀→ 黒色

  ・銀→ 白色

 という色の違いもよく出題されますので、よく覚えておきましょう。

笑顔で挙手している女の子のイラスト

 つづいて、酸素が生じたことは「火のついた線香」を試験管に入れることで確かめることができます。

 このとき、線香は炎をあげて燃えるので、試験管内に酸素が集まっていたことが確認できます。

 さらに、この実験において注意が必要なことがあります 

 それは…、

 水が逆流しないように、火を消す前に水槽からガラス管を出しておく

 ということです。

 火を消すと、加熱して膨張した空気が収縮し、水槽の水が逆流してしまうので注意しましょう!

 化学反応式を学習した人は、以下の酸化銀の熱分解の化学反応式も覚えておきましょう!

 2Ag₂O→ 4Ag+O₂

  ・酸化銀 … Ag₂O

  ・銀 … Ag

  ・酸素 … O₂

楽しそうに勉強する子どもたち


③ 炭酸水素ナトリウムの熱分解

 ここでは、炭酸水素ナトリウムの熱分解について解説したいと思います。

 炭酸水素ナトリウムを加熱すると、

 炭酸水素ナトリウム→水+二酸化炭素+炭酸ナトリウム

 上のように、3つの物質に分解されます。

 では炭酸水素ナトリウムの熱分解を行う実験について、詳しく見ていきましょう。

    炭酸水素ナトリウムの熱分解の図

 上記のように炭酸水素ナトリウムを加熱することで、

 ・加熱している試験管の内側にが発生

 ・水槽の試験管内に二酸化炭素が集まる

 ・加熱した炭酸水素ナトリウムは炭酸ナトリウムに変化

 という変化がおこります。

勉強に取り組んでいる男の子のイラスト

 では、生じた物質が二酸化炭素炭酸ナトリウムであることを確かめる方法を見ていきましょう。

 生じた液体が水であるかどうかを確認する場合に用いられるのが

  塩化コバルト紙

 です。

 液体が水だったとき、青色である塩化コバルト紙は赤色に変化ます。

 試験管内に生じた液体を塩化コバルト紙につけると、青から赤色に変化するので、水が生じていることが確認できます。

 つづいて、水槽の試験管に集まった気体が二酸化炭素であるかどうかを確認したい場合には、

  石灰水

 に通してみます。

 気体が二酸化炭素だったとき、石灰水は白くにごります。

 集まった気体を石灰水に通すと白くにごるので、二酸化炭素が生じていることが確認できます。

勉強している女の子のイラスト

 炭酸水素ナトリウムが炭酸ナトリウムに変化したことを確認する方法は、2つあります。

  フェノールフタレイン溶液アルカリ性を調べる

  ② 水への溶けやすさを調べる

 炭酸水素ナトリウム水溶液より、炭酸ナトリウム水溶液の方が強いアルカリ性を示します。

 加熱後の物質の水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えると、炭酸水素ナトリウム水溶液より濃い赤色になります。

 フェノールフタレイン溶液はアルカリ性の場合赤色を示すため、水溶液が濃い赤色を示す加熱後の物質は炭酸ナトリウムと考えられます。

 また炭酸水素ナトリウムより、炭酸ナトリウムの方が水に溶けやすい性質があります。

 加熱後の物質の方が水に溶けやすいので、加熱後の物質は炭酸ナトリウムだと考えられます。

 この実験においても注意が必要なことが2つあります 

 1つ目は、先ほどの実験と同様に「水が逆流しないように、火を消す前に水槽からガラス管を出しておく」ということです。

 もう1つは、

生じた液体(水)が加熱部に流れていかないように、試験管の口を少し下に下げておく

 ということです。

 生じた液体が加熱部に流れると、試験管が割れたりして危険ですので注意しましょう!

注意!を示す記号のイラスト

ハイカラうどんさんによるイラストACからのイラスト

 炭酸水素ナトリウムが分解してできる3つの物質である、水・二酸化炭素・炭酸ナトリウムを覚えるためのゴロ合わせが、

タンス無い、

 見て!2~3のたな

 ゴロ合わせの内訳は、

 ・タ→ 炭酸、ス→ 水素、無(な)→ ナトリウム

 ・見(み)→

 ・2~3→ 二酸化炭素

 ・た→炭酸、な→ ナトリウム

 です。

 タンスがなくなったと思ったら、2、3個の棚になっていた状況をイメージしてもらえるといいでしょう。

タンスのイラスト

※YouTubeに「炭酸水素ナトリウムの熱分解」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中学理科・ゴロ合わせ「炭酸水素ナトリウムの分解」

 化学反応式を学習した人は、以下の炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式も覚えておきましょう!

 2NaHCO₃→H₂O+CO₂+Na₂CO₃

 ・炭酸水素ナトリウム…NaHCO₃

 ・水…H₂O

 ・二酸化炭素…CO₂

 ・炭酸ナトリウム…Na₂CO₃

 炭酸水素ナトリウムの熱分解は、学校の定期テストだけでなく、高校入試にもよく出題されますので、しっかり復習しよく理解しておきましょう!

※YouTubeに「炭酸水素ナトリウム分解の化学反応式のつくり方」についての解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中学理科「炭酸水素ナトリウムの分解・化学反応式のつくり方」


④ 水の電気分解

 最後に、水の電気分解について説明していきたいと思います。

 電気分解とは、電気による物質の分解です。

 水の電気分解を行うと、水素と酸素が発生ます。

 式で表すと、

 水→ 水素+酸素

 となります。

 水の電気分解の手順は以下の通りです。

 水酸化ナトリウムを溶かした水を電気分解装置に入れる

 ② 装置に電圧をかける

 ③ 陽極(+)陰極(ー)にそれぞれ気体が発生する

 ①で水酸化ナトリウムを水に溶かすのは、

  「水に電気を通しやすくするため」

 です。

 記述問題で問われることが多いので、しっかり押さえておきましょう!

勉強している少年のイラスト

 それぞれの電極で発生する気体は、

 陰極側→ 水素

 陽極側→ 酸素

 になります。

 また、発生する気体の体積の比

 水素:酸素=2:1

 ですので、合わせて覚えておきましょう!

 それぞれの気体を確認する方法は、

 ・水素

 → マッチの火を使づけると音を立てて燃える

 ・酸素

 → 火のついた線香を入れると炎を上げて燃える

一生懸命、勉強している女の子

 水の電気分解で生じる気体と電極の組合せ、さらに気体の体積比を覚えるためのゴロ合わせが、

インドで2人のスイマーが、

 陽気に1日散歩する

 ゴロ合わせの内訳は、

 ・イン→ 陰極、2→ 体積比・2、スイ→ 水素

 ・陽→ 陽極、1→ 体積比・1、散(さん)→ 酸素

楽しそうにプールで潜っているスイマーの写真

 

※YouTubeに「水の電気分解」についてのゴロ合わせ動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中学理科・ゴロ合わせ「水の電気分解・電極と気体の覚え方」

 化学反応式を学習した人は、以下の水の電気分解の化学反応式も覚えておきましょう!

 2H₂O→2H₂+O₂

 ・水…H₂O

 ・水素…H₂

 ・酸素…O₂

 水の電気分解も、学校の定期テストだけでなく、高校入試にもよく出題されますので、ちゃんと復習してしっかり理解しておきましょう!

手を挙げて答えようとしている勉強する子どもたち


記事のまとめ

 以上、中2理科で学習する「炭酸水素ナトリウムの熱分解と水の電気分解について、説明してまいりました。

 いかがだったでしょうか?
 
 
 今回の記事のポイントをまとめると…

 ① 化学変化・分解と化合

   ・化学変化→物質が別の物質となる変化

   ※ 状態変化→ 同じ物質が固体・液体・気体の3つの状態への変化

  ・分解→ 1つの物質が複数の物質に分かれる化学変化

  ・化合→ 複数の物質が結びつき別の物質になる化学変化

  ② 酸化銀の熱分解

  ・酸化銀→ 銀+酸素

  ・銀を確かめるには、金属の性質をもっている調べる

  ・酸素を確かめるには、火のついた線香が炎を上げて燃えるか調べる

  ③ 炭酸水素ナトリウムの熱分解

  ・炭酸水素ナトリウム→ 水+二酸化炭素+炭酸ナトリウム

  ・水を確かめるには、塩化コバルト紙青→赤に変化するか調べる

  ・二酸化炭素を確かめるには、石灰水白くにごるか調べる

  ・炭酸ナトリウムを確かめるには…

   フェノールフタレイン溶液濃い赤色になるか調べる

   水に溶けやすいか調べる

 ④ 水の電気分解

 ・水→ 水素+酸素

 ・陰極側に水素陽極側に酸素が発生する

 ・発生する気体の体積比は、水素:酸素=2:1

 今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。

 これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒よろしくお願いします。