今回は、中学3年の数学で学習する「因数分解」について、記事を書いていきたいと思います。
この記事では、
「そもそも因数分解ってなに?」
「展開と因数分解はどう違うの?」
「どの乗法公式で因数分解すればいいの?」
という中学生に、基本からわかりやすく丁寧に解説しています。
基本問題も載せていますので、ぜひご覧下さい。
この記事では、次の5つの内容について詳しく説明しています。
この記事を読んで、因数分解についてしっかり理解しましょう!
①因数分解ってなに?
そもそも「因数分解」とは、何かわかりますか?
一言で言うと…
「たし算の式をかけ算の式にする」
ことです。
これだけだとわかりにくいので、もう少し詳しく説明しましょう。
(x+3)(x+8)を展開すると、
(x+3)(x+8)
= x2+11x+24
になりますよね。
この計算を逆にすると、
x2+11x+24
= (x+3)(x+8)
となります。
このとき、左辺はたし算の式でしたが、右辺は(x+3)と(x+8)のかけ算になっています。
このように、たし算の式をかけ算の式にすることを、「因数分解」といいます。
下の図のように、かけ算の式をたし算の式にすることが「展開」、たし算の式をかけ算の式にすることが「因数分解」です。
つまり、「展開」と「因数分解」は逆の関係になっています。
また上の例では、因数分解した結果、(x+3)と(x+8)のかけ算になりました。
このように、因数分解してかけて合わされている、(x+3)と(x+8)のような式を「因数」といいます。
ここで説明した「因数分解」と「因数」は、重要な語句ですので、しっかり覚えておきましょう!
②共通因数をとり出す因数分解
ここでは、「共通因数」という因数をとり出してできる「因数分解」について説明していきます。
まず、「分配法則」についておさらいしておきましょう。
5(a+b)という式においてカッコを外す場合、カッコにかけられている5をカッコ内のaとbのそれぞれにかけて、
5(a+b) = a×5+b×5
= 5a+5b
となります。
このような計算を、「分配法則」を使って計算するといいましたね。
分配法則を使ったこの計算を逆にすると、
5a+5b = 5(a+b)
となります。
この計算を見て気づいた人もいると思いますが、左辺のたし算の式が右辺でかけ算の式になっています。
つまり、「因数分解」していることになりますね。
この式では、aとbのそれぞれに5がかけてあり、その5をとり出して因数分解しています。
このように、同じ数や文字がかけられているたし算では、その共通してかけられている数や文字をとり出し、因数分解することができます。
また、共通してかけられている数や文字を「共通因数」といいます。
それでは、共通因数をとり出す因数分解の練習問題をやってみましょう。
(1) ab+5a
(2) 7a−21b
(3) 2x2+4xy
解答・解説は以下の通りになります。
(1)のab+5aは、abはa×b、5aは5×aであり、それぞれに文字aがかけられているので、aを共通因数として因数分解することができます。
よって、
ab+5a = a(b+5)
(2)の7a−21bは、一見すると共通因数がないように見えます。
しかし、bにかけられている21は7の倍数であり、21は7×3と表せます。
7aは7×a、21bは7×3×bであり、それぞれに7がかけられているので、7を共通因数として因数分解することができます。
よって、
7a−21b = 7(a−3b)
(3)の2x2+4xyの共通因数として、xをとり出すことができますね。
さらに、xyにかけられている4は、x2にかけられている2の倍数であり、2×2と表せます。
2 x2は2×x×x、4xyは2×2×x×yであり、それぞれに2とxがかけられているので、2xを共通因数として因数分解することができます。
よって、
2x2+4xy = 2x(x+2y)
※YouTubeに「共通因数をとり出す因数分解」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
③乗法公式(a+b)(a−b)を使う因数分解
ここでは、乗法公式(a+b)(a−b)を使う因数分解について、説明していきます。
乗法公式(a+b)(a−b)を、記号を使って(□+△)(□−△)と表しますね。
まず、乗法公式(□+△)(□−△)を使った展開をおさらいしておきましょう。
(□+△)(□−△)=□2−△2でしたよね。
この公式を使って、下の例を展開すると、
(x+7)(x-7) = x2-49
となります。
次にこの計算を逆にすると、
x2-49 = (x+7)(x-7)
となります。
つまり、□2−△2のような2乗どうしのひき算は、
□2−△2=(□+△)(□−△)
と、因数分解することができます。
このパターンの因数分解について、例を挙げてみましょう。
・a2−9
上の式において、9は32ですよね。
つまり、□2−△2の形になっているので、
a2−9 = a2−32
= (a+3)(a−3)
と因数分解することができます。
それでは、乗法公式(□+△)(□−△)を使う因数分解の練習問題をやってみましょう。
(1) x2-36y2
(2) 25x2-9y2
解答・解説は以下の通りになります。
(1)のx2-36y2において、36y2は6yを2乗しています。
よって、
x2-36y2
= x2-(6y)2
= (x+6y)(x-6y)
(2)の25x2-9y2において、25x2は5xを2乗しており、36y2は6yを2乗しています。
よって、
25x2-9y2
= (5x)2-(3y)2
= (5x+3y)(5x-3y)
※YouTubeに「乗法公式(a+b)(a-b)を使う因数分解」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
【動画】中3数学「因数分解・乗法公式(a+b)(a-b)を使う因数分解」
④乗法公式(a+b)2と(a−b)2を使う因数分解
ここでは、乗法公式(a+b)2と(a−b)2を使う因数を使う因数分解について、説明していきます。
乗法公式(a+b)2と(a−b)2を、記号を使って(□+△)2と(□−△)2と表しますね。
まず、乗法公式(□+△)2と(□−△)2を使った展開をおさらいしておきましょう。
(□+△)2=□2+2□△+△2
(□−△)2=□2-2□△+△2
これらの公式を使って、下の例を展開すると、
(x+7)2 = x2+14x+49
(x-7)2 = x2-14x+49
となります。
次にこれらの計算を逆にすると、
x2+14x+49 = (x+7)2
x2-14x+49 = (x-7)2
となります。
つまり、”□2+2□△+△2”と”□2-2□△+△2”のような形の式は、
□2+2□△+△2=(□+△)2
□2-2□△+△2=(□−△)2
と、因数分解することができます。
このパターンの因数分解について、例を挙げてみましょう。
・a2+10a+25
上の式において、25は52ですよね。
また10aは、aと5をかけた5aの2倍になっています。
つまり、□2+2□△+△2の形になっているので、
a2+10a+25
= a2+5a×2+52
= (a+5)2
と因数分解することができます。
同じように、次の例について見ていくと…、
・a2-10a+25
上の式において、25は(-5)2ですよね。
また-10aは、aと-5をかけた-5aの2倍になっています。
つまり、□2-2□△+△2の形になっているので、
a2-10a+25
= a2-5a×2+(-5)2
= (a−5)2
と因数分解することができます。
それでは、乗法公式(□+△)2と(□−△)2を使う因数分解の練習問題をやってみましょう。
(1) x2-14x+49
(2) 25a2+30a+9
(3) 16x2-24xy+9y2
解答・解説は以下の通りになります。
(1)のx2-14x+49において、49は(-7)2で、-14xはxと-7をかけた-7xの2倍になっています。
よって、
x2-14x+49
= x2-7x×2+(-7)2
= (x-7) 2
(2)の25a2+30a+9において、25a2は5aの2乗で、9は32です。
また、30aは5aと3をかけた15aの2倍になっています。
よって、
25a2+30a+9
= (5a)2+15a×2+32
= (5a+3) 2
(3)の16x2-24xy+9y2において、16x2は4xの2乗で、9 y2は-3yの2乗です。
また、-24xyは4xと-3yをかけた-12xyの2倍になっています。
よって、
16x2-24xy+9y2
= (4x)2-12xy×2+(-3y)2
= (4x-3y) 2
※YouTubeに「乗法公式(a+b)²と(a−b)²を使う因数分解」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
【動画】中3数学「因数分解・乗法公式(a+b)²と(a-b)²を使う因数分解」
⑤乗法公式(x+a)(x+b)を使う因数分解
ここでは、乗法公式(x+a)(x+b)を使う因数分解について、説明していきます。
乗法公式(x+a)(x+b)を、記号を使って(x+□)(x+△)と表しますね。
まず、乗法公式(x+□)(x+△)を使った展開をおさらいしておきましょう。
(x+□)(x+△)
=x2+(□+△)x+□△
でしたよね。
この公式を使って、下の例を展開すると、
(x+3)(x+5)
= x2+8x+15
となります。
次にこの計算を逆にすると、
x2+8x+15 = (x+3)(x+5)
となります。
つまり、x2+(□+△)x+□△のような式は、
x2+(□+△)x+□△
= (x+□)(x+△)
と、因数分解することができます。
このパターンの因数分解について、例を挙げてみましょう。
・x2+9x+20
まず、かけ合わせて20になる数の組合せを考えてみましょう。
1×20
2×10
4×5
が挙げられますね。
次にこの組み合わせの中で、たし合わせると9xの係数である9になるものを考えると…
4+5=9
ですよね。
つまり、
x2+9x+20
= x2+(4+5)x+4×5
上の式は、x2+(□+△)x+□△の形になっているので、
x2+9x+20
= x2+(4+5)x+4×5
= (x+4)(x+5)
と因数分解することができます。
それでは、乗法公式(x+□)(x+△)を使う因数分解の練習問題をやってみましょう。
(1) x2+15x+56
(2) x2+2x−35
(3) x2-10x+21
(1)のx2+15x+56において、かけ合わせて56になる数の組合せとして、
1×56
2×28
4×14
7×8
が挙げられます。
この組み合わせの中で、たし合わせると15xの係数である15になるものは、
7+8=15
です。
よって、
x2+15x+56
= x2+(7+8)x+7×8
= (x+7)(x+8)
(2)のx2+2x−35において、かけ合わせて-35になる数の組合せとして、
-1×35
-5×7
-7×5
-35×1
が挙げられます。
この組み合わせの中で、たし合わせると2xの係数である2になるものは、
-5+7=2
です。
よって、
x2+2x−35
= x2+(-5+7)x+(-5)×7
= (x-5)(x+7)
(3)のx2-10x+21において、かけ合わせて-35になる数の組合せとして、
1×21
3×7
-1×(-21)
-3×(-7)
が挙げられます。
この組み合わせの中で、たし合わせると−10xの係数である−10になるものは、
-3+(-7)=-10
です。
よって、
x2-10x+21
= x2+{-3+(-7)}x+(-3)×(-7)
= (x-3)(x-7)
※YouTubeに「乗法公式(x+a)(x+b)を使う因数分解」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
【動画】中3数学「因数分解・乗法公式(x+a)(x+b)を使う因数分解」
記事のまとめ
つづいて、4つの乗法公式を使った因数分解についてまとめてみましょう。
① □2−△2=(□+△)(□−△)
② □2+2□△+△2= (□+△)2
③ □2-2□△+△2= (□-△)2
④ (x+□)(x+△)= x2+(□+△)x+□△
特に④の乗法公式を使う因数分解のパターンは、後に学習する「二次方程式」を解くために必要になってきます。
くり返し練習して、しっかり身に付けておきましょう!
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
ご意見・ご感想、質問などございましたら、下のコメント欄にてお願いします。