今回から、中学2年の数学で学習する「連立方程式」について、記事を書いていきたいと思います。
中学1年で学習した「一次方程式」を忘れたという中学生は、連立方程式の学習の前にコチラで復習しておいてください!→「中1・方程式の記事一覧」
今回の記事では、
「二元一次方程式ってなに?」
「連立方程式の加減法を使った解き方がよくわからない」
「加減法の解き方を完璧に理解したい」
という中学生に、基本的な例題をもとにわかりやすく丁寧に解説しています。
この記事では、「加減法を使う連立方程式の解き方」について、以下の5つのポイントを詳しく説明しています。
この記事を読んで、「加減法を使う連立方程式」の解き方について、しっかり理解しましょう!
①「二元一次方程式」ってなに?
中学1年で、次のような方程式の解き方を学習しまたよね。
2x+5=11
このように、1つの文字をふくむ1次の方程式を「一次方程式」といいました。
この方程式を解いてみると…、
2x+5=11
2x=11-5
2x=6
x=3
このように、一次方程式は答えである「解」が1つ出てきます。
では、次のような式について考えてみましょう。
2x+y=10
先ほどの一次方程式との違いがわかりますか?
:
そう、この式は文字を2つふくんでいますよね。
このように、2つの文字をふくむ1次の方程式のことを、「二元一次方程式」といいます。
次に、この二元一次方程式の解について考えてみましょう。
もし、この二元一次方程式がx=0だったら、yの値はどうなるでしょう?
x=0を“2x+y=10″に代入すると、
2×0+y=10
0+y=10
y=10
よってx=0、y=10が解であることがわかります。
ではx=1の場合、yの値はどうなるでしょう?
x=1を“2x+y=10″に代入すると、
2×1+y=10
2+y=10
y=10-2
y=8
よってx=1、y=8も、この二元一次方程式の解であることがわかります。
実は二元一次方程式では、xとyの組合せが無数にあるのです。
下の図は、xとyの値の組合せを表にしたものです。
このように二元一次方程式では、解が1つに決まりません。
ここで、もう1つ別の二元一次方程式を付け加えてみましょう。
x+y=7
この二元一次方程式の解になるxとyの値の組合せは、下の表のようになります。
”2x+y=10”と”x+y=7”、2つの二元一次方程式のxとyの値の表を見比べてみると…、
x=3、y=4という組み合わせのとき、両方の式の解が一致するのがわかります。
このように、二元一次方程式が2つ与えられれば、解が1つに決まります。
そして、2つの二元一次方程式を組にしたものを、「連立方程式」といいます。
さらに、両方の式にあてはまる文字の値の組のこと(この例ではx=3、y=4)を、「連立方程式の解」といいます。
※YouTubeに「二元一次方程式」の詳しい解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
②連立方程式・加減法 ひき算を使う解き方
先ほど、xとyの値の組合せの表を使って、連立方程式の解を求めました。
しかしこのやり方は、時間がかかるし面倒ですよね…。
そこで「加減法」という、連立方程式を解く方法を紹介したいと思います。
「加減法」とは、2つの式を足すか引くかして、1つの文字を消す方法です。
この説明だけでは、何のことかよくわからないと思うので、例題を使って説明していきますね。
(例題)
この2つの式をひき算すると、次のようになります。
このとき、2つの式から文字xが消えて、yだけの式になっていますよね。
このyだけの式を解くと、
2y=6
y=3
よって、y=3であることが求まりました。
では次に、xの値を求めてみましょう。
求めたy=3を、” x+4y=13”と” x+2y=7”のどちらか一方の式に代入してみます。
x+4y=13に、y=3を代入してみると、
x+4×3=13
x+12=13
x=13-12
x=1
よって解は、(x、y)=(1、3)となります。
この例題ではひき算を使いましたが、2つの式をたすかひくかをして、一方の文字を消すことを「加減法」といいます。
次は、たし算を使う「加減法」について見ていきましょう!
③連立方程式・加減法 たし算を使う解き方
先ほどは、加減法のひき算を使う連立方程式の解き方を見てきました。
ここでは、加減法のたし算を使う連立方程式の解き方を見ていきましょう!
(例題)
この例題の場合、2つの式をたせば、上の式の”-y”と下の式の”+y”が打ち消し合い、0になりますよね。
つまり、文字yを消すことができます。
文字yを消して、xだけの式にすることができました。
この式を解いていくと、
7x=14
x=2
よって、x=2であることが求まりました。
次にyを求めてみましょう。
求めたx=2を、” 2x-y=3”と” 5x+y=11”のどちらか一方の式に代入してみます。
2x-y=3に、x=2を代入してみると、
2×2-y=3
4-y=3
-y=3-4
-y=-1
y=1
よって解は、(x、y)=(2、1)となります。
連立方程式の加減法のやり方は、理解できましたか?
ここで、加減法の基本的な手順についてのまとめを載せておきますね。
(1) 2つの式を足すか引くかして、1つの文字を消す
↓
(2) 1つの文字の式を解き、文字の値を求める
↓
(3) (2)で求めた値を、どちらかの式に代入する
↓
(4) (3)の式を解き、もう一方の文字の値を求める
以上が「加減法」の基本になります。
しっかりマスターしたうえで、続きをご覧下さい。
④連立方程式・加減法 片方の式の係数を合わせる
加減法を使った解き方の基本は、理解していただけたと思います。
ここからは、次のような連立方程式の解き方を考えてみたいと思います。
(例題)
この連立方程式も、加減法を使って解いていきたいのですが…。
このままでは、2つの式をたしてもひいても文字を消すことができませんよね。
今までの連立方程式とちがい、どちらの文字も係数がそろっていません。
ですから、加減法を使うためにどちらかの文字の係数を合わせる必要があります。
ここでは、xの係数を合わせてみたいと思います。
どうすればいいか思いつきますか?
上の式のxの係数は1、下の式のxの係数は2ですよね。
ということは、上の式のxの係数を2にすることができれば、係数をそろえることができます。
それではどうすれば、上の式のxの係数を2にできるでしょうか?
:
そう、上の式”x+3y=9”の両辺を2倍すれば、xの係数も2にすることができますよね!
(x+3y)×2=9×2
2x+6y=18
この両辺を2倍した”2x+6y=18”と、”2x+2y=10”をひき算すれば、文字xを消すことができます。
文字xを消して、yだけの式にすることができましたね。
この式を解いていくと、
4y=8
y=2
よって、y=2であることが求まりました。
次にxを求めてみましょう。
求めたy=2を、” x+3y=9”と” 2x+2y=10”のどちらか一方の式に代入してみます。
x+3y=9に、y=2を代入してみると、
x+3×2=9
x+6=9
x=9-6
x=3
よって解は、(x、y)=(3、2)となります。
「実際にどのように解答を書けばよいか、よくわからない。」という中学生も、多いと思います。
そこで、模範解答を載せておきますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
<模範解答>
x+3y=9 …①
2x+2y=10 …②
①×2
2x+6y=18 …①’
①’-②
4y=8
y=2
y=2を①に代入して、
x+3×2=9
x+6=9
x=9-6
x=3
答え (x、y)=(3、2)
※YouTubeに「加減法で解く連立方程式の問題」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
⑤連立方程式・加減法 両方の式の係数を合わせる
では最後に、次のような連立方程式の解き方を考えてみたいと思います。
(例題)
今回の例題も、どちらかの文字の係数を合わせてから、加減法で解く問題です。
文字xの係数を合わせて、加減法を使って解こうと思うのですが、どうやればいいでしょう?
上の式のxの係数は2、下の式のxの係数は3ですよね。
そこで、それぞれのxの係数を6に合わせてみましょう。
まず、上の式”2x+5y=19”の両辺を3倍すれば、xの係数を6にできますよね。
(2x+5y)×3=19×3
6x+15y=57
同じように、下の式” 3x+7y=27” の両辺を2倍すれば、xの係数を6にできます。
(3x+7y)×2=27×2
6x+14y=54
両辺を3倍した”6x+15y=57”と、両辺を2倍した”6x+14y=54”をひき算すれば、文字xを消すことができます。
文字xを消して、yだけの式にすることができましたね。
よって、y=3であることが求まりました。
次にxを求めてみましょう。
求めたy=3を、” 2x+5y=19”と” 3x+7y=27”のどちらか一方の式に代入してみます。
2x+5y=19に、y=3を代入してみると、
2x+5×3=19
2x+15=19
2x=19-15
2x=4
x=2
よって解は、(x、y)=(2、3)となります。
どのように解答をかけばよいか、よくわからないという中学生のために、模範解答を載せておきますね。
ぜひ参考にしてみて下さい!
<模範解答>
2x+5y=19 …①
3x+7y=27 …②
①×3
6x+15y=57 …①’
②×2
6x+14y=54 …②’
①’-②’
y=3を①に代入して、
2x+5×3=19
2x+15=19
2x=19-15
2x=4
x=2
答え (x、y)=(2、3)
最後に、加減法で連立方程式を解く手順について、まとめておきます。
この手順にしたがって解けば、必ず加減法で連立方程式を解くことができます。
確実に解けるようになるまで、くり返し練習しておきましょう!
(1) 加減法を使うため、どちらかの文字の係数を合わせる
↓
(2) 2つの式を足すか引くかして、1つの文字を消す
↓
(3) 1つの文字の式を解き、文字の値を求める
↓
(4) (3)で求めた値を、どちらかの式に代入する
↓
(5) (4)の式を解き、もう一方の文字の値を求める
※YouTubeに「加減法で解く連立方程式の問題」の解説動画を投稿していますので、↓のリンクからご覧下さい!
記事のまとめ
・今回の記事のポイントをまとめると…
①二元一次方程式とは、文字を2つふくむ一次方程式である
②二元一次方程式は、解が1つに決まらない
③連立方程式とは、2つの二元一次方程式を組にしたものである
④加減法とは、2つの式をたすかひくかして1つの文字を消す方法である
⑤連立方程式を加減法で解く手順は、以下の通りである
(1) 加減法を使うため、どちらかの文字の係数を合わせる
(2) 2つの式を足すか引くかして、1つの文字を消す
(3) 1つの文字の式を解き、文字の値を求める
(4) (3)で求めた値を、どちらかの式に代入する
(5) (4)の式を解き、もう一方の文字の値を求める
今回も最後まで、たけのこ塾のブログ記事をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも、中学生のみなさんに役立つ記事をアップしていきますので、何卒、よろしくお願いします。
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