中1数学「正の数・負の数」マイナス×マイナス=プラスになる理由

 今回は、「マイナス×マイナス」の答えがなぜプラスになるのかについて、詳しく解説していきたいと思います。  
 
 中学生なら、誰もが一度は疑問に思った内容だと思います。

 色々な視点から、5通りの説明方法を紹介したいと思いますので、ご自分の納得できる説明を見つけて下さい。

 この記事で紹介する説明は、以下の5つです。

 ➀「速さ・時間・道のり」を利用した説明

 ②かけ算の意味にもとづいた説明

 ➂かける数をどんどん小さくしていった場合の説明

 ④分配法則を使った説明

 ⑤イメージを使った説明

➀「速さ・時間・道のり」を利用した説明

 正の方向が東、負の方向が西、現在地が0で人が立っている数直線

 上の図のように、人がいて移動しているとします。

 まず現在地を0とします。

 そして東へ1㎞+1とすると、東へ2㎞+2東へ3㎞+3になります。

 同様に、西へ1㎞-1西へ2㎞-2西へ3㎞-3になります。

 時間距離と同じように、現在を0として、1時間後+1とします。

 すると、2時間後+23時間後+3になります。

 同様に、1時間前-12時間前-23時間前-3になります。

 さらに速さについても、西から東へ時速1㎞の速さで進むことを+1とします。

 すると、東から西へ時速1㎞の速さで進むことは-1になります。

 以上のことを前提として、西から東へ移動する場合東から西へ移動する場合について考えてみましょう。

歩いて移動している男性と女性のイラスト

(ⅰ)西から東へ移動する場合

 まず、西から東へ時速1㎞の速さ(つまり+1)で移動している場合を考えてみます。

「プラス×プラス=プラス」の説明

 西から東へ時速1㎞の速さで移動した場合、1時間後(つまり+1)には東へ1㎞の地点(つまり+1)にいます。

 「速さ×時間=道のり」を使って計算してみると、1時間後の位置は、速さが+1、時間も+1なので、

  (+1)×(+1)=+1

 となり、東へ1㎞の地点に移動していることがわかります。

 同様に、2時間後には東へ2㎞の地点、3時間後には東へ3㎞の地点にいます。

 2時間後・3時間後の位置を計算してみると、

   (+1)×(+2)=+2

         (+1)×(+3)=+3

 となり、それぞれ東へ2㎞の地点・東へ3㎞の地点に移動していることがわかります。

 以上のことからプラス×プラス=プラスであることが確認できました。

「プラス×マイナス=マイナス」の説明

 次に西から東へ時速1㎞の速さで移動した場合、1時間前はどの地点にいるか考えてみます。

 現在地が0なので、1時間前は西に1㎞の地点(つまり-1)にいたことになります。

 「速さ×時間=道のり」を使って計算してみると、1時間前(つまり-1)の位置は、速さが+1、時間は-1なので、

  (+1)×(-1)=-1

 となり西へ1㎞の地点にいたことがわかります。

 同様に、2時間前には西へ2㎞の地点、3時間前には西へ3㎞の地点にいます。

 2時間前・3時間前の位置を計算してみると、

   (+1)×(-2)=-2

         (+1)×(-3)=-3

 となり、それぞれ西へ2㎞の地点・西へ3㎞の地点にいたことがわかります。

 以上のことからプラス×マイナス=マイナスであることが確認できました。

歩いて移動するのが疲れている男性と女性のイラスト

(ⅱ)東から西へ移動する場合

 今度は、東から西へ時速1㎞の速さ(つまり-1)で移動している場合を考えてみます。

「マイナス×プラス=マイナス」の説明

 東から西へ時速1㎞の速さで移動した場合、1時間後(つまり+1)には西へ1㎞の地点(つまり-1)にいます。

 「速さ×時間=道のり」を使って計算してみると、1時間後の位置は、速さが-1、時間は+1なので、

  (-1)×(+1)=-1

 となり西へ1㎞の地点に移動していることがわかります。

 同様に、2時間後には西へ2㎞の地点、3時間後には西へ3㎞の地点にいます。

 2時間後・3時間後の位置を計算してみると、

   (-1)×(+2)=-2

         (-1)×(+3)=-3

 となり、それぞれ西へ2㎞の地点・西へ3㎞の地点に移動していることがわかります。

 以上のことからマイナス×プラス=マイナスであることが確認できました。

一生懸命、計算問題に取り組んでいる少年

「マイナス×マイナス=プラス」の説明

 さらに東から西へ時速1㎞の速さで移動した場合、1時間前はどの地点にいるか考えてみます。

 現在地が0なので、1時間前は東に1㎞の地点(つまり+1)にいたことになります。

 「速さ×時間=道のり」を使って計算してみると、1時間前(つまり-1)の位置は、速さは-1、時間も-1なので、

  (-1)×(-1)=+1

 となり、東へ1㎞の地点にいたことがわかります。

 同様に、2時間前には東へ2㎞の地点、3時間前には東へ3㎞の地点にいます。

 2時間前・3時間前の位置を計算してみると、

   (-1)×(-2)=+2

         (-1)×(-3)=+3

 となり、それぞれ東へ2㎞の地点・東へ3㎞の地点にいたことがわかります。

 以上のことからマイナス×マイナス=プラスであることが確認できました。

楽しそうに勉強する子どもたち


②かけ算の意味にもとづいた説明

 ここでは、かけ算の意味をもとにした、マイナス×マイナスがプラスになる理由の説明を紹介したいと思います。

(ⅰ) まずはじめに、2×3について考えてみます。

  2×3=(+2)×(+3)

 上の式が表しているのは、+2を+3回たすということなので、

  2×3=(+2)×(+3)

  =(+2)+(+2)+(+2)

  =+6

 このことからプラス×プラス=プラスになることが確認できます。

(ⅱ) 次に-2×3について考えてみます。

  -2×3=(-2)×(+3)

 上の式が表しているのは、-2を+3回たすということなので、

  -2×3

  =(-2)×(+3)

  =(-2)+(-2)+(-2)

  =-6

 このことからマイナス×プラス=マイナスになることが確認できます。

手を挙げて答えようとしている勉強する子どもたち

(ⅲ) さらに2×(-3)について考えてみます。

  2×(-3)=(+2)×(-3)

 上の式が表しているのは、+2を-3回たすということです。

 「-3回たす」の意味はちょっとわかりにくいですよね。

 そこで、-3を+3に変えて、内容を変えずに表現したらどうなるか考えてみましょう。

 すると「-3回たす」は「+3回ひく」ことと同じであることがわかります。

 よって、

  2×(-3)

  =(+2)×(-3)

  =-(+2)-(+2)-(+2)

  =+(-2)+(-2)+(-2)

  =-6

 このことからプラス×マイナス=マイナスになることが確認できます。

(ⅳ) 最後に(-2)×(-3)について考えてみましょう。

  (-2)×(-3)が表しているのは、-2を-3回たすということです。

 先ほどと同様「-3回たす」の意味がわかりにくいので、「+3回ひくと考えると、

  (-2)×(-3)

 =-(-2)-(-2)-(-2)

 =+(+2)+(+2)+(+2)

 =+6

 このことからマイナス×マイナス=プラスになることが確認できます。

一生懸命、計算問題に取り組んでいる少年


➂かける数をどんどん小さくしていった場合の説明

 次のように、かける数をどんどん小さくしていくと、答えはどうなるでしょう?

  1×5=5

      1×4=4

  1×3=3

  1×2=2

  1×1=1

  1×0=0

  1×(-1)=□

  1×(-2)=□

 かける数を1小さくするごとに、答えの数も1ずつ小さくなっているのがわかります。

 1×0=0ということは、その1行下の1×(-1)の答えはどうなるでしょう?

 答えは上の行より1ずつ小さくなっているので、0より1小さい-1になります。

 さらに、それより1行下の1×(-2)の答え1より1小さい-2になることがわかります。

 これより、プラス×マイナス=マイナスということがわかります。

 また、かけ算は交換法則が成り立ちましたよね。

 よって、プラスとマイナスを入れ替えても計算結果が同じになります。

 つまり「プラス×マイナス=マイナス」ならば、「マイナス×プラス=マイナスということになります。

楽しそうに勉強している女の子のイラスト

 今度は、負の数(-1)にかける数をどんどん小さくしていくと、答えはどうなるでしょう?

  -1×5=-5

      -1×4=-4

  -1×3=-3

  -1×2=-2

  -1×1=-1

  -1×0=0

  -1×(-1)=□

  -1×(-2)=□

 今度はかける数を1小さくするごとに、答えの数が1ずつ大きくなっているのがわかります。

 1×0=0なので、その1行下の-1×(-1)の答えは、0より1大きい+1になります。

 さらに、それより1行下の-1×(-2)の答え+1より1大きい+2になることがわかります。

 これより、マイナス×マイナス=プラスということがわかります。

 楽しそうに勉強している男の子のイラスト


④分配法則を使った説明

 分配法則をご存知でしょうか? 

 下のような計算のルールのことです。

 □×(〇+△)=□×〇+□×△

 5×(6+8)という計算をする場合を例に、考えてみましょう。

 先にカッコ内の計算(6+8)をして、5をかけるのが普通のやり方です。

 しかし、分配法則を使うと、次のように計算することもできます。

 5×(6+8)

 =5×6+5×8

   =30+40

   =70

一生懸命、勉強している女の子

 ここからは、この分配法則を使って「マイナス×マイナス=プラス」になる理由を説明していきたいと思います。

 まず、次の計算式をご覧ください。

  (-1)×(1-1)=0

 カッコ内の計算(1-1)の結果が0になるので、上の式の答えが0になることはわかると思います。

 それでは、この式の左側を分配法則を使って計算していくと、

  (-1)×(1-1)

 =(-1)×{(+1)+(-1)}

 =(-1)×(+1)+(-1)×(-1)

 =-1+(-1)×(-1)

 ここで、-1と、(-1)×(-1)の計算結果をたすとどうなるでしょう。

 当然0になりますよね。

 ここから、(-1)×(-1)は+1になることがわかります。

 なぜなら、-1にたして答えが0になる数は+1しかないからです。

 つまり、(-1)×(-1)=+1ということになり、マイナス×マイナス=プラスになることが確認できました。

勉強している少年のイラスト


⑤イメージを使った説明

プラス×プラス=プラス、マイナス×プラス=マイナス、プラス×マイナス=マイナス、マイナス×マイナス=プラスを説明した表

 上の表を使って、「マイナス×マイナス=プラス」になる理由を説明していきます。

 まず、勝つことはプラスなことなので+、負けることはマイナスなことなので-とします。

 同様に、自分のチームのことは+、敵チームのことは-とします。

 団体で行うスポーツをイメージして下さい。

 自分のチーム(+)が勝つこと(+)は、いいことなので+。

 つまりプラス×プラス=プラス

 自分のチーム(+)が負けること(-)は、よくないことなので-。

 つまりプラス×マイナス=マイナス

 敵チーム(-)が勝つこと(+)は、自分チームにとってはよくないことなので-。

 つまりマイナス×プラス=マイナス

 敵チーム(-)が負けること(-)は、自分チームにとってはいいことなので+。

 つまりマイナス×マイナス=プラス」

※YouTubeに「マイナス×マイナス=プラスになる理由」についての解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!

【動画】中1数学「正負の数・なぜマイナス×マイナス=プラス?」

【動画】中学数学「マイナス×マイナス=プラスのイメージ」 


記事のまとめ

 以上、中学生にむけて、「マイナス×マイナス=プラスになる理由」を詳しく説明してきました。

 いかがだったでしょうか?

◎今回の記事のポイントをまとめると…

・「速さ・時間・道のり」を使って、「負×負=正」を説明する

かけ算の意味を考えて、「負×負=正」を説明する

かける数を小さくしていくことを通して、「負×負=正」を説明する

分配法則を使って、「負×負=正」を説明する

イメージを使って、「負×負=正」を説明する

 今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。 

 これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。

 ご意見・ご感想、質問などございましたら、下のコメント欄にてお願いします。

「正の数・負の数」の関連記事

マイナス×マイナス=プラスになる理由

指数とは何か?

数全体・整数・自然数の集合

分配法則とは何か?